

「お客様がAIで調べてから来るようになった。うちの説明を聞く前に、もう比較が終わっている」「サイトへの流入が減っているのに、問い合わせの質は上がっている」――こうしたご相談を、EC・D2Cブランドの担当者からいただくようになりました。
生成AI検索とは、質問に対してAIが複数の情報源を読み、ひとつの答えにまとめて返す仕組みの総称です。ChatGPT・Perplexity・GoogleのAI Overviewsなどが含まれます。従来の検索が候補を並べたのに対し、こちらは答えを出してしまうところが違います。
solezoreでは、この変化を流入の減少としてではなく、購買プロセスの前倒しとして捉えています。読者は接触する前に比較を終えている。だとすれば、比較の材料になる情報を先に置いておくのが打ち手です。
この記事では、生成AI検索で何が変わったか、選ばれる情報の条件、購買プロセスへの影響、エンジン別の違い、着手の順番までを、実際にEC・D2Cブランドの検索集客を支援している立場から解説します。
生成AI検索で何が変わったか
結論: 検索の結果が「候補の一覧」から「ひとつの答え」に変わりました。読者が比較を終えた状態で接触してくるようになっています。
候補を選ぶ側から、答えを受け取る側へ
これまでの検索では、利用者が10本のリンクを見て、自分でクリックして中身を比べていました。生成AI検索では、AIが複数のページを読んで比較まで済ませ、結論を返します。
自分で調べた気になれるぶん、確かめる手間が減った。利用者からすると便利になった一方、サイト側から見れば中身を読まれる前に判断が終わっていることになります。
流入の質が変わる・見られる場所が変わっただけ
数字の上では、クリック数が減ることが多くなります。ただし問い合わせの質は上がる傾向があります。
比較を終えてから来るので、迷っている段階の訪問が減り、ある程度決めた状態での接触が増えるためです。solezoreで支援した案件でも、記事のクリックが1割ほど落ちた一方で、問い合わせからの成約率は上がった例がありました。
記事が読まれなくなったわけではありません。読んでいる相手が人からAIに変わり、そのAIが要約を人に渡している。
いわば取次が1つ増えた形です。取次に選ばれるかどうかが、そのまま接点の有無になります。
選ばれる情報の条件
結論: AIが引用元に選ぶのは、答えが明示されていて、段落単位で完結し、数値と出典がある情報です。文章の巧拙より構造が問われます。
答えが明示されている・段落単位で完結している
「〜については様々な考え方があります」で終わる記事は、引用の対象になりません。AIが答えとして使えないためです。
断定できない領域なら、条件を分けて書きます。「Aの場合は◯◯、Bの場合は△△」という形にすれば、そのまま引用できる情報になります。
AI検索はページ全体ではなく段落を抜き出して使います。「これ」「その場合」で前の段落を受けていると、抜き出された側だけでは意味が通りません。
主語と対象を毎回書く。書いている側は前の段落を覚えていますが、抜き出す側は覚えていません。
数値と出典がある・見出しが具体的である
プリンストン大学とAllen Institute for AI の検証では、生成AIでの可視性を高めた手法として、引用の追加で27.8%、統計の追加で25.9%、出典の明記で24.9%の向上が報告されています。合わせて最大40%という結果でした。
「改善します」ではなく「1本あたり2〜4時間です」と書く。期間・金額・回数・割合のいずれかで書けることがほとんどです。
もっとも見落とされているのがここです。見出しが2〜3本しかない記事は、本文がどれだけ厚くても引用できる面がありません。
読者が迷っている一点に1対1で当てます。「注意点」ではなく「解約後のデータ保持期間」。ラベルが具体的なほど、必要なときに開かれます。

購買プロセスへの影響
結論: 比較・検討の段階がAIの中で完結するようになりました。認知から比較までの情報を、自社サイトに置いておく必要があります。
比較の場が移った
以前は、比較サイトやまとめ記事を経由して各社のサイトへ流れていました。今はAIが比較まで済ませます。
比較サイトに載っているかどうかより、AIが読める場所に比較の材料があるかが問われるようになった。自社サイトに料金の目安や選び方の基準がなければ、比較の土俵にすら上がりません。
料金の目安は幅で構いません。書いていないことが、比較から外れる理由になります。
書きにくい情報ほど参照される
料金、失敗するケース、他社との違い。書きにくい話ほど、比較の場面では参照されます。
自社の料金を出せない事情があっても、業界の相場や費用の内訳なら書けるはずです。うまくいかないケースを書くと信頼が下がると思われがちですが、判断材料が増えるぶん読者にとっては親切な記事になります。
自社に不利に見える情報ほど、実は引用されやすい。 参照されない記事の多くは、書きにくい話を避けたところに穴があります。
書きにくい情報を、書ける形に変える
とはいえ、何でも書けるわけではありません。業種によっては表現の制約もあります。書けない場合の回避策を並べておきます。
| 書きにくい情報 | 書けない事情 | 書ける形への変換 |
|---|---|---|
| 自社の料金 | 案件で変わる/非公開の方針 | 業界の相場・費用の内訳・金額が変わる条件 |
| 失敗するケース | 信頼が下がりそう | 向かない条件・準備が要る前提 |
| 他社との違い | 名指しを避けたい | 選定基準・判断軸の提示 |
| 効果の断定 | 業法の制約 | 制度として定まっている数値・公的資料の引用 |
右の列は、いずれも実際に書ける内容です。書けないと思い込んでいた情報の多くは、角度を変えれば書ける種類のものでした。
とくに4行目は、医療や金融など制約の強い業種でよく相談を受けます。効果を断定できなくても、制度の数値や公的機関の資料名なら本文に書けます。判断の重い領域ほど、こうした一次情報の記載が参照の可否を分けます。
認知の段階も変わる
「〜とは」で調べる段階でも、AIの回答に名前が出るかどうかで印象が変わります。ここで名前を見た利用者が、あとで指名検索してくることがあります。
Search Consoleで指名検索の推移を見てください。記事のクリック数と合わせて見ると、全体として接点が増えているのか減っているのかが判断できます。
接点が増えているなら、クリックが減っていても止める理由にはなりません。
エンジン別の違い
結論: ChatGPT・Perplexity・AI Overviewsで参照の仕組みが違います。反映の早さも変わるため、どこを先に狙うかで進め方が決まります。
反映の早さで選ぶ・対策は共通している
| エンジン | 参照の仕組み | 反映までの期間 | 前提条件 |
|---|---|---|---|
| Perplexity | その都度Webを読み、出典を明示 | 1〜2か月 | 記事の構造化 |
| ChatGPT検索 | 会話の流れでWebを参照 | 1〜3か月 | 複数の問いに答える構成 |
| Google AI Overviews | 検索評価済みのページを参照 | 3〜6か月 | 通常検索での評価 |
社内に最初の成果を示す必要があるなら、Perplexityから狙うのが現実的です。AI Overviewsは検索評価を経由するぶん時間がかかります。
エンジンごとに専用の施策があるわけではありません。冒頭で答える、段落を独立させる、見出しを具体的にする、表を置く。どのエンジンにも同じように働きます。
違うのは、どこで成果を確認するかです。同じ改修をして、成果が最も早く見えるエンジンで確認する。そういう順序の話だと捉えてください。
SEOとの関係
結論: 生成AI検索が参照する情報源の多くは、通常の検索でも評価されているページです。SEOの基盤が前提条件になります。
土台がないと候補に入らない・施策の7割は重なる
インデックスされていないページ、評価の低いページは、AIが答えを組み立てる候補にすら入りません。「SEOはもう終わり」という言い方を見かけますが、実際は逆です。
主要キーワードで2ページ目以降にとどまっているなら、生成AI検索の対策より先にSEOの整備が要ります。順序を逆にすると、改修に時間を使っても結果が出ません。
見出し直下の結論、表、出典の明記、具体的な見出し。これらはSEOにも生成AI検索にも働きます。分けて考える必要はありません。
分かれるのは成果の測り方です。生成AI検索での参照は順位計測ツールでは追えないため、質問文を固定した手作業の確認が残ります。
現状の確認方法
結論: 自社カテゴリの質問文を15〜20本決めて、3つのエンジンで実際に検索し、記録します。着手前の記録がないと改善を説明できません。
質問文を決める・記録する項目
「とは」「おすすめ」「比較」「選び方」「費用」を含む形で、実際に利用者が打ちそうな言い回しにします。自社視点の言い回しは避けてください。
- 自社が引用されているか
- 引用されている場合、どの記事のどの部分か
- 引用されていない場合、代わりにどこが入っているか
3つ目に最も情報があります。競合が引用されているなら、そのページの構造を見れば何が足りないかが分かります。推測で対策を立てる必要がありません。
半日ほどの作業ですが、これを省くと改修後に何が変わったのか説明できなくなります。
着手の順番
結論: 1か月目に記録と技術確認、2〜3か月目で記事改修に入ります。表示回数の多い20本から始めれば、四半期で回せます。
3か月の進め方・費用の目安
- 1か月目:質問文の設計と現状記録(半日)、技術条件の確認(30分)
- 2〜3か月目:表示回数が多く順位5〜15位の記事から20本を改修。1本2〜4時間、週2本のペース
- 4か月目以降:月次の観測を続けながら、外部での言及を増やす取り組みへ
技術条件というのは、サーバーサイドレンダリングになっているか、robots.txtでAIのクローラーを弾いていないかの2点です。ここが抜けていると、記事をいくら整えても読まれません。
- 自社対応:月0〜5万円程度(ツール代のみ)
- 改修の外部委託:月20〜60万円程度
- 記事制作を含む:月50〜150万円程度
記事を書ける人が社内にいるなら、改修の型だけ受け取って実作業は社内で回す形が経済的です。
成果の測り方と社内説明
結論: 生成AI検索の成果は、引用の有無だけで報告すると説明が苦しくなります。順位・流入・引用・指名検索の4つを並べて見ます。
4つの数字で見る
- 表示回数:維持されていれば順位は無事です
- 平均掲載順位が下がっていれば、SEOの問題として切り分けます
- クリック率だけが下がっているなら、AI検索の影響を疑います
- 指名検索数:増えていれば、名前を経由した来訪に置き換わっています
引用の有無だけを見せると、変化のなかった月に説明が成り立ちません。4つを並べておくと、「順位と流入は動いている、引用はこれから」という形で報告できます。
社内を説得する材料・何をもって成果とするか決めておく
数字より早く伝わる方法もあります。実際にAIに質問して、競合の名前が返ってくる画面を見せることです。
予算の相談で行き詰まっている場合、レポートを厚くするより会話の再現を見せるほうが話が進むことがあります。自社が候補に入っていない事実は、数字より画面のほうが伝わります。
着手前に決めておかないと、結果の読み方が定まりません。実際にあった例では、記事のクリックが12%減った一方で指名検索が64%増えたケースがありました。
この結果は、クリック数だけを見れば失敗です。指名検索と問い合わせ件数まで見れば成功になります。どこを成果と見るかを先に決めておかないと、同じ数字が失敗にも成功にも読めてしまいます。
solezoreの支援事例|業種別の進め方
結論: solezoreでは比較の材料を先に置く設計から、月次の観測までを支援しています。業種によって最初に手をつける場所が変わります。
アパレル|比較の土俵に上がっていなかった
ご相談の内容は、こうでした。
「AIに聞くと、うちのブランドが選択肢にすら出てこない。知名度の問題でしょうか」
確認すると、知名度の問題ではありませんでした。サイトに素材やサイズ選びの基準が書かれておらず、比較の材料がなかったのです。ブランドの世界観を伝える記事は充実していましたが、判断に使える情報が置かれていませんでした。
進め方はこうです。
- 比較の材料を作る:素材別の特徴、サイズの選び方、洗濯表示の見方を表で整理
- 既存記事への追加:世界観の記事はそのまま残し、判断材料の記事を6本新設
- 観測の開始:18本の質問文で月次の確認を開始
3か月後、素材や選び方の質問で引用されるようになりました。世界観を伝える記事と、判断材料になる記事は役割が違う。どちらも必要だという整理がついたケースです。
医療|書ける情報の範囲を整理した
医療広告ガイドラインの制約があり、書ける内容が限られるという前提のご相談でした。
- 記事数:64本
- 質問文20本での引用:2本
- 平均掲載順位:8.4位(候補には入っている状態)
- 監修医師の記載:なし
順位は取れていたので、原因は記事の構造と信頼性の表示にありました。
進め方としては、まず監修医師のプロフィールページを新設し、記事から相互にリンクを張っています。そのうえで、公的機関の資料名を出典として本文に明記しました。表現の制約がある領域でも、制度として定まっている数値や公的資料の引用なら書けます。
4か月後、20本中7本で引用が確認できました。判断の重い領域ほど、誰が書いたかの表示が参照の可否に関わってきます。

よくある質問
Q. 生成AI検索でクリックが減っています。対策すべきですか?
A. まずSearch Consoleで表示回数と順位を確認してください。どちらも維持されたままクリック率だけ落ちているなら、AIの要約で完結した利用者が増えたということです。あわせて指名検索数を見ると、名前を経由した来訪に置き換わっているかが分かります。クリック数だけで判断すると、名前を広げている記事を切ってしまいます。
Q. 自社の料金を公開していません。それでも比較で引用されますか?
A. 自社の料金そのものを出す必要はありません。業界の相場、費用の内訳、金額が変わる条件。この3つがあれば、比較の場面でも参照先として残ります。金額の記載がまったくない記事は、費用の話になった時点で候補から外れやすくなります。
Q. どのエンジンから対策すればいいですか?
A. Perplexityが最も早く反映されます。その都度Webを読みにいく設計なので、1〜2か月で引用が確認できることがあります。AI Overviewsは検索評価を経由するため3〜6か月かかります。社内に最初の成果を示す必要があるなら、Perplexityから狙うのが現実的です。
Q. SEOと生成AI検索、どちらに予算を配分すべき?
A. 分ける必要はありません。施策の7割が重なるので、記事の改修という同じ作業で両方に届きます。既存のSEO予算の中で、新規記事と改修の比率を変えるのが現実的です。追加で発生するのは月次の観測にかかる工数だけで、慣れれば月2〜3時間ほどです。
まとめ
生成AI検索は、検索結果を候補の一覧からひとつの答えに変えました。読者が比較を終えた状態で接触してくる以上、比較の材料を先に置いておくのが打ち手になります。
- 変わったこと:候補を選ぶ側から答えを受け取る側へ。比較がAIの中で完結する
- 選ばれる条件:答えが明示されている・段落が独立している・数値と出典・具体的な見出し
- 購買への影響:書きにくい情報(料金・失敗例・他社との違い)ほど参照される
- エンジン別:Perplexityが1〜2か月と最も早い。AI Overviewsは3〜6か月
- 前提:SEOの基盤。順位のないページは候補に入りません
最後に、本文で書かなかったことを一つ。クリック数が減っている記事を切る判断は、少し待ったほうがいいかもしれません。 基礎的な解説記事はクリックが落ちやすい一方、AIの参照元としては最も引かれる種類でもあります。数字だけで整理すると、名前を広げている記事を失うことになりかねません。
solezoreでは、比較の材料を置く設計から月次の観測までを支援しています。料金は公開しているので、比較の材料としてご覧ください。
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