

「数字は見ているのですが、どこを直せばいいのか分かりません」「指標が多すぎて、何を追えばいいのか決められません」――インサイトについてのご相談は、この2つに集中します。
結論からお伝えすると、最初に見るのは3つの数字だけで足ります。視聴完了率、プロフィール遷移率、注文数。この3つで、認知・関心・購買のどこが弱いかが判別できます。
solezoreでは、指標を増やすほど判断が遅くなるとお伝えしています。健康診断で全部の項目を眺めても、どこから治すかは決まりません。まず3つに絞る。
この記事では、インサイトの見られる場所から、最初に見る3つの数字、動画ごとの読み解き方、フォロワーの分析、週1回の振り返り、数字から打ち手を決める方法までを、実際に運用している立場から解説します。
TikTokインサイトとは
結論: インサイトは、投稿と視聴者に関する数字を確認する機能です。ビジネスアカウントに切り替えると使えるようになり、直近60日ほどのデータを見られます。
まず場所と範囲を整理します。
どこで見るか、3つの区分に何があるか
プロフィールの設定から、ビジネススイートを開くと表示されます。
内容は大きく3つに分かれます。全体の推移を見る概要、動画ごとの数字を見るコンテンツ、視聴者の属性を見るフォロワー。
概要では、期間中の再生数、プロフィールの表示回数、フォロワーの増減が分かります。運用全体が上向いているかを見る場所です。
コンテンツでは、動画ごとの詳細が見られます。視聴完了率、平均視聴時間、どこで離脱したか。改善の判断は、ここで行います。
フォロワーでは、視聴者の性別・年齢・地域・活動時間が分かります。届いている相手が想定と合っているかを確認します。
個人アカウントでは、一部の数字しか見られません。詳細な分析には、ビジネスアカウントへの切り替えが必要です。
切り替えは無料で、5分ほどで終わります。運用を始めたら、早い段階で切り替えておきます。データは切り替えた後の分しか蓄積されないためです。
最初に見る3つの数字
結論: 見るのは視聴完了率・プロフィール遷移率・注文数の3つです。この3つで、認知・関心・購買のどこで人が止まっているかが分かります。
指標を絞ります。
視聴完了率
最後まで見られた割合です。動画そのものの評価を示します。
目安として、20%を下回っていれば冒頭に問題があります。30%を超えていれば、動画としては成立しています。50%を超える動画は、配信も広がりやすくなります。
ここが低いまま他を改善しても、そもそも最後まで見られていないので変化は出ません。
測るのは同じ尺の動画どうしです。
プロフィール遷移率
動画を見た人が、プロフィールへ移動した割合です。関心の強さを示します。
再生数が多いのにここが低い動画は、面白いけれど商品と関係のない動画です。認知としては成立していますが、事業には繋がりません。
目安は、再生数の1〜3%です。1万回再生で100〜300人がプロフィールに来る水準になります。
低い動画が続くときは、動画の中で行き先を言っているかを確かめます。
注文数と遷移数、この3つで足りる理由
最終的な結果です。TikTok Shopなら注文数、外部ECならリンクのタップ数と注文数を見ます。
前の2つが良いのに注文が動かない場合、原因は商品ページか価格にあります。動画側をいくら直しても変わりません。
この3つは、認知・関心・購買という段階にそのまま対応しています。人がどこで消えているかを、順番に特定できる形です。
視聴完了率が低ければ、認知の段階で止まっています。ここが良くて遷移率が低ければ、関心には至っていません。両方が良くて注文が動かないなら、購買の段階です。
指標を10種類見ても、この順番が分からなければ打ち手は決まりません。逆に、この3つさえ追えば、直す場所は自動的に絞られます。
慣れてきたら、平均視聴時間や保存数を足していく形で構いません。ただし、最初の3か月はこの3つに集中するほうが、判断が速くなります。
インサイトで分からないこともあります。動画を見た人が、後日検索して購入した経路です。
TikTokで知って、翌週に商品名で検索し、自社サイトから購入する。この流れは、TikTokの数字には表れません。指名検索の回数を別に確認すると、この経路の存在が見えてきます。

動画ごとの数字の読み方
結論: 動画ごとに見るのは、離脱のグラフ・流入元の内訳・保存とシェアの数です。とくに離脱のグラフは、直す場所を直接示してくれます。
詳細画面の読み方です。
離脱のグラフ
どの秒数で見るのをやめたかが、グラフで示されます。
最初の3秒で急落しているなら、冒頭に問題があります。中盤でなだらかに落ちているなら、話が長いか場面の変化が足りません。最後まで平らなら、その動画は成功です。
10本分のグラフを並べると、自社の弱点が同じ場所に出ていることに気づきます。
グラフの後半が持ち上がっている動画にも注目してください。最後まで見た人が、もう一度最初から見ている状態です。繰り返し見られる動画は、配信の判断でも高く評価されます。短くまとまった動画で起きやすい現象です。
流入元の内訳
その動画がどこから見られたかが分かります。おすすめ、フォロー中、プロフィール、検索。
おすすめの割合が高い動画は、新しい人に届いています。フォロー中の割合が高い動画は、既存のフォロワーにしか届いていません。
検索からの流入が多い動画は、タグとキャプションの言葉が機能しています。この経路が増えているなら、その言葉を他の動画にも使います。
保存とシェアの差
保存は、後で見返したい人の行動です。ノウハウやまとめの動画に多く付きます。
シェアは、他人に送る行動です。数は少ないものの、配信量への影響は大きい。
自社の動画がどちらを取れているかで、次の作り方が決まります。保存は多いのにシェアが少ないなら、内容は良いが人に見せたくなる形になっていません。
どちらを取りにいくかは、目的で決めます。
フォロワーの分析
結論: フォロワーの画面では、性別・年齢・地域・活動時間が分かります。想定した顧客層と合っているかを確認し、ずれていれば動画のテーマを見直します。
視聴者を確認します。
年齢と性別
自社の顧客層と合っているかを見ます。
30代の女性向けの商品なのに、フォロワーの6割が10代の男性。この状態だと、再生数が伸びても注文には繋がりません。
ずれている場合、動画のテーマを見直します。ただし、いきなり全部を変えると既存のフォロワーが離れるため、3か月かけて入れ替えます。
入れ替える3か月の間は、再生数が落ちても止めません。
地域
実店舗の場合、最も重要な項目です。
来店できる範囲に何割が住んでいるか。8割が他県なら、動画は伸びていても来店には繋がりません。地名を動画に入れる、位置情報を付けるといった対策が要ります。
対策を打ったら、翌月にもう一度この割合を見ます。動かなければ、動画のテーマそのものが商圏の外を向いています。地名を足すだけでは戻りません。
活動時間と、フォロワー以外にどれだけ届いたか
フォロワーがアプリを開いている時間帯が、グラフで示されます。
この山の1時間前に投稿すると、初速が取りやすくなります。ただし、影響は2〜3割程度なので、冒頭や尺を整えた後の調整として考えます。
流入元の内訳で、おすすめからの割合を確認します。
この割合が高いほど、新しい人に届いています。フォロー中の割合が高いアカウントは、既存のフォロワーの中で回っている状態です。
立ち上げの時期は、おすすめからの流入が8割を超えることも珍しくありません。運用が進んでフォロワーが増えると、この割合は下がります。
問題なのは、おすすめからの流入が2割を切った場合です。新規に届かなくなっているため、フォロワーが増えず、売上も頭打ちになります。この状態では、テーマを広げるか、新しい型を試す段階です。
フォロワーの属性が想定と大きく違う場合、まず投稿の内容を疑います。
意図せず違う層に受けている、ということはよくあります。その層に商品を売れるなら方向を変える判断もありますし、本来の層に戻す判断もあります。どちらにせよ、気づかないまま続けるのが最も損です。
週1回の振り返り
結論: 振り返りは週に1回で足ります。上位3本と下位3本を並べ、冒頭・尺・テーマ・投稿時間の4点で違いを探す。この作業に20分かけます。
具体的な手順です。
- 上位3本と下位3本を選ぶ:再生数ではなく視聴完了率で並べる
- 4点で違いを探す:冒頭の言い回し、尺、テーマ、投稿時間
- 違いを言葉にする:「手元から始めた動画は最後まで見られる」
- 次週の企画に反映する:見つかった型で2〜3本作る
- 記録に残す:翌週も同じ視点で見られるように
毎日見ても、判断できるほどの差は出ません。むしろ日々の増減に振り回されます。
投稿から48時間ほど経ってから確認します。直後の数字は、まだ配信が広がる途中の値です。
月次で見ること
週次とは別に、月に1回は全体の推移を見ます。
見るのは、投稿本数と平均再生数の関係です。本数を増やした月に平均が下がっていれば、質が落ちている可能性があります。本数も平均も上がっていれば、型が機能しています。
フォロワー1,000人あたりの遷移数も、月次で見る価値があります。フォロワーが増えてもこの数字が下がっているなら、集めている層がずれ始めています。
季節の影響も、月次でないと見えません。年末年始や大型連休は、業種によって数字が大きく動きます。前年の同じ月と比べる習慣があると、慌てずに済みます。
数字を社内で共有するとき
報告の場に持っていく数字は、3つに絞ります。多いと、議論が数字の説明で終わります。
前月からの変化と、その理由。そして次に何を試すか。この3点が言えれば、報告としては十分です。フォロワー数だけを報告する形にすると、その数字を追う運用に傾いていきます。
3つは毎月同じものにします。月によって変えると、前月と比べられません。
記録の残し方
結論: インサイトのデータは期間が過ぎると見られなくなります。月に1回、主要な数字を表に残しておくと、半年後の比較ができます。
記録の実務です。
| 記録する項目 | 頻度 | 使い道 |
|---|---|---|
| 投稿本数 | 月次 | 本数と結果の関係を見る |
| 平均再生数 | 月次 | 全体の推移を見る |
| 視聴完了率の平均 | 月次 | 動画の質の変化を見る |
| プロフィール遷移数 | 月次 | 関心の強さを見る |
| フォロワーの増減 | 月次 | 積み上がりを見る |
| 上位3本の型 | 週次 | 次の企画に使う |
表計算ソフトで十分です。月に5分の作業ですが、1年続けると12か月分の推移が残ります。
上位3本の型は、文章で残しておきます。「調理の手元から始めた」「価格を冒頭で言った」といった形です。数字だけを残しても、後から何をしたかが分からなくなります。
広告を配信している場合は、その月の広告費も並べて記録します。オーガニックの数字と広告の数字が混ざると、どちらの成果か判断できなくなるためです。
担当者が代わったときにも、この記録があれば引き継げます。数字の記憶は個人に溜まりやすいため、外に出しておく価値があります。
数字から打ち手を決める
結論: 弱い数字によって、直す場所が変わります。視聴完了率なら冒頭と尺、遷移率ならテーマと締め、注文数なら商品ページ。この対応を間違えると、直しても変わりません。
対応表を示します。
| 弱い数字 | 原因の場所 | 打ち手 |
|---|---|---|
| 視聴完了率が20%未満 | 冒頭・尺 | 挨拶を削る、20秒に縮める |
| 中盤で離脱 | 構成 | 場面を切り替える、1本1メッセージ |
| プロフィール遷移率が1%未満 | テーマ・締め | 商品に近い内容にする、締めで案内する |
| フォロワーが増えない | プロフィール | 説明文3行、投稿を並べる |
| 注文が動かない | 商品ページ・価格 | ページの見せ方、価格の表示 |
| 検索流入が少ない | タグ・キャプション | 商品名と地域名を入れる |
変える点は、1か月に1つに絞ります。複数を同時に変えると、何が結果を動かしたのか分からなくなります。
見なくていい数字
結論: 指標は多く並んでいますが、最初は3つで足ります。増やすほど判断が遅くなるため、慣れるまでは見ないと決める数字を作ります。
絞る勇気も要ります。
累計の数字は、改善の材料にならない
累計の再生数は、増える一方の数字です。改善の材料にはなりません。
見るなら、1本あたりの平均再生数です。こちらは動画の質を反映します。
いいねは押しやすい行動なので、数だけを見ても判断できません。
見るなら、再生数に対する割合です。ただし、視聴完了率のほうが優先度は高くなります。
目安として、いいね率が3%を超えていれば良い水準です。ただ、この数字を上げるために内容を変えるより、視聴完了率を上げるほうが配信への影響は大きくなります。
有用な数字ですが、尺によって変わるため単独では比べられません。
視聴完了率のほうが、動画同士を比較しやすい指標です。慣れてきたら、こちらも見る形で構いません。
毎日見ないほうがよい理由
分析画面は毎日更新されますが、日ごとの数字は上下します。1日の落ち込みを見て設定を変えると、変化の理由が分からなくなります。
見る日を週1回に決めます。同じ曜日に、同じ項目だけを見る。この形にすると、変えた手と結果が対応します。
毎日見ても打ち手は変わりません。変わるのは気持ちだけで、その分だけ判断がぶれます。
solezoreの支援事例|業種別の進め方
結論: solezoreでは、数字の読み方から改善の設計までを支援しています。多くの場合、最初にやるのは見る指標を減らすことです。
食品|見る数字を3つに減らした
「毎日インサイトを見ているが、何を直せばいいか分からない」という相談です。
担当者は、10種類以上の数字を毎日記録していました。労力はかかっているものの、打ち手に繋がっていません。
見る数字を3つに絞りました。視聴完了率、プロフィール遷移率、注文数。確認は週1回です。
すると、視聴完了率が15%前後で止まっていることが明確になりました。冒頭に問題があると判断し、そこだけを1か月直しています。
翌月、視聴完了率は32%になりました。記録の手間は10分の1になっています。担当者から「見ないと決めたほうが、見えるようになりました」と言われました。
アプリ|離脱のグラフで原因が分かった
再生数が数千回で止まっていたアカウントです。冒頭は工夫していて、視聴完了率も40%を超えています。
離脱のグラフを10本分並べたところ、全部が同じ場所で落ちていました。18秒付近です。
動画を確認すると、その位置で毎回、機能の説明に入っていました。前半は生活の場面、後半は機能の解説。この切り替わりで、視聴者が離れています。
構成を変え、機能の説明を場面の中に溶かす形にしました。3週間で、平均再生数が4倍を超えています。

よくある質問
Q. インサイトはどこから見られますか?
A. プロフィールの設定からビジネススイートを開くと表示されます。ビジネスアカウントに切り替えていないと、一部の数字しか見られません。切り替えは無料で5分ほどで終わります。
Q. どの数字を見ればいいですか?
A. 視聴完了率、プロフィール遷移率、注文数の3つで足ります。この3つで、認知・関心・購買のどこで人が止まっているかが判別できます。指標を増やすほど判断が遅くなります。
Q. 視聴完了率はどのくらいあればいいですか?
A. 20%を下回っていれば冒頭に問題があります。30%を超えていれば動画として成立しており、50%を超えると配信も広がりやすくなります。
Q. 数字はどのくらいの頻度で見ればいいですか?
A. 週に1回で足ります。毎日見ても判断できるほどの差は出ず、日々の増減に振り回されます。投稿から48時間ほど経ってから確認してください。
Q. データはいつまで残りますか?
A. 直近60日ほどです。それより前のデータは見られなくなるため、月に1回、主要な数字を表に記録しておくと半年後の比較ができます。
Q. 再生数は多いのに注文が増えません。どこを見ればいいですか?
A. プロフィール遷移率を確認してください。ここが1%を下回っているなら、動画のテーマと商品がずれています。遷移率は高いのに注文が動かない場合は、商品ページか価格が原因です。
まとめ
インサイトについて、要点を整理します。
- ビジネスアカウントに切り替えると使える。データは直近60日ほど
- 最初に見るのは視聴完了率・プロフィール遷移率・注文数の3つ
- 離脱のグラフが、直す場所を直接示す
- 振り返りは週1回、上位3本と下位3本を4点で比べる
- 弱い数字によって直す場所が変わる。対応を間違えると変化は出ない
- 月に1回、主要な数字を記録に残す
補足すると、数字を見る目的は、次に何を作るかを決めることです。
記録を作ること自体が目的になると、細かく取ることに時間を使い、動画を作る時間が減ります。実際に、記録に週3時間かけて投稿が月4本というアカウントもありました。
数字は20分見て、残りの時間は作る。この配分のほうが、結果は早く出ます。
solezoreでは、数字の読み方から改善の設計までを支援しています。いまの数字のどこに原因があるかの診断からでも構いませんので、現状をお聞かせください。
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