

「機材を揃えたのですが、何から撮ればいいのか分かりません」「1本目は作れたのに、2本目が出てきません」――作り方については、この2つのご相談をよくいただきます。
先に結論をお伝えすると、作り方でつまずく原因のほとんどは撮影の技術ではなく、1本ずつ作ろうとしていることにあります。企画を1本立てて、撮って、編集して、出す。この進め方だと2本目で止まります。まとめて企画し、まとめて撮り、まとめて編集する形に変えると、同じ時間で本数が3倍になります。
solezoreでは、動画づくりを料理の作り置きに近いものだと考えています。毎食ゼロから作るのは続きません。週末にまとめて仕込み、平日は出すだけにしておく。動画も同じ段取りで回ります。
この記事では、企画の立て方から撮影の準備と手順、編集の作業、書き出しと公開前の確認、そして作り続けるための仕組みまでを、実際に制作を代行している立場から順に解説します。
作り方の全体像|5つの工程
結論: 工程は企画、撮影の準備、撮影、編集、公開前の確認の5つです。時間配分でいうと、企画に4割を使うのが最も無駄が出ません。
先に全体を並べます。
5つの工程の時間配分と、まとめて作る理由
10本分をまとめて作る場合、次のような配分になります。
| 工程 | 10本分の時間 | 誰がやるか |
|---|---|---|
| 企画 | 3〜4時間 | 社内 |
| 撮影の準備 | 1時間 | 社内 |
| 撮影 | 2〜3時間 | 社内または外部 |
| 編集 | 5〜10時間 | 外部に出しやすい |
| 公開前の確認 | 1時間 | 社内 |
編集が最も時間を食いますが、ここは外に出せます。企画と確認は社内に残る部分です。
1本ずつ作ると、毎回すべての工程を通ることになります。カメラを出して、場所を作って、片付ける。この準備と後片付けが、10本分でも1本分でも同じだけかかります。
まとめて撮ると、1本あたりの手間が一気に下がります。撮影1日で8〜12本という数字は、外注の見積もりでも標準的な水準です。 社内で撮る場合も、この本数を目標にすると段取りが決まります。
最初の10本は、公開して反応を見るための材料です。ここで完成度を上げようとすると、1本に3日かかって続きません。
粗くても出して、伸びた本の共通点を探す。この順番のほうが早く上達します。作り込むのは、どういう内容が読まれるか分かってからで足ります。
企画|1本のテーマを決める
結論: 企画で決めるのは、誰の何の困りごとに答えるかの1点だけです。テーマが2つ以上入った動画は、最後まで見られません。
ここが最も結果を左右する工程です。
ネタの出し方
ネタが思いつかないという状態は、探す場所が足りていないだけであることが多いです。次の4か所を見ると、10本分はすぐに埋まります。
- 問い合わせで実際に聞かれた質問。同じ質問が3回来ていれば、それは需要です
- 商品の使い方で、説明しないと伝わらない部分
- 業界では常識だが、お客様には知られていないこと
- 自社が過去に失敗したこと。成功談より最後まで見られます
4つ目を出すのに抵抗を感じる会社は多いのですが、失敗の話は最も反応が返ってきます。うまくいった話は聞き飽きられている、というのが実際のところです。
1本1テーマに絞る・台本を1枚にする
伝えたいことが3つあるなら、3本に分けます。1本に詰めると、視聴者は何の話だったか覚えていません。
分けることには別の利点もあります。3本になれば投稿の在庫が3週間分になり、どのテーマの反応が良かったかも分かります。まとめて出すと、良かった理由が特定できません。
台本は、話す言葉をすべて書く必要はありません。1枚の紙に、次の5つを箇条書きで置けば足ります。
- 最初の2秒で言う一言
- なぜそれが起きるのか
- 具体的な手を1つ
- 見せる証拠(画面、実物、数字のいずれか)
- 最後の一言
証拠の欄が埋まらない企画は、撮影の前に作り直します。 話しているだけの動画は、内容が正しくても見られません。

撮影の準備|機材と場所
結論: 必要なのはスマートフォン、三脚、外付けのマイク、そして明るい場所の4つです。カメラを買い足す前に、音と光を整えるほうが変化が出ます。
高い機材は要りません。
揃えるもの
スマートフォンは、ここ数年以内の機種であれば画質は足ります。三脚は5,000円前後のもので構いません。
差が出るのはマイクです。内蔵のマイクは周囲の音を拾いすぎるため、話し声が遠くなります。1万円前後の外付けマイクを1つ入れるだけで、最後まで見られる割合が変わります。
照明は、まず窓の近くで撮ることから試します。それでも暗い場合に、1万〜3万円の照明を足す順番です。
予算別に何から揃えるか・場所を固定する
使える金額によって、優先する順番が変わります。
| 使える金額 | 揃えるもの | 変わること |
|---|---|---|
| 5,000円 | 三脚のみ | 手ぶれが消え、画面が安定する |
| 2万円 | 三脚+外付けマイク | 声が近くなり、最後まで見られる割合が上がる |
| 5万円 | 三脚+マイク+照明 | 顔の影が消え、清潔感が出る |
| 10万円以上 | 上記+編集用のソフト・作業用の端末 | 月20本以上を扱えるようになる |
10万円をかけても、企画が弱ければ結果は変わりません。 機材にかける金額と再生数は、思われているほど連動しません。順番としては、2万円の構成で10本作ってみて、それから足りないものを足すやり方が無駄になりません。
撮影のたびに場所を探していると、それだけで気力が削がれます。社内の一角を撮影用に決めてしまい、三脚の位置に印を付けておく方法が回ります。
背景も固定します。毎回変わると、チャンネル全体で見たときにまとまりがなくなります。同じ背景で撮り続けたチャンネルのほうが、誰の動画か覚えてもらいやすくなります。
撮影の手順|まとめ撮りが前提
結論: 1日で8〜12本を撮り切る段取りを組みます。1本ずつ日を分けると、服装も光も変わり、編集で揃わなくなります。
段取りの話です。
撮影日の進め方
朝から始めるとして、次の流れになります。
- 準備に30分。三脚を立て、光を確認し、マイクの音を1本録って確かめます
- 1本目は捨てる前提で撮ります。声の調子が出るまで時間がかかるためです
- 2本目からは、台本を1枚ずつ手元に置き、連続で撮ります
- 4本ごとに5分休みます。声が疲れると、語尾が弱くなります
- 最後に、撮り漏れた導入部分だけをまとめて撮り直します
服装を途中で変えないことが唯一の制約です。変えると、公開の順番を入れ替えられなくなります。
1本を撮るときのコツ・撮り直しを減らす確認
同じ内容を2〜3回繰り返して撮ります。1回目より2回目のほうが確実に良くなるためで、編集で選べる余地も生まれます。
アングルは2つ以上。正面と、手元や商品の寄り。ショートは2秒ごとに画面が切り替わる作りが標準になっているため、素材が1つだと編集で組めません。
撮っている最中に確認するのは3点です。音が割れていないか、顔に影が落ちていないか、画面の端に余計なものが写っていないか。
この3つは編集で直せません。1本目を撮り終えた時点で再生して確かめておくと、10本撮り終えてから全部やり直す事態を避けられます。
編集の手順|6つの作業
結論: 編集でやるのは、選ぶ、切る、詰める、テロップ、音、書き出しの6つです。凝った演出を足す作業ではありません。
順番に見ていきます。
6つの作業の中身
編集を初めてやる場合、次の順で進めると迷いません。
- 使う映像を選ぶ。2〜3回撮ったうちの1つを決めます
- 前後の余計な部分を切る。カメラを回し始めてから話し出すまでは要りません
- 無音の空白を詰める。0.1〜0.2秒まで削ります
- テロップを入れる
- 音を整える。声の大きさを揃え、BGMを入れます
- 縦型で書き出す
3番目の効果が最も大きいです。間を詰めるだけで、同じ内容が別の動画に見えます。
使う道具
スマートフォンの無料アプリで足ります。パソコンの有料ソフトが必要になるのは、月に20本以上を扱うようになってからです。
外注する場合は、1本3,000〜1万5,000円が相場です。月16本前後をまとめて任せると、月8万〜15万円という水準になります。編集は社内で抱えると本数が止まる工程なので、早い段階で外に出す会社が多いです。
音とテロップ|見られる条件
結論: テロップは省けません。音を出さずに見る視聴者が一定数いるためで、テロップがない動画はその層に何も伝わらないまま終わります。
細かいようで、数字に直結する部分です。
テロップの基準・音の扱い
文字は大きく、行数は2行まで。画面の下から3分の1あたりに置くと、操作のボタンと重なりません。
全部の言葉を文字にする必要はありません。話し言葉をそのまま出すと読みきれないため、要点だけを短く出すほうが読まれます。1画面に入る文字数は、20字前後が目安です。
声の大きさは全編で揃えます。冒頭が小さく途中から大きい動画は、それだけで離脱します。
BGMは80〜100BPMの範囲から選ぶと、話すテンポと合いやすくなります。音量は声より明らかに小さく。BGMが主役になっている動画は、内容が入ってきません。
音源は、権利を確認したものだけを使います。確認せずに使うと、後から音声が消される場合があります。商用で使える音源のサービスは月1,000〜5,000円で契約でき、この金額を惜しむと作り直しのほうが高くつきます。
書き出しと公開前の確認
結論: 書き出しは縦型の1080×1920で行います。公開前に確認するのは、音、テロップの誤字、冒頭2秒、尺、リンクの5点です。
作った後の最後の工程です。
書き出しの設定
縦横比は9:16、解像度は1080×1920が推奨されています(出典:YouTubeヘルプ)。横型の素材を使う場合は、左右を切って縦型に収めます。
上下に黒い帯が入る形では、ほぼ見られません。帯の分だけ映像が小さくなり、スクロールされます。縦型で撮れなかった素材は、長尺側で使うほうが無駄になりません。
公開前の5項目
出す前に、通しで1回再生して確かめます。
- 音が全編で揃っているか
- テロップに誤字がないか
- 冒頭2秒に社名や挨拶が入っていないか
- 尺が長すぎないか。伝えたいことが終わったところで切ります
- 説明文と固定コメントのリンクが正しいか
2番目は特に大切です。動画は投稿後に差し替えられないため、誤字に気づいた場合は削除して上げ直すことになり、それまでの再生数と反応が消えます。
作り続けるための仕組み
結論: 続く体制は、企画の在庫と型の2つで決まります。次に何を作るか毎回考えている状態は、いずれ止まります。
最後は、2本目以降の話です。
在庫を持つ・型を3つ持つ
企画は常に10本分を先に用意しておきます。撮影の直前に考えると、内容が薄くなるうえ、撮影日そのものが延期されがちです。
在庫を作るには、月1回1時間の企画の時間を決めてしまうのが早いです。1時間で10本分を出すのは、慣れれば難しくありません。 ネタの出所は先に挙げた4か所で足ります。
毎回ゼロから構成を考えると時間がかかります。うまくいった形を3つ決めて、中身だけ差し替える運用にします。
たとえば、よくある失敗を挙げてから正しい方法を出す型。手順を3ステップで見せる型。お客様の質問に答える型。この3つがあれば、大半の内容は当てはめられます。
型が決まっていると、外注に出すときも指示が短く済みます。台本の書式が揃うため、編集の担当も迷いません。
編集を外に出すときの渡し方
「編集が凝っているほど伸びる」と思われがちですが、外注してから伸びが変わる要因は演出ではなく、渡し方にあります。素材と一緒に何を渡すかで、戻ってくるものの精度が決まります。
渡すのは4点です。撮影した素材、1枚の台本、テロップの書式を書いた紙、そして参考になる自社の過去動画を1本。参考の1本があると、言葉で説明しきれない雰囲気が伝わります。
修正の回数は、契約の時点で決めておきます。多くの場合は2回までが標準で、それ以上は追加費用になります。修正の回数より、初回の指示の精度を上げるほうが結果的に早く仕上がります。
素材の受け渡しは、共有のフォルダを1つ決めて固定します。毎回違う方法で送ると、どれが最新か分からなくなり、古い素材で編集される事故が起きます。
solezoreの支援事例|業種別の進め方
結論: solezoreでは、撮影を始める前に企画の在庫を作り切ります。ここでは2つの業種で、最初に何を変えたかを紹介します。
アパレル|撮影日を月1回に集約した例
週2本の投稿を目標にしていたブランドですが、実際には月に2〜3本しか出せていませんでした。理由を聞くと、撮影のたびにスタジオを借り、モデルの予定を合わせていたためです。
段取りを変え、月1回の撮影日に12本分をまとめて撮る形にしました。服装は3パターンだけ用意し、4本ごとに着替えます。
3か月目には月9本の投稿が定着しました。撮影の回数は月4回から1回に減っており、かかった費用も下がっています。
「もっと早くまとめればよかった」というお言葉が、担当の方から出ました。
飲食|テロップの基準を1枚にした例
複数店舗を持つ飲食店で、店舗ごとにスタッフが動画を作っていました。本数は出ていましたが、文字の大きさも位置もばらばらで、チャンネル全体としてまとまりがない状態です。
数字を見ると、文字が小さい店舗の動画だけ最後まで見られた割合が低く出ていました。読めないまま流されていたわけです。
そこで、テロップの書式を1枚の紙にまとめ、全店舗に配りました。文字の大きさ、行数、位置、色。決めたのはこの4つだけです。
翌月から、店舗間の差がほぼ消えました。作り手を替えたわけではなく、基準を揃えただけです。

よくある質問
Q. スマートフォンだけで作れますか?
A. 作れます。撮影も編集も投稿もスマートフォンで完結します。買い足すとしたら三脚と外付けのマイクで、合わせて1万5,000円ほどです。画質より音の悪さのほうが離脱につながるため、機材を増やすならマイクから入るほうが変化が出ます。
Q. 1本作るのにどのくらい時間がかかりますか?
A. 1本ずつ作ると、企画から公開まで2〜3時間かかります。10本まとめて作る場合は合計12〜19時間で、1本あたり1時間半ほどに下がります。準備と片付けが1回で済むためです。時間が取れない場合ほど、まとめ撮りに切り替えるほうが結果的に楽になります。
Q. 何本くらい作れば反応が分かりますか?
A. 10本が最初の目安です。1〜2本では、伸びた理由も伸びなかった理由も分かりません。10本出して、最後まで見られた割合を並べると、テーマと構成のどちらが影響しているかが見えてきます。判断はそこからで足ります。
Q. 顔を出さずに作ることはできますか?
A. できます。手元の作業、商品の寄り、画面の録画で構成する動画は多く、業種によってはそちらのほうが向きます。ただしナレーションか字幕のどちらかは必要です。音も文字もない動画は、内容が伝わらないまま流されます。
Q. 編集はどこまで自分でやるべきですか?
A. 最初の10本は自分でやってみるほうが、外注するときの指示が具体的になります。そのうえで、月8本を超えるあたりから外に出す会社が多いです。編集は社内で抱えると本数が止まる工程で、1本3,000〜1万5,000円で任せられます。
Q. 台本は毎回書いたほうがいいですか?
A. 1枚は書きます。ただし話す言葉を全部書く必要はなく、冒頭の一言、原因、具体的な手、見せる証拠、最後の一言の5つが並んでいれば足ります。台本なしで撮ると、話がまとまらず尺が伸び、編集で削る手間が増えます。
まとめ
YouTubeショートの作り方について、要点を整理します。
- 工程は企画、撮影の準備、撮影、編集、公開前の確認の5つ
- 1本ずつ作らない。10本まとめて企画し、まとめて撮る
- 企画で決めるのは、誰の何の困りごとに答えるかの1点だけ
- ネタは問い合わせ、使い方、業界の常識、失敗談の4か所から出す
- 機材はスマートフォン、三脚、外付けマイク、明るい場所で足りる
- 撮影は1日8〜12本。服装を途中で変えない
- 編集は選ぶ、切る、詰める、テロップ、音、書き出しの6作業
- テロップは省かない。1画面20字前後で要点だけ
- 書き出しは縦型の1080×1920。上下に帯が入る形では見られない
- 企画の在庫を10本分、型を3つ持つと続く
最後に、本文で触れなかったことを1つ。最初の10本は、公開する順番を後から入れ替えられるように撮っておくと運用が楽になります。 服装と背景を揃えておけば、反応の良かった型を先に出し直すこともできます。
やらないほうがよいこともあります。1本目から凝った演出を入れること、他社の動画を構成ごと真似すること、複数人の承認を通す運用にすること。この3つは、いずれも本数が止まる原因になります。
次の一歩としては、企画を10本分紙に書き出すところからです。撮影の日程を決めるのは、そのあとで構いません。
solezoreでは、企画の設計から撮影、編集、投稿までを一気通貫でお手伝いしています。まずは10本分の企画を一緒に作るところから、というご依頼もお受けしています。
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