

「求人媒体に月30万円払っているが、応募が月2件しか来ない」「SNSで採用ができると聞いたが、何を投稿すればいいのか分からない」――採用でのSNS活用は、この2つの状況から相談が始まります。
結論からお伝えすると、SNS採用で応募が増えるのは入社後の毎日が具体的に想像できる状態を作ったときです。会社の魅力を語る投稿より、1日の流れや実際の業務を見せる投稿のほうが応募につながります。
solezoreでは、SNS採用を求人票の補完だと考えています。求人票は条件を伝える文書ですが、働く実感は伝えられません。この足りない部分を埋めるのがSNSの役割です。
この記事では、求人媒体との違いから、アカウントの設計、発信する内容、媒体の選び方、応募までの導線、社員に出てもらうときの配慮、効果の測り方、続けるための体制までを解説します。
SNS採用とは|求人媒体との違い
結論: 求人媒体は探している人に届き、SNSは探していない人に届きます。この違いが、獲得できる層を変えます。
まず性質の違いを押さえます。
転職を考えていない層に届く
求人媒体を見るのは、転職を決めた人です。この層は競合他社の求人も並行して見ています。
SNSは、転職をまだ考えていない人にも届きます。今の職場に不満はないが、この会社は良さそうだと思ってもらう。この段階から関係を作れます。
すぐには応募につながりませんが、半年後、1年後に転職を考えたときに候補として思い出されます。時間はかかりますが、競合と並べられずに済みます。
伝えられる情報が多い
求人票では、条件と業務内容しか伝えられません。文字数にも制限があります。
SNSでは、実際の職場、働いている人の様子、1日の流れを見せられます。応募前に不安を解消できるため、入社後のずれが減ります。
この点は、定着率にも影響します。想像と違ったという理由での早期離職を防げます。
見せる相手は、応募を迷っている人です。良いところだけを並べると、入社後のずれが戻ってきます。
費用の構造が違う
求人媒体は掲載のたびに費用が発生します。1回の掲載で20万〜80万円ほどが目安です。
SNSは、運用の費用がかかりますが、投稿は資産として残ります。1年続けると、過去の投稿がすべて採用の材料になります。
短期の採用には求人媒体、継続的な採用にはSNS。両方を組み合わせる形が現実的です。
どちらを主にするかは、採用の頻度で決まります。年に1回なら求人媒体、通年で採るならSNSです。
応募が増えるアカウントの設計
結論: 採用専用のアカウントを作るか、既存のアカウントに採用の投稿を混ぜるか。どちらにも利点があり、体制で選びます。
設計の判断です。
専用アカウントを作る場合
採用に関する情報だけを発信するため、見に来た人が求める情報にたどり着きやすくなります。
一方、フォロワーがゼロから始まります。既存のアカウントがあれば、そちらの数十分の1しか届きません。立ち上げに時間がかかります。
年間の採用人数が10名を超える規模なら、専用アカウントを作る価値があります。それ以下なら、既存アカウントへの混在で足ります。
既存アカウントに混ぜるなら、割合と入口を決める
すでにフォロワーがいるため、初日から届きます。顧客が応募してくれることもあり、商材への理解がある人材を採れます。
ただし、採用の投稿ばかりになると顧客が離れます。月の投稿のうち2〜3割までに抑えます。
飲食や小売など、顧客と働き手の層が重なる業種では、この形が特に有効です。
どちらの形でも、プロフィールに募集ページへのリンクを置きます。
投稿を見て興味を持った人が、次に進む場所が必要です。ここがないと、良い投稿を作っても応募につながりません。
募集ページのトップではなく、実際の募集要項に直接向けます。1段階でも減らすと、到達する人が増えます。

発信する内容
結論: 会社の魅力より、1日の流れを見せます。入社後の毎日が想像できると、応募のハードルが下がります。
投稿の中身です。
見せるべき4つ・良いことだけを書かない
- 1日の流れ:出社から退社まで、実際の時間軸で
- 業務の中身:どんな作業を、どんな道具で
- 一緒に働く人:先輩社員、チームの雰囲気
- 入社後の変化:未経験から何ができるようになったか
このうち、1番目がもっとも応募につながります。求人票では絶対に伝えられない情報だからです。
大変な部分も伝えてください。忙しい時期、覚えることの多さ、体力が要る場面。
隠すと、入社後にずれが生じます。早期の離職につながり、採用のやり直しになります。
正直に伝えても応募が減ることは、実際にはあまり起きません。むしろ、信頼できる会社だと受け取られます。
数字を出す
平均の残業時間、有給の取得率、離職率、平均年齢。出せる数字は出します。
抽象的な表現より、数字のほうが判断材料になります。働きやすい環境です、という表現はどの会社でも書けます。
出しにくい数字がある場合は、無理に出す必要はありません。ただし、良い数字だけを選んで出すと、後で不信につながります。
数字が業界平均より悪い場合は、改善に取り組んでいる過程を見せる方法もあります。現状を認めたうえで何をしているかを語ると、かえって信頼されることがあります。
媒体の選び方
結論: 採る職種と年齢層で決まります。全媒体をやる必要はなく、1〜2つに絞るのが現実的です。
媒体ごとの整理です。
| 媒体 | 届きやすい層 | 向いている職種 | 制作の負担 |
|---|---|---|---|
| 20〜40代、女性が多い | 接客、美容、医療、事務 | 中 | |
| TikTok | 10〜20代 | 販売、飲食、現場職 | 高 |
| X | 20〜40代、専門職 | 技術職、企画職 | 低 |
| YouTube | 幅広い | 全般(深い理解が要る職種) | 高 |
| 30〜50代、管理職 | 経営層、専門職 | 低 |
職種で選ぶ・既存の応募者に聞く
現場の仕事は、動きが伝わる媒体が向きます。実際の作業を見せられるためです。
事務や企画の職種は、静止画やテキストでも伝わります。制作の負担が軽い媒体を選びます。
もっとも確実なのは、直近で入社した人に聞くことです。どの媒体をよく見るか、転職のときに何を調べたか。
5人ほどに聞けば傾向が見えます。想定と違う媒体が出てくることも珍しくありません。
あわせて、応募を決めた理由も聞きます。求人票のどこを見たか、他社と比べて何が違ったか。この回答は、そのまま投稿の企画になります。
応募までの導線
結論: 投稿から応募までの操作回数を数えます。3回以内に収まっていないと、途中で離脱します。
導線の設計です。
操作の回数を数える・応募フォームを短くする
投稿を見てから応募までを、実際にやってみてください。
投稿→プロフィール→リンク→企業サイト→採用ページ→募集要項→応募フォーム。この形だと6回です。各段階で人が減ります。
プロフィールのリンクを募集要項に直接向ければ、3回減ります。
入力項目が多いと、そこで止まります。氏名、連絡先、希望職種。この3つで足ります。
履歴書の提出を最初から求めると、応募のハードルが大きく上がります。まず話を聞きたいという段階の人を逃します。
面談の日程調整も、フォームの中で完結する形にすると離脱が減ります。
応募以外の入口も置く・問い合わせへの返信を早くする
いきなり応募は遠い、という人もいます。中間の入口を用意します。
質問の受付、職場見学の申し込み、カジュアルな面談。これらを設けると、検討段階の人と接点が持てます。
投稿の説明文に、気になったら質問してくださいと1行入れるだけでも違います。
質問が来たら、24時間以内に返します。転職を検討している人は、複数社を並行して見ています。
返信が遅いと、その時点で候補から外れます。逆に速い返信は、社内の風通しの良さとして受け取られます。
よく来る質問への回答を用意しておくと、数分で返せます。勤務時間、休日、未経験の可否、選考の流れ。この4分野で大半をカバーできます。
応募があった後の連絡が遅いと、そこで辞退されます。SNS経由の応募はとくに、勢いで動いていることが多い。
応募から24時間以内に一次連絡、1週間以内に面談。この速度を保てる体制を先に作ります。せっかく増えた応募を、対応の遅さで失うのはもったいない。
社員に出てもらうときの配慮
結論: 出演は必ず本人の同意を書面で得てください。掲載の範囲と期間、退職後の扱いを最初に決めておかないと、退職時に対応で揉めます。
人が関わる部分の配慮です。
同意は書面で。退職後の扱いまで決めておく
口頭ではなく、書面で残します。掲載の範囲、期間、退職後の扱い。この3点を明記します。
強制と受け取られないよう、断ることもできる状態にします。断った人が不利益を受けない旨も、あわせて伝えます。
退職した社員が写った投稿を、そのまま残すかどうか。事前に決めておきます。
一般的には、退職の申し出があった時点で削除するか、本人の意向を確認します。この対応を決めていないと、退職時に揉めます。
削除を前提にすると、その社員が出た投稿が資産にならないというジレンマもあります。顔を出さない構成にする、手元だけを映すといった方法で回避できます。
出演を業務として扱うか、任意とするか。ここも決めます。
任意にする場合、出てくれる人が偏ります。特定の社員に負担が集中しないよう、月の出演回数に目安を設けます。
撮影に業務時間を使う場合、その旨を明確にします。就業時間外に協力させる形は避けます。
効果の測り方
結論: 応募数だけでなく、応募者の質と定着率も見ます。SNS経由の応募は、入社後の定着が良い傾向があります。
測定の項目です。
見る4つの数字・費用の比較
- SNS経由の応募数:フォームに経路の項目を入れる
- 応募から面接への率:質の指標になる
- 内定の承諾率:入社前のずれが少ないか
- 入社1年後の定着率:長期の指標
3番目と4番目は、他の経路と比べます。SNS経由のほうが良い数字になることが多く、これがSNS採用の価値を示します。
求人媒体の1件あたりの採用単価と、SNSの運用費を採用人数で割った数字を比べます。
SNSは立ち上げに時間がかかるため、最初の半年は割高になります。1年を超えたあたりから逆転することが多い。
投稿が資産として残る点も加味します。運用を止めても、過去の投稿は見られ続けます。
続けるための体制
結論: 人事だけで回すと止まります。現場から素材が上がってくる仕組みを作り、人事は投稿の作成に集中する分担にします。
継続の設計です。
現場から素材を集める・月に1度まとめて撮る
人事担当が現場に出向いて撮影する形は、続きません。移動と調整に時間がかかりすぎます。
現場のスタッフに、日常の写真や短い動画を送ってもらう仕組みを作ります。共有のフォルダを1つ用意するだけで足ります。
集まった素材から、人事が投稿を作る。この分担なら、双方の負担が小さくなります。
まとまった撮影が必要な場合、月1回の撮影日を決めます。10〜15本分をまとめて撮り、投稿は分散させます。
現場の協力も、月1回なら得やすくなります。毎週だと負担が大きく、続きません。
担当を1人に決める・採用が落ち着いても続ける
投稿の判断をする人を1人決めます。複数人で相談する形にすると、投稿までに時間がかかります。
人事の担当者が兼任する場合、週に2時間ほどを確保します。この枠を予定表に入れておかないと、採用の繁忙期に投稿が止まります。
募集が終わったからと投稿を止めると、次の募集時にゼロからやり直しになります。
頻度を落としても構いませんが、月2〜4本は続けます。過去の投稿が資産として残り、次の募集で効果を発揮します。
募集が止まっている期間は、内容を働く様子の紹介に寄せます。求人の告知がないぶん、顧客にも見てもらえる投稿になります。
次の募集が決まってから作り始めると、間に合いません。過去の投稿が10本ほど積み上がった状態で募集を開始できると、応募までの時間が短くなります。
| 状況 | 投稿の頻度 | 内容の重点 |
|---|---|---|
| 募集中 | 週2〜3本 | 募集要項、1日の流れ、応募の案内 |
| 募集を締め切った後 | 月2〜4本 | 業務の紹介、社員の様子 |
| 次の募集の3か月前 | 週1〜2本 | 入社後の変化、育成の仕組み |
この波を作っておくと、募集開始時にすでに関心を持った人がいる状態になります。
solezoreの支援事例|業種別の進め方
結論: solezoreでは採用アカウントの設計から発信内容の型づくり、応募導線の整備までを支援しています。詰まる場所は業種によって変わります。
医療|求人媒体からの応募が月2件だった
ご相談をいただいたのはクリニックを運営する事業者です。求人媒体に月28万円を払っていますが、応募は月2件。しかも面接に至るのは半分ほどです。
始めたのは、既存の患者向けアカウントに採用の投稿を混ぜる形でした。専用アカウントは、フォロワーがゼロからになるため見送っています。
投稿の内容は、1日の流れが中心です。朝の準備、診療の合間、片付けまで。加えて、未経験で入ったスタッフが3か月で何ができるようになったかを月1本。
数字も出しました。平均の残業時間、有給の取得率、スタッフの平均勤続年数。
4か月後、SNS経由の応募が月5件になりました。特徴的だったのは、応募者が業務内容をすでに理解していたことです。面接での説明が短く済み、内定の承諾率も上がっています。
飲食|出演の負担が偏っていた
すでにSNS採用を始めていた事業者ですが、出演するスタッフが2名に固定されていました。本人たちの負担が大きく、続かない——そういう相談でした。
見直したのは3点です。
- 手元だけを映す構成を増やす:顔を出さずに業務が伝わる形に
- 出演の目安を決める:1人あたり月2回まで
- 素材の収集を仕組みにする:各店舗から共有フォルダに写真を投稿
顔出しの投稿を減らしても、応募数は落ちませんでした。むしろ、業務の中身が伝わる投稿のほうが反応が良かったと分かっています。
負担が分散したことで、投稿は月8本から18本に増えました。半年後の応募数は2.4倍です。
退職したスタッフが写った投稿の扱いも、このときに決めています。手元中心の構成にしたことで、削除が必要な投稿も減りました。

よくある質問
Q. SNS採用は求人媒体の代わりになりますか?
A. 代わりというより補完です。求人媒体は転職を決めた人に届き、SNSは転職をまだ考えていない層にも届きます。短期の採用には求人媒体、継続的な採用にはSNS。両方を組み合わせる形が現実的です。
Q. 採用専用のアカウントを作るべきですか?
A. 年間の採用人数が10名を超える規模なら価値があります。それ以下なら、既存のアカウントに混ぜる形で足ります。専用アカウントはフォロワーがゼロから始まるため、立ち上げに時間がかかります。
Q. 何を投稿すればいいですか?
A. 1日の流れが最も応募につながります。出社から退社までを実際の時間軸で見せてください。求人票では絶対に伝えられない情報です。加えて、業務の中身、一緒に働く人、入社後の変化を扱います。
Q. 大変な部分も書くべきですか?
A. 書いてください。隠すと入社後にずれが生じ、早期の離職につながります。正直に伝えても応募が減ることは実際にはあまり起きず、むしろ信頼できる会社だと受け取られます。
Q. 社員に出てもらうときの注意点は何ですか?
A. 書面で同意を取り、掲載の範囲、期間、退職後の扱いを明記してください。断ることもできる状態にし、断った人が不利益を受けない旨も伝えます。出演の回数にも目安を設けて、負担が偏らないようにしてください。
Q. 効果はどう測ればいいですか?
A. 応募数だけでなく、面接への率、内定の承諾率、入社1年後の定着率も見てください。SNS経由の応募は入社前のずれが少なく、これらの数字が他の経路より良くなる傾向があります。
まとめ
SNS採用は、入社後の毎日を想像できる状態を作る作業です。この記事の要点です。
- 求人媒体は探している人に、SNSは探していない層にも届く
- 採用人数が年10名未満なら、既存アカウントに混ぜる形で足りる
- 会社の魅力より1日の流れ。求人票で伝えられない情報を出す
- 大変な部分も伝える。隠すと入社後のずれと早期離職につながる
- 投稿から応募までの操作を3回以内に。フォームの項目は3つで足りる
- 社員の出演は書面で同意を取り、退職後の扱いも先に決める
補足すると、SNS採用を続けた事業者から出てくるのは、既存の社員の意識が変わったという話です。自分たちの仕事を外に見せる過程で、何が価値なのかを言葉にすることになる。採用のための施策が、社内の理解を深める機会にもなっています。
代行の費用や選び方については、ピラー記事もあわせてご覧ください。
solezoreでは、採用アカウントの設計から発信内容の型づくり、応募導線の整備までを支援しています。何から始めるかの整理でも構いませんので、現状をお聞かせください。
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