

「ビジネスアカウントにすると伸びなくなると聞いたのですが、本当ですか」「切り替えたら、これまで使っていた音源が使えなくなりました」――ビジネスアカウントについては、この2つのご相談が繰り返し届きます。
結論からお伝えすると、切り替えで伸びなくなるという事実は確認されていません。実際に起きるのは使える音源が商用利用可能なものに限られることで、この制約が数字に影響しているケースはあります。
solezoreでは、法人であればビジネスアカウントを使うことをおすすめしています。企業活動として動画を出す以上、著作権の扱いを曖昧にしたまま運用するほうが危険だからです。分析画面が使えるようになる利点も大きい。
この記事では、ビジネスアカウントで使える機能から、音源の制約とその対処、切り替えの手順、分析画面の見方、クリエイターアカウントとの違い、切り替えるタイミングまでを、実際に運用している立場から解説します。
TikTokビジネスアカウントとは
結論: ビジネスアカウントは、企業や店舗が使うことを想定した無料の設定です。分析画面と広告配信が使えるようになる代わりに、使用できる音源が商用利用可能なものに限られます。
まず全体像を整理します。
個人アカウントとの違いと、誰が使うべきか
| 項目 | 個人アカウント | ビジネスアカウント |
|---|---|---|
| 費用 | 無料 | 無料 |
| 分析画面 | 一部のみ | 詳細に見られる |
| 広告の配信 | できない | できる |
| プロフィールのリンク | 条件あり | 設置できる |
| 問い合わせボタン | なし | 設置できる |
| 使える音源 | 一般の楽曲を含む | 商用利用可能なものに限られる |
| 業種の設定 | なし | 設定できる |
費用はどちらも無料です。切り替えにお金はかかりません。
有料の上位版があると思われがちですが、ビジネスアカウント自体は無料です。
費用が発生するのは、広告を配信する場合だけ。アカウントの機能を使うだけなら、負担はありません。
法人と店舗は、ビジネスアカウントを使ってください。商品やサービスを紹介する動画を出す以上、商用利用の枠内で運用するのが筋になります。
一方、個人が趣味で投稿する場合は個人アカウントのままで構いません。流行の楽曲を自由に使えるためです。
判断の基準は、収益を目的としているかどうかです。
使える機能
結論: ビジネスアカウントで使える主な機能は、分析画面・プロフィールのリンク・問い合わせボタン・広告配信の4つです。とくに分析画面は、改善の判断材料になります。
1つずつ見ていきます。
分析画面・プロフィールのリンク
動画ごとの再生数、視聴完了率、平均視聴時間、視聴者の属性を確認できます。
フォロワーの活動時間も分かるため、投稿の時間を決める材料になります。この画面がないと、感覚で判断することになります。
過去60日分ほどのデータを見られます。定期的に記録を残しておくと、長期の変化も追えます。
自社サイトやTikTok Shopへのリンクを設置できます。動画を見て興味を持った人が、次に進む場所です。
リンクは基本的に1つです。複数を並べたい場合は、リンクをまとめるページを使う方法もありますが、選択肢が増えるほどタップ率は下がります。
問い合わせボタン
メールアドレスや電話番号を設定すると、プロフィールに問い合わせのボタンが表示されます。
サービス業や法人向けの商材では、この導線が有効です。フォームを経由せず、直接連絡を取れる形になります。
設定するときは、実際に対応できる連絡先にします。代表電話を設定して、その番号に出られる人がTikTokのことを知らないと、問い合わせた側が戸惑います。専用のメールアドレスを1つ用意しておくと、対応の担当も決めやすくなります。
業種の設定・広告の配信
ビジネスアカウントでは、業種を設定できます。飲食、小売、美容、教育など、カテゴリから選ぶ形です。
この設定は、配信先の判断に使われることがあります。実態と近いものを選んでおきます。後から変更もできるため、迷ったら仮で選んで進めて構いません。
ビジネスアカウントでないと、広告を配信できません。
すでに投稿した動画を広告として配信する形(Spark Ads)も、ビジネスアカウントが前提になります。オーガニックで反応の良かった動画を伸ばしたいなら、切り替えが必要です。

制約|音源の範囲
結論: ビジネスアカウントで使えるのは、商用利用が許可された音源に限られます。流行している一般の楽曲が使えない場合があり、これが数字に影響することがあります。
最も影響の大きい制約です。
商用利用可能な音源に限られる・影響がある場面
TikTokは、商用利用できる音源のライブラリを用意しています。ビジネスアカウントでは、ここから選ぶ形になります。
曲数は数万件以上あり、選択肢が乏しいわけではありません。ただし、いま流行している曲が含まれないことがあります。
音源そのものが拡散の入口になる動画では、影響が出ます。
流行の曲を使うと、その曲をたどって見に来る人に届くことがあります。この経路が使えないぶん、拡散の機会は減ります。
一方、商品の説明や実演が中心の動画では、影響はほとんどありません。音源は背景であり、内容が視聴を決めるためです。
「切り替えたら伸びなくなった」という相談を受けたとき、多くは音源以外に原因があります。切り替えと同時に投稿の内容も変えていた、というケースが目立ちます。
対処の方法
流行の音源を使いたい場合、いくつかの方法があります。
現場の音を使う。調理の音、機械が動く音、話し声。こうした音のほうが、商品の内容が伝わることもあります。
自社で音源を用意する形もあります。費用はかかりますが、権利の心配がありません。
そして、商用ライブラリの中でも使用数の多い音源を探す。1万件以上使われている音源なら、拡散の入口としても機能します。
自社で音源を用意する場合の相場も挙げておきます。既成の音源を購入する形なら1曲5,000円から3万円、オリジナルの制作を依頼すると1曲10万円前後。長く使うことを前提にすれば、1年あたりの負担は小さくなります。
支援先では、15秒の短い音源を1つ作り、全部の動画の冒頭に使っている例があります。同じ音が流れることで、アカウントの印象が揃うという副次的な効果もありました。
切り替えの手順
結論: 切り替えは設定画面から5分ほどで完了します。フォロワーと過去の投稿は引き継がれますが、商用利用の対象外の音源を使った動画が非公開になることがあります。
具体的な手順です。
5つの手順と、切り替える前に確認すること
- プロフィールの設定を開く
- アカウントの項目を選ぶ
- ビジネスアカウントに切り替えるを選ぶ
- 業種を選択する
- プロフィールの情報を追加する
業種の選択は、後から変更できます。最も近いものを選んでおけば構いません。
過去の投稿で使った音源を確認しておきます。
商用利用の対象外の音源を使っている動画は、切り替え後に非公開になることがあります。伸びていた動画が消えると、その分の流入も止まります。
該当する動画が多い場合、切り替えの時期を検討します。ただし、いずれにせよ企業活動として使う以上、対応が必要な問題です。
戻せます。設定画面から、いつでも個人アカウントに切り替え直せます。
ただし、頻繁に切り替えるのはおすすめしません。分析のデータが途切れることがあります。
分析画面の見方
結論: 分析画面で最初に見るのは、視聴完了率・プロフィール遷移率・フォロワーの活動時間の3つです。この3つで、動画の改善点と投稿時間の判断ができます。
使い方を絞ります。
最初に見る3つ・見なくていい数字
視聴完了率は、動画そのものの評価です。低ければ、冒頭か尺に原因があります。
プロフィール遷移率は、興味を持たれたかを示します。再生数が多いのにここが低い動画は、面白いけれど商品と関係のない動画です。
フォロワーの活動時間は、投稿の時間を決める材料になります。山の1時間前に投稿するのが基本です。
指標は多く並んでいますが、最初は3つで足ります。
数字を増やすほど判断が遅くなります。慣れてきたら、平均視聴時間や視聴者の地域を足していく順番で構いません。
記録の残し方
分析画面のデータは、期間が過ぎると見られなくなります。
月に1回、主要な数字を記録しておきます。投稿本数、平均再生数、視聴完了率、フォロワーの増減。この4つを残しておくと、半年後の比較ができます。
記録は表計算ソフトで十分です。毎月5分の作業ですが、1年続けると12か月分の推移が手元に残ります。担当者が代わったときにも、この記録があれば引き継げます。
数字を見る頻度
毎日見る必要はありません。週に1回、まとめて確認する形が向いています。
投稿から48時間ほど経ってからでないと、配信が広がりきりません。投稿直後の数字で判断すると、伸びる途中の値を見ることになります。
週1回の確認では、上位3本と下位3本を並べます。この6本の違いを見るだけで、次に何を作るかが決まります。
クリエイターアカウントとの違い
結論: クリエイターアカウントは、個人の発信者向けの設定です。ライブギフトなど個人向けの収益化機能が使え、音源の制約もビジネスアカウントより緩やかになります。
3つ目の選択肢です。
位置づけの違いと、法人が使ってよいか
ビジネスアカウントは企業向け、クリエイターアカウントは個人の発信者向けです。
クリエイターアカウントでは、ライブギフトやCreator Rewardsといった個人向けの収益化に対応します。音源も、ビジネスアカウントより広い範囲が使えます。
設定としては選べますが、企業活動として使うなら適切ではありません。
商用利用の範囲を超えた音源を、企業の宣伝に使うことになります。権利の問題が生じる可能性があります。
代表者が個人として発信する場合は、クリエイターアカウントが適します。会社の商品を紹介するなら、ビジネスアカウントです。
企業アカウントと、代表者の個人アカウントを分けて運用する形もあります。
企業アカウントはビジネス、個人アカウントはクリエイター。それぞれの役割に応じた設定にします。
ただし、運用の手間は倍になります。担当者が1人なら、まず企業アカウントに集中するほうが現実的です。
切り替えるタイミング
結論: 開設と同時に切り替えるのが基本です。すでに運用している場合も、広告の配信や分析が必要になった段階で切り替えます。先延ばしにする理由はほとんどありません。
判断の目安です。
開設時に切り替えるか、必要になってからか
新しくアカウントを作る場合、最初からビジネスアカウントにします。
初期のデータが取れるためです。後から切り替えると、それまでの期間の分析ができません。
広告を配信したい、分析画面を見たい。この2つのどちらかが必要になったら、切り替える段階です。
多くの場合、投稿を30本ほど出した頃に必要性が出てきます。何が伸びているかを数字で確認したくなるためです。
流行の音源を軸に伸ばしているアカウントでは、切り替えを迷う場面があります。
その場合も、企業として使う以上は商用利用の枠内に収めるのが原則です。音源以外で拡散の入口を作る方法を検討します。
つまずきやすい点
結論: つまずくのは、切り替え後に過去の動画が非公開になる場合と、切り替えと同時に他の要素も変えてしまう場合です。どちらも事前の確認で避けられます。
繰り返し起きるものを挙げます。
過去の動画が非公開になる
商用利用の対象外の音源を使った動画が、切り替え後に非公開になることがあります。
伸びていた動画が消えると、その分の流入も止まります。切り替える前に、過去の投稿で使った音源を確認しておきます。
対応としては、非公開になった動画を音源だけ差し替えて再投稿する方法もあります。ただし、それまでの再生数といいねは引き継がれません。
切り替えと同時に他を変える・業種の設定を放置する
切り替えのタイミングで、投稿の内容や頻度も変えてしまう。この場合、数字が動いた原因が分からなくなります。
切り替えだけを行い、他の条件は2週間そのままにします。それから内容の変更に移ると、影響を切り分けられます。
業種の設定は、配信の判断に使われることがあります。最も近いものを選んでおきます。
後から変更できるため、迷ったら仮で選んで進めて構いません。
solezoreの支援事例|業種別の進め方
結論: solezoreでは、アカウントの設定から運用までを支援しています。切り替えの判断は、その後の施策を見据えて行います。
食品|切り替えてから広告に進んだ
「オーガニックで数字が頭打ちになった」という相談をいただきました。個人アカウントのまま2年運用していた状態です。
まずビジネスアカウントへ切り替えました。過去の投稿を確認したところ、非公開になる動画は3本だけ。影響は小さいと判断しています。
切り替え後、分析画面で数字を確認できるようになりました。すると、視聴完了率が特に高い型が2つあることが分かった。それまでは再生数だけで判断していたため、見えていなかった情報です。
その2つの型に絞って広告を配信し、3か月で商品ページへの遷移が5倍になっています。
音楽|あえて分けて運用した
インディーズのレーベルからのご相談です。楽曲を広めたいという目的があり、音源の制約が問題になりました。
選んだのは、2つのアカウントを分ける形です。レーベルの公式アカウントはビジネスアカウント、所属アーティストの個人アカウントはクリエイターアカウント。
公式アカウントでは、リリース情報や制作の裏側を出します。アーティストのアカウントでは、楽曲そのものを使った投稿を続ける。
役割を分けたことで、どちらも制約の中で動けるようになりました。担当者が「1つにまとめようとして詰まっていた」と話していたのが印象に残っています。

よくある質問
Q. ビジネスアカウントにすると伸びなくなりますか?
A. 切り替えそのもので配信が減るという事実は確認されていません。実際に起きるのは、使える音源が商用利用可能なものに限られることです。音源が拡散の入口になっていた場合は影響が出ますが、商品の説明が中心の動画ではほとんど変わりません。
Q. ビジネスアカウントは有料ですか?
A. 無料です。切り替えにも費用はかかりません。お金が発生するのは、広告を配信する場合だけです。
Q. 切り替えると過去の投稿はどうなりますか?
A. フォロワーと過去の投稿は引き継がれます。ただし、商用利用の対象外の音源を使った動画は非公開になることがあります。切り替える前に、過去の投稿で使った音源を確認してください。
Q. 個人アカウントに戻せますか?
A. 戻せます。設定画面からいつでも切り替え直せます。ただし、頻繁に切り替えると分析のデータが途切れることがあるため、必要がなければそのままにしてください。
Q. クリエイターアカウントとどちらがいいですか?
A. 法人で商品を紹介するならビジネスアカウントです。クリエイターアカウントは個人の発信者向けで、企業の宣伝に使うと商用利用の範囲を超える可能性があります。代表者が個人として発信する場合は、クリエイターアカウントが適します。
Q. いつ切り替えるべきですか?
A. 開設と同時が基本です。すでに運用している場合は、広告の配信か分析が必要になった段階で切り替えます。投稿を30本ほど出した頃に、必要性が出てくることが多いところです。
まとめ
ビジネスアカウントについて、要点を整理します。
- 無料。切り替えにも費用はかからない
- 使えるのは分析画面・リンク・問い合わせボタン・広告配信の4つ
- 制約は音源。商用利用可能なものに限られる
- 切り替えで伸びなくなるという事実は確認されていない
- 過去の動画が非公開になることがある。事前に音源を確認する
- 法人と店舗はビジネスアカウント。個人の発信者はクリエイターアカウント
補足すると、切り替えを迷っている時間のほうが、実は損失になっている場合があります。
分析画面が使えないまま3か月運用すると、その3か月分の判断材料が残りません。何が伸びたのかを感覚でしか語れない状態です。
先に切り替えて、データを取りながら進める。音源の制約は、他の方法で埋められます。順番としては、まず切り替えから入るほうが無理がありません。
solezoreでは、アカウントの設定から運用、広告の配信までを支援しています。切り替えの影響を確認したい段階でも構いませんので、現状をお聞かせください。
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