

「動画は作れるようになったのですが、これをどう売上につなげるかが分かりません」「予算をどこにいくら配ればいいか、判断の基準がありません」――マーケティングとしてのご相談は、この2つです。
結論からお伝えすると、ショート動画は打ち手が5つあり、それぞれ費用も効果が出るまでの期間も違います。全部を同時に始めると、どれも中途半端になります。順番を決めるところから始めます。
solezoreでは、この5つを道具箱にたとえて説明しています。どれも必要な道具ですが、最初に手に取る順番があります。釘を打つ前にやすりを使っても、作業は進みません。
この記事では、打ち手5つのカタログ、予算の配分、着手の順番、他の施策との組み合わせ、KPIの置き方、撤退の基準までを、実際に支援している立場から解説します。
ショート動画マーケティングの位置づけ
結論: ショート動画に流れてくるのは、まだ検討していない層です。検索で取れるなら、まずそちらが基本になります。
まず、他の施策との関係を整理します。
潜在層に当てる施策
流れてくる動画を見ている人は、その商品を探していません。価格や仕様を直球で出しても止まりません。
「こんなものもあります」と弱く当てる形が合っています。検索に出す広告のように、条件を並べる書き方は機能しません。
一方で、探している人には検索で届きます。ここが取れているなら、動画より先にそちらを固めます。
先に検索の状況を見る
始める前に、その領域の検索を確認します。判断の材料は2つです。
- 検索の広告でクリック単価が高いか(500円以上が目安)
- そもそも検索している人が少ないか
このどちらかに当てはまるほど、動画の出番が回ってきます。検索で安く取れる状態なら、動画を始める優先度は下がります。
逆に、検索の枠が高騰している領域では、動画のほうが安く届く場合があります。
成果まで6か月
投稿を主軸にする場合、判断は6か月です。最初の20本は型を作る期間で、そこから先に差が出ます。
3か月で判断すると、まだ型が固まっていない状態で結論を出すことになります。他の施策と比べると、立ち上がりが遅い部類に入ります。
すぐに数字が要る場合は、広告として配信する打ち手から始めます。ただし、素材の本数を確保できることが前提です。
打ち手のカタログ|5つの使い方
結論: 打ち手は5つあります。自社の投稿、広告配信、クリエイターへの依頼、顧客やスタッフの投稿、他の場所への転用です。
それぞれの性質を押さえます。
5つの比較・自社の投稿が土台になる
| 打ち手 | 費用の目安 | 立ち上がり | 向いている状況 |
|---|---|---|---|
| 自社アカウントの投稿 | 月8万〜15万円 | 6か月 | 続けられる体制がある |
| 広告として配信 | 月20万円〜 | 2週間〜1か月 | 本数を確保できる |
| クリエイターへの依頼 | 1本3万〜80万円 | 1か月半 | 認知を短期に広げたい |
| 顧客やスタッフの投稿 | ほぼ費用なし | 3か月〜 | 現場に人がいる |
| 他の場所への転用 | 追加費用なし | 即時 | 既に素材がある |
5番目は既に作った素材を使う打ち手なので、最初に確認します。追加の費用がかからず、その日から始められます。
他の4つは、自社の投稿がある前提で機能します。広告に出す素材も、クリエイターに渡す型も、ここから生まれます。
投稿を止めたまま広告だけを回すと、素材が尽きます。摩耗は1〜2週間から長くて1か月で起きるため、新しい素材を供給し続ける仕組みが要ります。
自社の投稿は、素材の生産ラインとして位置づけます。
費用のかからない手から見て、依頼は最後に足す
顧客やスタッフの投稿は、費用がほとんどかかりません。ただし、仕組みを作る手間がかかります。
投稿してもらう理由、使ってよい範囲、社内での扱いを決めます。決めずに呼びかけると、誰も投稿しません。
店頭で声をかける、投稿を紹介する、社内で共有する。この3つを回すと、少しずつ増えていきます。
外部の人に投稿してもらう打ち手は、認知を短く広げられます。ただし費用の幅が大きく、受け皿が整っていないと流れた人が定着しません。
報酬はフォロワー規模によって1本3万〜80万円と開きがあります。仲介の手数料は報酬の20〜30%が一般的で、二次利用を付ける場合は追加になります。打診から公開まで1か月半、依頼した人数の3分の1程度しか成立しないという前提で進めます。
1人に大きく賭けるより、3人に分けるほうが結果が安定します。1人あたりの反応にばらつきが大きいためです。
広告として使う予定がある場合は、二次利用の範囲を最初の契約に含めます。後から追加すると、交渉のやり直しになります。

予算の配分
結論: 最初の3か月は制作に寄せます。素材がない状態で広告に配ると、回すものがなくなります。
配分を時期で変えます。
時期ごとの配分・広告に出す前の条件
| 時期 | 制作 | 広告 | その他 |
|---|---|---|---|
| 1〜3か月目 | 8割 | 0〜2割 | 0割 |
| 4〜6か月目 | 6割 | 3割 | 1割 |
| 7か月目以降 | 5割 | 4割 | 1割 |
最初から広告に半分を配ると、3か月で素材が尽きます。型が固まっていない段階では、当たる素材も見つかっていません。
月30万円の予算なら、最初の3か月は制作に24万円、残りを検証に使う形になります。
広告に配るのは、次の3つが揃ってからです。
- 投稿の中で反応が良かった型が特定できている
- 月に4本以上の新規素材を作れる体制がある
- テストに2週間・20万円規模を確保できる
3番目を満たさない場合、広告は見送ります。5万円を1週間で使って判断するのが、最も避けたい形です。配信の初期は学習の期間で、成果が安定しません。
検証に使う枠を残す
予算の1割程度は、試すための枠として残します。新しい型、新しい面、新しい演者。
この枠がないと、うまくいっている型だけを繰り返すことになります。摩耗したときに次の手がありません。
試した結果は、当たらなくても記録します。同じことを翌年に繰り返さないためです。
記録するのは、試した内容・期間・使った金額・結果の4つで足ります。担当者が変わったときに、この記録があるかどうかで進み方が変わります。同じ検証を2年続けて行っていた例もあります。
着手の順番
結論: 転用、投稿、広告、クリエイターの順です。費用がかからないものと、土台になるものから始めます。
順番を守ります。
4段階で進める・同時に始めない
- 既にある素材を他の場所に転用する(費用なし・即日)
- 自社アカウントの投稿を立ち上げる(3〜6か月)
- 反応が良かった型を広告に出す(2週間〜)
- クリエイターへの依頼で広げる(1か月半〜)
2番目を飛ばして3番目に進むと、何を広告に出せばいいか分かりません。当たる型は、投稿の中から見つかります。
4番目は最後です。認知を短期に広げる打ち手ですが、受け皿が整っていないと流れた人が定着しません。
5つを同時に始めると、どれも中途半端になります。人と時間が分散し、判断の材料も混ざります。
1つずつ立ち上げて、回るようになってから次を足します。1つあたり3か月程度を見ます。
例外は1番目の転用で、これは他と並行しても負荷になりません。
他の施策との組み合わせ
結論: 動画は入口として機能し、検索と広告は出口に近い場所で機能します。役割を分けて重ねます。
重なりを設計します。
検索との組み合わせ
動画で名前を知った人は、後から検索します。指名で検索される回数が増えていれば、動画が動いています。
このとき、検索の結果に自社のページがあることが前提になります。動画だけを回して、検索したときに何も出てこない状態では、そこで途切れます。
動画で扱った内容を、記事としても用意しておくと経路がつながります。
広告との組み合わせ・店頭や営業との組み合わせ
投稿で反応が良かった素材を、そのまま広告に出せます。既存の投稿を広告として配信する形式なら、反応が元の投稿に蓄積します。
投稿と広告で音源の扱いが違う点に注意します。投稿では使えた音源が、広告では使えない場合があります。広告の可能性がある動画は、最初から外部の音源で作ります。
作った動画は、商談や店頭でもそのまま使えます。追加の費用はかかりません。
商品の使い方を説明する動画は、接客の時間を短くする効果もあります。同じ説明を毎回する場面ほど、動画に置き換える価値が出ます。
営業資料に動画のリンクを入れる、店頭のモニターで流す、といった使い方から始められます。
KPIの置き方
結論: 再生数は目的になりません。見るのは、そこから問い合わせや購入につながった数です。
測る対象を決めます。
3層で置く
数字は3つの層に分けます。
- 届いたか(表示された回数・3秒までの割合)
- 伝わったか(最後まで見た割合・保存・プロフィールへの遷移)
- 動いたか(リンクのクリック・問い合わせ・購入)
判断に使うのは3番目です。1番目と2番目は、3番目が動かないときに原因を探すための数字として使います。
3つを月ごとに並べます。3か月分並べると、どこで詰まっているかが見えます。
着手前の数字を控える・直接たどれない分を見込む
始める前に、問い合わせの件数、来店の数、購入の数を控えておきます。後から比べる基準になります。
この作業を忘れると、増えたかどうかが分からなくなります。動画を始めた月と、その前3か月の平均を並べます。
あわせて、問い合わせの際に「どこで知ったか」を聞く形にしておくと、経路が分かります。
動画から直接の経路をたどらず、後日あらためて検索して来る人がいます。この分は分析画面にも自社の記録にも表れません。
補うには、指名で検索された回数を月ごとに記録します。社名や商品名で検索される回数が増えていれば、そこが動いています。検索の管理画面で確認でき、3か月ごとに並べると傾向が見えます。
数字で追えない分があることを前提に置くと、判断が変わります。直接の経路だけで見ると、実際より低く見積もることになります。動画を始めて3か月目までは、この分が大半を占めることもあります。
体制と社内の巻き込み
結論: 外注しても、社内の窓口に月3〜5時間は残ります。ここをゼロにできる前提で計画すると回りません。
体制から決めます。
社内に残す部分・現場を巻き込む
削るなら作業、残すなら判断です。企画と演者と確認は社内に残し、編集と書き出しから外に出します。
全部を外に出すと、現場の情報が動画に載らなくなります。証明に使える材料は社内にしかありません。
窓口は1人に決めます。複数人が別々にやり取りすると、指示が食い違います。
材料は現場にあります。実際に聞かれた質問、接客での説明、作業の場面。
月初に各自が10個ずつ書き出す形にすると、探す作業がなくなります。会議で思い出そうとしても出てきません。
演者も現場から出します。商品を実際に扱っている人、現場で説明している人が向いています。
撤退の基準
結論: 6か月続けて数字が動かない場合は、内容ではなく設計を見直します。同じ作り方で本数だけ増やしても変わりません。
先に決めておきます。
見直す順番・やめるときの決め事
6か月後に3層の数字を見て、どこで止まっているかを確認します。
- 届いていない:設定・音源・アカウントの状態を確認する
- 伝わっていない:冒頭2秒と密度を直す
- 動いていない:出口の設計を直す
この3つを順に確認して、すべて手を打った後でも動かない場合に、初めて撤退を検討します。
やめる場合も、アカウントと素材は残します。削除すると、それまでの蓄積も消えます。
撮影した素材は、他の場所で使えます。営業資料、商品ページ、店頭。動画としての運用をやめても、素材の価値は残ります。
再開する可能性がある場合は、月1本だけ出し続ける形もあります。完全に止めると、再開時にゼロから戻ります。
solezoreの支援事例|業種別の進め方
結論: 打ち手を絞った企業のほうが、数字が動いています。同時に始めた企業は、どれも中途半端になっています。
2つの事例を挙げます。
宿泊|転用から始めて費用をかけずに動かした
宿泊施設から、動画に予算を割けないという点でのご相談です。過去に作った紹介動画が3本ありました。
まず、既存の素材を商品ページと予約サイトに置く形から始めています。追加の費用はかかりません。2か月で、ページを見た人の予約への進み方が14%から19%に上がりました。
その後、スタッフによる投稿を月4本のペースで立ち上げています。6か月目で、動画を見て予約したという声が月2件から月12件に増えました。費用をかけたのは、6か月目からの月8万円だけです。
日用品・家電|広告を止めて制作に戻した
日用品を扱うメーカーから、広告に月40万円を投じているが成果が下がってきた、という一点でのご相談でした。
素材が3本しかなく、同じものを2か月配信し続けている状態でした。摩耗が起きても差し替える素材がありません。
広告の予算を月15万円に下げ、浮いた分を制作に回しています。月8本の新規素材を作り、反応が良かったものだけを広告に出す形に変更しました。3か月後、広告の予算は半分以下になったまま、購入は1.4倍になっています。

よくある質問
Q. ショート動画マーケティングは何から始めればいいですか?
A. 既にある素材を他の場所に転用するところからです。追加の費用がかからず、その日から始められます。次に自社アカウントの投稿を立ち上げ、反応が良かった型が見つかってから広告に出します。5つの打ち手を同時に始めると、どれも中途半端になります。
Q. 予算はどう配分すればいいですか?
A. 最初の3か月は制作に8割を寄せてください。素材がない状態で広告に配ると、回すものがなくなります。4か月目以降で制作6割・広告3割・検証1割、7か月目以降で制作5割・広告4割・検証1割が目安です。
Q. 広告はいつから始めればいいですか?
A. 3つの条件が揃ってからです。反応が良かった型が特定できていること、月4本以上の新規素材を作れること、テストに2週間・20万円規模を確保できること。とくに3番目を満たさない場合は見送ってください。5万円を1週間で使う形が最も避けたいパターンです。
Q. KPIは何を置けばいいですか?
A. 判断に使うのは、リンクのクリックや問い合わせや購入の数です。再生数は目的になりません。表示された回数と3秒までの割合、最後まで見た割合は、成果が動かないときに原因を探すための数字として使ってください。
Q. どのくらいで成果が出ますか?
A. 投稿を主軸にする場合は6か月です。最初の20本は型を作る期間で、そこから差が出ます。すぐに数字が要る場合は広告から始める選択もありますが、素材の本数を確保できることが前提になります。
Q. 6か月やって動かない場合はどうすればいいですか?
A. 3層の数字を見て、届いていないのか、伝わっていないのか、動いていないのかを特定してください。それぞれ直す場所が違います。3つとも手を打った後でも動かない場合に、初めて撤退を検討します。やめる場合も、アカウントと素材は残してください。
まとめ
ショート動画マーケティングについて、要点を整理します。
- ショート面に流れてくるのは潜在層。検索で取れるならそちらが基本
- 始める前に、検索のクリック単価と検索されている量を確認する
- 打ち手は5つ。自社投稿・広告・クリエイター・顧客の投稿・他の場所への転用
- 自社の投稿が土台。ここが素材の生産ラインになる
- 最初の3か月は制作に8割。素材がない状態で広告に配らない
- 着手は、転用・投稿・広告・クリエイターの順
- 5つを同時に始めない。1つずつ3か月かけて立ち上げる
- KPIは3層で置く。判断に使うのは動いたかの層
- 外注しても社内の窓口に月3〜5時間は残る
- やめる場合も、アカウントと素材は残す
補足すると、いま手元にある動画素材を数えてみてください。
投稿用に作ったものでなくても構いません。展示会用、社内向け、採用向け。すでにあるものを商品ページや営業資料に置くだけで、その日から使えます。追加の費用がかからない打ち手が、多くの場合で残っています。
もう1つ、検索の管理画面で、社名や商品名がどれだけ検索されているかを確認してください。動画を始めてから増えていれば、直接の経路に表れていない分が動いています。この数字を見ずに判断すると、実際より低く見積もることになります。
solezoreでは、打ち手の選定から運用までを承っています。まずは既存の素材と検索の状況を見て、どこから始めるのが早いかをお伝えするところからでも構いません。
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