

「見積もりが80万円と350万円で並んでいて、何が違うのか説明できません」「自分でも作れると聞いたのですが、どこまで自社でやるべきか判断できません」――Shopifyでの構築については、この2つのご相談をよくいただきます。
先に結論をお伝えすると、金額の差はデザインを作り込む量と、追加で開発する仕組みの数で決まります。機能そのものは、どの見積もりでも大きく変わりません。 そのうえで最も重要なのは、構築にいくらかけるかより、公開後の集客にいくら残せるかです。作ったサイトに人が来なければ、金額の差は結果に現れません。
solezoreでは、Shopifyでの構築を賃貸物件の内装にたとえて説明しています。建物の骨格は最初から用意されており、内装をどこまで作り込むかで費用が変わる。骨格から作る必要がないぶん、期間も費用も抑えられます。
この記事では、向く事業と向かない事業から、3つの構築方法、費用の目安、決めておくこと、テーマとアプリの選び方、手順と期間、外注の選び方までを、EC構築を支援している立場から解説します。
Shopifyが向く事業・向かない事業
結論: 向くのは、商品構成が比較的シンプルで、ブランドの見せ方を自由にしたい事業です。特殊な業務の仕組みを持つ事業では、追加の開発が積み上がります。
まず適不適から確かめます。
向いている事業と、向かない場合の見分け
自社の商品を10〜数百点扱い、通常の受注と発送で回る事業に向きます。定期購入や海外への販売にも対応しやすくなっています。
ブランドの世界観を作り込みたい事業にも合います。デザインの自由度が高く、モールの枠に収まらない見せ方ができるのが利点です。
立ち上げの速さも特徴で、必要最低限の形なら1か月ほどで公開できます。まず売ってみて、そこから育てる進め方が取れます。
受注から出荷までに独自の業務が挟まる事業では、追加の開発が必要になります。得意先ごとに価格が違う、見積もりを介して受注する、といった形です。
こうした要件は追加のアプリや個別の開発で対応できますが、費用が積み上がります。追加が5つを超えるようなら、他の方式も比較する段階です。
| 状況 | 向き不向き |
|---|---|
| 商品10〜数百点・通常の受注 | 向く |
| 定期購入を扱いたい | 向く(アプリで対応) |
| 得意先ごとに価格が違う | 追加の開発が要る |
| 基幹システムと連携したい | 費用が大きく上がる |
| 年商が数億円を超える | 他の方式も比較する |
構築の3つの方法
結論: 方法は、自社で作る、用意されたデザインを使って外注する、デザインから作り込むの3つです。費用は0円から300万円まで幅があります。
進め方の選択肢です。
3つの比較・自社で作る場合
| 方法 | 費用の目安 | 期間 | 向く場面 |
|---|---|---|---|
| 自社で作る | 月額のみ | 2週間〜2か月 | まず売ってみたい |
| 用意されたデザインで外注 | 30万〜80万円 | 1〜2か月 | 早く整った形にしたい |
| デザインから作り込む | 80万〜300万円 | 2〜4か月 | ブランドを打ち出したい |
自社で作る選択肢が現実的にあるのが、Shopifyの特徴です。用意されたデザインを選び、商品を登録し、決済を設定すれば公開できます。
管理画面の操作は難しくありません。手を動かせる担当者が1人いれば、2週間から2か月で公開まで進みます。
ただし、細かい調整で止まることがあります。どこまで自分でやり、どこから頼むかを先に決めておくと、途中で止まりません。デザインの細部だけを外注する形もあります。
外注する場合の違い
用意されたデザインを使う形と、ゼロから作り込む形では、費用が4倍前後変わります。違いは見た目の独自性で、機能そのものはほぼ同じです。
立ち上げの段階では、用意されたデザインで足ります。売れる形が見えてから作り込むほうが、無駄が出ません。 最初から300万円をかけて、公開後の集客費が残らない状態が最も避けたい形です。

費用の目安
結論: 費用は、月額の利用料、構築の費用、追加のアプリ、決済の手数料の4つに分かれます。継続してかかるのは1番目と3番目と4番目です。
金額を並べます。
4種類の費用と、アプリが積み上がること
| 種類 | 目安 | 発生の仕方 |
|---|---|---|
| 月額の利用料 | 月数千円〜数万円 | 毎月 |
| 構築の費用 | 0〜300万円 | 一度きり |
| 追加のアプリ | 1つ月1,000〜1万円 | 毎月 |
| 決済の手数料 | 売上の3〜4%程度 | 売上に応じて |
料金は改定されることがあるため、最新は公式の料金ページで確かめます。 プランによって、扱える機能と手数料の率が変わります。
必要な機能をアプリで足していく設計のため、数が増えると月額が膨らみます。5つ入れると月2万〜5万円になることもあります。
対策は、最初は必要最低限にとどめることです。あれば便利という理由で入れると、使われないまま毎月払い続けます。 3か月に1回、使っていないものを外す作業を入れます。
用意された決済の仕組みを使うと、追加の取引手数料はかかりません。外部の決済を使う場合は、決済の手数料に加えて取引手数料が乗ります。
売上に対して3〜4%程度が目安です。モールの13〜17%と比べると低く見えますが、そのぶん集客費が別にかかります。
構築前に決めること
結論: 決めるのは、扱う商品、価格と送料の方針、決済の方法、そして公開後の集客手段です。特に最後が抜けやすくなります。
先に固める話です。
決める4項目
- 扱う商品の範囲|全商品を出すのか、一部から始めるのか
- 価格と送料の方針|モールと同じにするか、送料はどこで無料にするか
- 決済の方法|カードに加えて何を用意するか
- 公開後の集客|どこから人を連れてくるか、月いくら使えるか
4番目を決めずに構築を始める会社が非常に多くあります。 公開の翌日から何をすればよいか分からない状態になり、そのまま数か月が過ぎます。
集客費から逆算する
構築にかけられる金額は、集客費から逆算して決めます。1年間で使える予算が300万円なら、構築に100万円、集客に200万円という配分が現実的です。
立ち上げの1年目は、制作より集客に多く使うほうが結果が出ます。 完璧なサイトを作ってから集客を始めるより、最低限の形で公開して集客に回すほうが早く数字が動きます。
テーマの選び方
結論: テーマは、扱う商品の点数と見せ方で選びます。無料のものでも十分に成立し、有料でも数万円の範囲です。
見た目の土台です。
選ぶ基準・無料と有料の違い
商品点数が少なくブランドを見せたい事業では、写真を大きく使えるものを選びます。点数が多い事業では、一覧が見やすいものが向きます。
携帯の画面での見え方を必ず確かめます。 買い物の多くは携帯からで、パソコンの画面で整っていても、そちらで崩れていれば意味がありません。
無料のものでも、基本的な機能は揃っています。有料のものは、見せ方の選択肢が増え、細かい設定ができます。
立ち上げの段階では無料で足ります。テーマを変えるのは後からでもできるため、ここで悩んで公開が遅れるほうが損失になります。
アプリの入れ方
結論: アプリは必要になってから入れます。最初から揃えると、使わない機能に毎月払い続けることになります。
追加機能の話です。
最初に要るもの・増やしすぎない
公開の時点で必要なのは、多くて2〜3つです。定期購入を扱うなら、その仕組み。日本の配送に対応する設定。この程度で足ります。
レビューの表示、ポイント制度、細かい分析。これらは、注文が入り始めてから必要性を判断します。
5つを超えると、月額が2万〜5万円になります。あわせて、アプリ同士が干渉して表示が崩れることもあります。
3か月に1回、使っていないものを外す作業を入れます。入れたまま忘れられているアプリは、多くの店舗にあります。
構築の手順と期間
結論: 公開までは1〜4か月です。自社で作るなら短く、デザインから作り込むなら長くなります。
進め方の話です。
4つの工程・全商品を待たない
- 準備|扱う商品、価格、送料、決済を決めます。1〜2週間
- 構築|テーマの設定とデザインを進めます。2週間〜2か月
- 商品登録|画像と説明文を用意して登録します。商品数によります
- テスト|実際に注文し、決済から発送まで通します。1週間
3番目が最も時間を食います。構築が終わっても、中身がなければ公開できません。 1商品あたり30分から1時間を見込みます。
主力の10商品で公開し、残りは公開後に追加する形が現実的です。全商品を揃えてからの公開にこだわると、数か月遅れます。
公開しないと、何が足りないかも分かりません。実際の注文が入って初めて、直すべき場所が見えてきます。
外注する場合の選び方
結論: 確かめるのは制作の実物、公開後の支援、納品されるものの3つです。見栄えだけで選ぶと、後の運用で困ります。
依頼先の話です。
3つの確認点
制作の実物を3つ見ます。見栄えではなく、商品ページに必要な情報が入っているかを見ます。 大きさの比較、届くまでの日数、返品の条件。買う側が知りたいことが揃っているかです。
公開後の支援があるかも確かめます。作って終わりの契約だと、公開後に何かあっても手が出せません。保守の範囲と費用を、契約前に確認します。
納品されるものも確認します。管理画面の権限、設定の一覧、デザインの元データ。これらが手元にないと、次の会社に頼むときに一からになります。
安い見積もりで起きること
「安いと質が落ちる」と思われがちですが、実際に起きるのは範囲の縮小です。30万円の見積もりには、商品登録も画像の制作も入っていないことが多くあります。
確かめ方は簡単で、商品登録が何点まで含まれるか、画像は作ってもらえるか、公開後の修正は何回までかの3つを聞きます。ここが曖昧な見積もりは、後で追加の請求が発生します。
公開後に必要な作業
結論: 公開してからが本番です。月に見るのは訪問者数、購入率、かごに入れた後の離脱の3つです。
続けるための話です。
月に見る数字
訪問者数は集客の結果、購入率はページと導線の結果です。3つ目のかご落ちは、送料か決済方法か配送日数が原因になっていることが多くあります。
訪問者が月1,000人に届かない状態では、購入率の議論に意味がありません。 母数が小さすぎて、数字が偶然で動きます。まず集客を作ります。
3つは毎月同じ形で並べます。項目を変えると前月と比べられません。
更新の作業
商品の追加、価格の変更、季節に合わせた見せ方の調整。これらは公開後に続きます。
自社でできる範囲を決めておきます。簡単な更新まで外注すると、その都度の費用と待ち時間が発生します。 商品登録と文言の修正くらいは、社内でできる状態にしておくほうが回ります。
できる範囲は、引き渡しのときに一覧にしてもらいます。口頭では残りません。
引き渡しのときに受け取るもの
外注した場合、公開の時点で受け取っておくものがあります。後から請求すると、対応してもらえないことがあります。
- 管理画面の所有者権限。制作会社の名義になっていないかを確かめます
- 使っているアプリの一覧と、それぞれの月額
- デザインの元データと、変更した箇所の記録
- 決済と配送の設定内容を書き出したもの
- 社内の担当者向けの操作説明。30分でも受けておくと後が違います
1番目が最も重要です。 所有者の権限が制作会社にあると、契約が終わったときにサイトごと動かせなくなります。
5番目は見落とされがちですが、ここを受けておくかどうかで運用の費用が変わります。商品の追加を自社でできるだけで、月々の外注費が数万円下がることもあります。
solezoreの支援事例|業種別の進め方
結論: solezoreでは、構築の予算を集客費から逆算して決めます。ここでは2つの業種で、何を変えたかを紹介します。
美容|制作費を抑えて集客に回した例
相談をくださったのは化粧品を扱う事業者です。当初は制作に320万円という見積もりを検討されていましたが、集客の予算は月8万円という計画です。
試算すると、月8万円の広告では訪問者が月1,500人前後にとどまります。作り込んだサイトに、人が来ない状態になります。
そこで、用意されたデザインを使う形に変え、制作費を65万円に抑えました。浮いた255万円を1年分の集客費に振り分けています。
公開から5か月で、月商が240万円になりました。デザインの作り込みは、売れる形が見えてから足しています。
飲食|自社で作って2か月で公開した例
飲食店を運営する事業者です。店舗の商品を通信販売したいという相談で、予算は限られていました。
社内に、管理画面の操作ができる方が1人いました。そこで、構築そのものは自社で進め、商品ページの写真と説明文だけを外部に依頼する形にしています。
費用は撮影と原稿で42万円のみです。構築の外注費はかかっていません。準備から公開まで2か月で終わりました。
公開から3か月で、月商が68万円になっています。自社でできる部分を残すと、同じ予算でも中身に回せます。

よくある質問
Q. Shopifyでの構築はいくらかかりますか?
A. 方法で変わります。自社で作れば月額の利用料だけ、用意されたデザインを使って外注すると30万〜80万円、デザインから作り込むと80万〜300万円が目安です。加えて、追加のアプリが1つ月1,000〜1万円、決済の手数料が売上の3〜4%程度かかります。
Q. 自社で作ることはできますか?
A. できます。管理画面の操作は難しくなく、手を動かせる担当者が1人いれば2週間から2か月で公開まで進みます。ただし、細かい調整で止まることがあるため、どこまで自分でやりどこから頼むかを先に決めておきます。デザインの細部だけを外注する形もあります。
Q. 公開までどのくらいかかりますか?
A. 1〜4か月です。準備に1〜2週間、構築に2週間〜2か月、商品登録が商品数に応じて、テストに1週間という配分になります。最も時間を食うのは商品登録で、1商品あたり30分から1時間を見込みます。全商品を揃えてからの公開にこだわると、さらに遅れます。
Q. テーマは有料のものを選んだほうがいいですか?
A. 立ち上げの段階では無料で足ります。基本的な機能は揃っており、有料のものとの違いは見せ方の選択肢の広さです。テーマは後からでも変えられるため、ここで悩んで公開が遅れるほうが損失になります。選ぶときは、携帯の画面での見え方を必ず確かめます。
Q. アプリはどのくらい入れるべきですか?
A. 公開の時点では2〜3つで足ります。5つを超えると月額が2万〜5万円になり、アプリ同士が干渉して表示が崩れることもあります。あれば便利という理由で入れると、使われないまま毎月払い続けます。3か月に1回、使っていないものを外す作業を入れます。
Q. 外注先はどう選べばいいですか?
A. 制作の実物を3つ見て、商品ページに必要な情報が入っているかを確かめます。見栄えではなく、大きさの比較や配送日数といった買う側が知りたい情報が揃っているかです。あわせて、公開後の支援の有無と、納品されるものを確認します。権限や設定の一覧が手元にないと、次の会社に頼むときに一からになります。
まとめ
Shopifyでの構築について、要点を整理します。
- 向くのは、商品構成がシンプルでブランドの見せ方を自由にしたい事業
- 得意先ごとの価格や基幹連携がある事業は、追加の開発が積み上がる
- 方法は3つ。自社で作る、用意されたデザインで外注、作り込む
- 費用は0〜300万円。機能そのものはどの見積もりでも大きく変わらない
- 月額の利用料、アプリ、決済手数料が継続してかかる
- 構築の予算は、集客費から逆算して決める
- テーマは無料で足りる。後から変えられる
- アプリは公開時2〜3つ。3か月に1回、使っていないものを外す
- 主力10商品で公開する。全商品を待つと数か月遅れる
- 外注先は制作の実物、公開後の支援、納品物の3つで選ぶ
本文で触れなかったことを1つ足します。構築の段階で、自社で更新できる範囲を広げておくと運用の費用が下がります。 商品の追加や文言の修正まで外注すると、その都度の費用と待ち時間が発生します。引き渡しのときに、社内の担当者向けに操作の説明を受けておくと、後々の負担がまったく変わります。
やらないほうがよいこともあります。全商品を揃えてから公開すること、使うか分からないアプリを最初から入れること、そしてデザインの細部に時間をかけること。この3つは、いずれも公開を遅らせるだけです。
次の一歩は、公開後1年間で集客にいくら使えるかを決めるところからです。この金額が決まれば、構築にかけられる予算も自動的に決まります。
solezoreでは、Shopifyでの構築から商品ページの制作、公開後の集客と運用までを一気通貫で承っています。いまの見積もりで集客の配分が足りているかを見るところだけ、というご依頼もお受けしています。
この記事を書いた solezore に相談する
記事に書ききれない具体策・料金・事例は、無料相談で。SNS/EC/SEO の領域別に専門家が対応します。

