

「立ち上げに150万円と言われたのですが、妥当なのか判断できません」「作った後に月いくらかかるのかを聞いても、はっきりした答えが返ってきません」――費用に関するご相談は、この2つが多くを占めます。
結論からお伝えすると、費用の判断で外しやすいのは金額の大小ではなく、立ち上げと運用の配分です。立ち上げに150万円かけて運用予算が0という配分が、最も多い失敗になります。
solezoreでは、メディアの費用を店舗の出店にたとえて説明しています。内装に予算を使い切って、仕入れと人件費が残っていない状態では営業できません。開けた後にかかる費用のほうが本体です。
この記事では、費用の構造、立ち上げと運用の内訳、社内の時間という費用、予算別にできること、費用対効果の測り方、削れるところと削れないところまでを、実際に見積もりを出している立場から解説します。
費用の構造|立ち上げと運用に分ける
結論: メディアの費用は、一度きりの立ち上げ費用と、毎月続く運用費用に分かれます。この2つを分けて考えないと、予算の配分を誤ります。
まとめて見積もると、どちらが膨らんでいるのか分からなくなります。
2つの性質の違い
立ち上げ費用は、設計、サイトの制作、最初の記事の制作が該当します。一度払えば終わる費用です。
運用費用は、記事の制作、改善の作業、ツールの利用料が該当します。続く限り毎月発生します。
成果を生むのは運用のほうです。立ち上げに費用をかけるほど良いメディアができると思われがちですが、記事が増えなければ検索から人は来ません。
よくある配分の失敗
制作会社に150万円で構築を依頼し、公開した時点で予算を使い切る。この配分が最も多い失敗です。
公開後に記事を書く費用が残っていないため、更新が止まります。3か月後には、公開時の8本のまま止まっています。
避けるには、1年分の総額を先に決めてから配分します。立ち上げに3割、運用に7割という配分が、実務的な目安になります。
1年分の総額で考える
初年度の総額は、自社中心で進める場合で50万〜120万円、外注中心で進める場合で300万〜700万円という幅になります。
この総額を月割りにすると、判断しやすくなります。年間120万円なら月10万円です。
金額の高い安いを議論する前に、自社が年間いくらまで出せるかを決めます。ここが決まると、選べる進め方が絞られます。
立ち上げにかかる費用
結論: 立ち上げ費用は、自社で作れば5万円前後、外注すれば100万〜300万円です。差の大半は設計とデザインの部分になります。
内訳を見ます。
費用の内訳・設計は削れない
| 項目 | 自社で行う場合 | 外注する場合 |
|---|---|---|
| キーワードの設計 | 0円(1〜2か月の作業) | 15万〜50万円 |
| サーバーとドメイン | 年1万5,000円〜4万円 | 同額(実費) |
| サイトの制作 | 0〜2万円(テンプレート代) | 30万〜150万円 |
| 公開前の設定 | 0円(1日の作業) | 制作費に含まれることが多い |
| 最初の記事8本 | 0円(50〜80時間の作業) | 24万〜64万円 |
外注の場合、合計で100万〜300万円になります。自社で行う場合は5万円前後です。
この中で最も削ってはいけないのが、キーワードの設計です。ここを飛ばすと、記事を50本書いても順位が付かないという事態になります。
自社に経験がない場合、設計だけを単発で依頼する形をおすすめします。15万〜50万円で、期間は2〜4週間です。
設計図を受け取れば、その後の記事は社内でも書けます。制作費を100万円かけて設計を省くより、設計に30万円を使うほうが結果につながります。
サイトの制作は削れる
サイトの制作は、自社で行っても品質に大きな差が出ません。技術的な知識がなくても、1〜2週間で環境が整います。
デザインに費用をかけても、検索順位には影響しません。文字の大きさ、行間、スマートフォンでの見え方の3つが問題なければ十分です。
ここで浮いた費用を記事の制作に回すと、公開から半年後の状態が変わります。

運用にかかる費用
結論: 運用費用の大半は記事の制作費です。月4本を外注すると12万〜32万円、社内で書けば0円ですが24〜40時間かかります。
内訳を見ます。
月々の費用と、記事の単価が変わる理由
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 記事の制作(月4本・外注) | 12万〜32万円 |
| 記事の制作(月4本・社内) | 0円(24〜40時間) |
| サーバー代 | 月1,000〜3,000円 |
| 有料ツール | 月0〜2万円 |
| 改善の助言 | 月5万〜20万円 |
記事の制作をどうするかで、月額が大きく変わります。ここが運用費用の中心です。
1本3万円と8万円の差は、構成の作成と確認の工程が含まれるかどうかです。執筆だけなら5,000円から2万円まで下がります。
専門性の高い領域では単価が上がります。医療、法律、金融といった分野では、書ける人が限られるため1本5万〜15万円になります。
構成を自社で作ると、1本あたり1万〜2万円下がります。社内の作業は1本あたり1時間ほど増えます。
検索の管理ツールとサイトの解析ツールは無料です。記事が30本以下の段階では、これで足ります。
有料のツールが必要になるのは、競合の分析をしたくなってからです。競合分析ができるものは月2万円前後になります。
立ち上げの段階で有料ツールを契約する必要はありません。使う場面がないまま費用だけが発生します。
社内の時間という費用
結論: 自社で対応する場合も、費用は発生しています。担当者の時間を人件費に換算すると、外注費と大きく変わらないことが多くあります。
換算して整理します。
時間を金額に換算する・外注しても残る時間
月4本を社内で書く場合、24〜40時間かかります。担当者の時給を3,000円とすると、月7万〜12万円の人件費です。
外注する場合、記事の執筆だけで12万〜32万円です。単純な比較では自社のほうが安く見えます。
ただし、その時間を他の業務に回したときの価値も考えます。担当者が営業を兼務している場合、記事に30時間を使うことの機会損失が発生します。
外注しても、社内に月3〜5時間の作業が残ります。商品情報を渡す、公開前に確認する、業界の言い回しを補足する。
この3つは外部では代われません。人件費に換算すると月1万円前後です。
この時間を確保できない状態で外注すると、どこにでもある内容の記事が並びます。費用を払っても成果が出ない状態になります。
予算別に何ができるか
結論: 月10万円でも進められます。予算に対して何を優先するかを決めることが、金額を増やすことより先に来ます。
金額そのものより、何を諦めるかを決める話になります。
予算別の組み合わせ・予算が限られている場合の優先順位
| 月の予算 | 現実的な組み合わせ |
|---|---|
| 0〜3万円 | 全部を自社で。ツールは無料のもの |
| 5万〜10万円 | 設計を単発で外注。執筆は自社。月1回の相談 |
| 15万〜30万円 | 記事の執筆を月4本外注。設計と確認は社内 |
| 30万〜50万円 | 設計から記事制作まで外注。改善の助言も含む |
| 50万円以上 | 一括で外注。月8本以上。競合が強い領域向け |
月15万円未満の場合、一括での外注は現実的ではありません。範囲を絞って、自社でできる部分は自社で行う形になります。
最初に投じるべきは設計です。狙う言葉を間違えると、記事をいくら書いても順位が付きません。
次が記事の制作です。ここは本数が要るため、費用も時間もかかります。
サイトの制作とデザインは、最後です。ここを削っても成果には影響しません。
費用対効果の測り方
結論: 広告に換算するか、問い合わせ1件あたりの費用で測ります。閲覧数では投資の判断ができません。
測り方を示します。
広告に換算する・問い合わせ1件あたりで測る
検索から来た人数を、同じ言葉で広告を出した場合の費用に置き換えます。
月2,000件の流入があり、その言葉の広告単価が1件200円なら、月40万円分に相当します。運用費が月20万円なら、投じた額の2倍です。
この方法の利点は、社内で説明しやすいことです。広告費という既存の基準と比較できます。
より実務的なのは、問い合わせ1件あたりの費用です。月20万円を投じて問い合わせが8件なら、1件あたり2万5,000円になります。
この数字を、他の集客手段と比べます。展示会、広告、紹介。それぞれの1件あたりの費用と並べると、投資の判断ができます。
計測には、問い合わせ完了のページを目標として登録する設定が必要です。作業は1〜2時間で終わります。
記事は資産として残る
広告は止めた翌日に流入が消えます。記事は、公開から3年後も検索結果に残ります。
この違いを計算に入れると、初年度は割高でも2年目以降は逆転します。1本の記事が3年間集客を続けるなら、1年あたりの費用は3分の1です。
判断は12か月の合計で行います。3か月目の数字で計算すると、投じた額に対して成果がほぼ0という結果になります。
費用を抑える方法
結論: 抑えられるのは、サイトの制作、公開作業、有料ツールの3つです。設計と記事の本数を削ると、成果そのものが出なくなります。
抑え方を示します。
制作と公開作業を自社で行う
サイトの制作を自社で行うと、30万〜150万円が5万円前後になります。技術的な知識がなくても、1〜2週間でできます。
公開作業も自社でできます。記事1本あたり20分の作業で、外注すると3,000円から8,000円かかります。月8本なら月2万4,000円から6万4,000円の差です。
これらは作業であって判断ではありません。削るなら作業、残すなら判断という切り分けをしてください。
執筆を社内に戻す
記事の執筆を社内で行うと、月12万〜32万円が0円になります。かわりに24〜40時間の作業が発生します。
構成だけを外注し、執筆を社内で行う形もあります。1本あたり1万〜2万円で構成を受け取り、それに沿って書く形です。
この形にすると、費用を抑えながら品質を保てます。書く負担も、ゼロから考えるより軽くなります。
見積もりを分解して交渉する
一式でいくら、という見積もりは交渉ができません。分解を依頼してください。
分解して出してもらう項目は次の5つです。
- 設計:キーワードの選定と記事の構造の設計
- サイトの制作:デザインと環境の構築
- 記事の制作:構成・執筆・確認の3工程それぞれ
- 公開作業:入稿・画像の配置・内部リンクの設定
- 改善の助言:公開後の数字の確認と提案
この形で出してもらうと、自社でできる項目が見えます。2番と4番を外すだけで、総額が大きく変わることがあります。
あわせて、分解を断られる場合はその理由を聞きます。内訳を出せない見積もりは、根拠のない金額である可能性があります。solezoreでも、見積もりは必ずこの5項目に分けて提示しています。
かけるべきところ・削れるところ
結論: かけるべきは設計と記事の本数、削れるのはデザインと制作の作業です。この判断を誤ると、費用をかけても成果が出ません。
ここを取り違えている見積もりが、いちばん多く届きます。
かけるべきところ
キーワードの設計は、経験の差が最も出る工程です。ここを削ると、記事を50本書いても順位が付きません。
記事の本数も削れません。1つのテーマで30本前後が、そのテーマの専門サイトとして扱われる目安になります。
公開前の確認も、社内の時間として確保してください。とくに表現の制約がある業種では、ここを省けません。
削れるところ・途中で配分を見直す
デザインは、検索順位に影響しません。凝った作りにしても、読み手が見ているのは中身です。
サイトの制作と公開の作業も、自社でできます。判断ではなく作業のため、外注する価値が相対的に低くなります。
有料ツールは、記事が30本を超えるまで不要です。使う場面がないまま費用だけが発生します。
一度決めた配分を、1年間そのまま続ける必要はありません。半年の時点で見直してください。
記事が思うように出ていない場合、執筆を外注に切り替える判断があります。逆に、社内で書けるようになったなら、外注を減らして本数を増やせます。
見直しの材料は、公開した本数と、そこから生まれた問い合わせの件数です。この2つを半年分並べると、どこに費用を寄せるべきかが見えてきます。
solezoreの支援事例|業種別の進め方
結論: solezoreでは、1年分の総額を先に決めてから配分を提案します。ここでは2つの業種で、費用の使い方をどう変えたかを紹介します。
アプリ|立ち上げに使い切っていた予算を組み替えた
業務用アプリを提供する企業から受けた相談です。制作会社に130万円で構築を依頼し、公開から10か月で記事は6本のままでした。
予算の内訳を見ると、デザインに70万円が使われていました。設計の工程は契約に含まれていません。
そこで、翌年度の予算を運用に振り分けました。設計を28万円で行い、残りを記事の制作に充てています。月4本のペースで、月額は16万円です。
12か月後、記事は54本になり、検索からの流入が公開当初の30倍を超えました。年間の総額は前年より少ない金額です。配分を変えただけになります。
食品|社内執筆に切り替えて月額を3分の1にした
食品メーカーからのご相談で、記事の制作を月8本外注しており、月額が38万円という状況でした。
内訳を確認すると、構成の作成と執筆の両方を外注していました。ただし、担当者の方は文章を書くことに抵抗がなく、時間も月20時間ほど確保できます。
そこで、構成だけを外注し、執筆を社内で行う形に変えました。月額は12万円に下がっています。
公開の本数は月6本に減りましたが、検索からの流入は落ちませんでした。担当者の方から「自社の言葉で書けるようになって、記事が読みやすくなった」と言われています。社内の情報が直接入るようになったことも影響していました。

よくある質問
Q. オウンドメディアの立ち上げにいくらかかりますか?
A. 自社で作る場合は5万円前後、外注する場合は100万〜300万円が相場です。差の大半は設計とデザインの部分になります。サイトの制作は自社でも1〜2週間でできるため、ここを削って設計と記事の制作に回すことをおすすめします。
Q. 月々いくらかかりますか?
A. 記事の制作をどうするかで変わります。月4本を外注すると12万〜32万円、社内で書けば0円ですが24〜40時間の作業が発生します。ほかに、サーバー代が月1,000〜3,000円、有料ツールを入れる場合は月2万円前後です。
Q. 予算が月10万円でも始められますか?
A. 始められます。設計を単発で外注し、執筆は社内で行う形が現実的です。月々は相談料とサーバー代だけになります。ただし、記事の執筆に月20〜40時間を確保できることが前提です。
Q. 自社で対応すれば費用はかかりませんか?
A. 外に出ていく費用は月2,000〜2万円程度ですが、担当者の時間という費用が発生します。月4本を書く場合、24〜40時間かかります。時給3,000円で換算すると月7万〜12万円です。
Q. どこに費用をかけるべきですか?
A. キーワードの設計と、記事の本数です。この2つは削ると成果そのものが出なくなります。逆に、デザインとサイトの制作作業は削れます。検索順位に影響せず、自社でもできる作業だからです。
Q. 投資を回収できるまでどのくらいかかりますか?
A. 12か月から24か月が目安です。3か月目の数字で計算すると、投じた額に対して成果がほぼ0という結果になります。判断は12か月の合計で行ってください。記事は資産として残るため、2年目以降は1件あたりの費用が下がり続けます。
まとめ
オウンドメディアの費用について、要点を整理します。
- 費用は、一度きりの立ち上げと、毎月続く運用に分かれる
- 成果を生むのは運用のほう。立ち上げに3割、運用に7割が目安
- 立ち上げは、自社で5万円前後、外注で100万〜300万円
- 運用の中心は記事の制作費。月4本の外注で12万〜32万円
- 自社対応でも月30時間なら7万〜12万円の人件費が発生している
- 削れるのは、デザイン・制作作業・有料ツール
- 削れないのは、キーワードの設計・記事の本数・公開前の確認
- 判断は12か月。問い合わせ1件あたりの費用で測る
補足すると、見積もりを受け取ったら、立ち上げと運用の比率を計算してみてください。
立ち上げが7割を超えている見積もりは、公開後に予算が残りません。この比率を逆にできないかを、依頼先に相談する価値があります。
もう1つ、予算を決める前に、いま問い合わせ1件にいくら使っているかを計算してください。この数字が2万円なら、メディアで1件2万円を下回れば投資として成立します。基準がないまま金額を議論しても、判断はできません。
solezoreでは、設計から記事の制作までを承っています。予算に合わせた範囲の提案も行っていますので、いくらまで出せるかが決まっている段階でのご相談でも構いません。
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