

「管理画面の数字は毎月見ているが、そこから何をすればいいのかが分からない」「フォロワーは増えているのに、売上との関係が説明できない」――分析についてのご相談は、この2つに集約されます。
結論からお伝えすると、SNS分析でつまずく理由は見る指標が多すぎることと、売上と切り離された数字を追っていることの2つです。項目を4つに絞ると、判断できるようになります。
solezoreでは、分析を健康診断ではなく体温計にたとえて説明しています。細かい項目を並べた検査結果より、毎日同じ場所で測った1つの数字のほうが、変化に気づけます。項目を増やすより、同じ項目を長く続けるほうが価値があります。
この記事では、分析の目的から、見るべき指標の絞り方、読み解き方、媒体ごとの見る場所、改善への繋げ方、記録の仕方、よくある誤り、報告の作り方までを解説します。
SNS分析とは|何のために見るのか
結論: 分析の目的は、次に何を作るかを決めることです。報告のために数字を並べる作業になっている場合、いくら時間をかけても改善につながりません。
まず目的を確認します。
目的は次の判断
分析は、過去を振り返る作業ではありません。次にどの型の投稿を増やし、どれを減らすかを決めるための作業です。
この視点で見ると、必要な数字はかなり限られます。増やすか減らすかの判断に使えない項目は、見なくてよい。
管理画面には数十の項目が並びますが、そのほとんどは判断材料になりません。全部を見ようとすると時間だけが消え、結局は感覚で決めることになります。
数字が示すのは結果であって理由ではない
反応が多かった投稿があったとして、数字はその事実を示すだけです。なぜ多かったのかは示しません。
理由の推測は、こちらで立てます。冒頭の見せ方か、扱った話題か、投稿した時刻か。仮説を立てて、次の投稿で試す。この繰り返しでしか、理由には近づけません。
数字だけを見て理由が分かると考えると、この作業を飛ばしてしまいます。
見る前に決めること
何を見るかより先に、何を目的にしているかを決めます。
集客が目的なら、遷移数と問い合わせ数。認知が目的なら、届いた人数と新規のフォロー数。採用が目的なら、応募数。目的が違えば、見る数字も変わります。
目的を決めずに管理画面を開くと、目立つ数字に引っ張られます。表示回数やフォロワー数は分かりやすく増減するため、これを追いかけてしまいがちです。
見るべき指標を絞る
結論: 4つで足ります。投稿の本数、興味を示す反応、外部への遷移、最終的な成果。この順で見ると、どこに問題があるかが分かります。
指標の絞り方です。
追う4つの数字
- 投稿の本数:計画どおり出ているか
- 保存やクリックなど、興味を示す反応:内容が刺さっているか
- プロフィールから外部への遷移:導線が機能しているか
- 問い合わせや購入の件数:最終結果
この順番には意味があります。上から順に見て、最初に落ちている場所が改善すべき点です。
本数が足りなければ、内容の議論をしても意味がありません。本数は足りているのに反応がなければ、内容の問題です。反応はあるのに遷移がなければ、導線の問題です。
表示回数を主指標にしない・フォロワー数は最後
表示回数は増減が大きく、目立ちます。ただし、多く見られても遷移が起きない投稿は、売上の観点では何もしていないのと同じです。
表示1万回で遷移が50件の投稿と、表示10万回で遷移が20件の投稿では、前者のほうが貢献しています。総量ではなく、率で見る癖をつけます。
フォロワー数は、他の数字が動いた結果として増えるものです。先に追うと、増やすこと自体が目的になります。
フォロワーを買う、相互フォローを繰り返すといった方法で数字だけを増やしても、売上には繋がりません。むしろ、反応しない層が増えることで全体の反応率が下がります。
外注している場合は、この誘因を契約の側から断ちます。フォロワー数を目標に置かないことが、いちばん確実な手当てです。

指標の読み解き方
結論: 単体の数字ではなく、比率と推移で見ます。今月1,000という数字だけでは、良いのか悪いのか判断できません。
数字の読み方です。
比率で見る・推移で見る
反応の数を、届いた人数で割ります。この率が、内容の良し悪しを表します。
届いた人数が2倍になれば反応も2倍になるのは当然です。率が上がっていなければ、内容は改善していません。
同様に、遷移数も反応の数で割ります。興味を持った人のうち、何割が次に進んだか。ここに導線の質が表れます。
先月と比べて上がったか下がったか。この視点は必要ですが、1か月の比較では季節や外部要因に振り回されます。
3か月の移動平均で見ると、傾向が分かります。表計算ソフトで簡単に計算できるので、記録を取っていれば手間はかかりません。
前年の同じ月と比べる方法も有効です。季節性のある商材では、こちらのほうが正確に判断できます。
媒体ごとの見る場所
結論: 媒体によって指標の名前が違いますが、意味は共通しています。名前ではなく、何を表す数字かで対応させます。
媒体ごとの整理です。
| 見たいこと | 該当する指標の例 | 判断できること |
|---|---|---|
| どれだけ届いたか | 表示回数、リーチ、再生数 | 拡散の広がり |
| 興味を持たれたか | 保存、いいね、コメント、視聴時間 | 内容の刺さり方 |
| 次に進んだか | プロフィールへの遷移、リンクのクリック | 導線の機能 |
| 成果になったか | 問い合わせ、購入、応募 | 最終結果 |
媒体固有の指標
動画を扱う媒体では、視聴の継続率が重要です。冒頭で離脱されているか、最後まで見られているかで、内容の判断ができます。
静止画中心の媒体では、保存の数が有力な指標になります。後で見返したいと思われた証拠だからです。
いずれも、上の表のどこに当たるかを対応させて見ます。媒体を増やすたびに新しい指標を覚えるより、意味で整理したほうが混乱しません。
複数媒体をまとめて見る
媒体ごとに管理画面を開くと、比較が難しくなります。表計算ソフトに転記して、同じ形式で並べます。
転記は月1回で十分です。項目は4つなので、10分ほどの作業になります。この一手間で、どの媒体に力を入れるべきかが判断できます。
比べるときは、投稿1本あたりの遷移数で見てください。総数で比べると、本数の多い媒体が有利に見えます。1本あたりで見ると、労力に対する成果が分かります。
支援先では、この比較によって力を入れる媒体を入れ替えた例があります。本数の少ない媒体のほうが、1本あたりでは3倍の遷移を生んでいました。
媒体を減らす判断
3か月続けて1本あたりの遷移がほぼゼロなら、その媒体は止める候補です。
止めることに抵抗を感じる方が多いのですが、続けるほうがコストです。制作の時間は限られているため、成果の出ない媒体に使う分だけ他が薄くなります。
止める前に、投稿の内容と導線を確認します。媒体との相性ではなく、設計の問題である可能性があります。
数字から改善につなげる
結論: 数字を見た後、次の投稿を決めるところまでが分析です。ここで止まると、記録係の作業になります。
改善への繋げ方です。
型ごとにまとめて見る・仮説を立てて試す
1本ごとの数字を見ていると、たまたま伸びた投稿の要因を過大評価します。
対処法は、5本単位でまとめることです。悩みへの回答5本、比較5本というように型でくくり、平均で比べます。偶然の1本に振り回されずに済みます。
型ごとの平均が出ると、どの型を増やすかの判断ができます。これが分析の出口です。
伸びた型が分かっても、なぜ伸びたのかは推測になります。冒頭の見せ方か、扱った話題か、時刻か。
仮説を1つ選び、次の月にその要素だけを変えた投稿を出します。複数を同時に変えると、何が結果を動かしたのか分かりません。
判断には最低3本、できれば5本が必要です。1本の結果は偶然の幅に収まります。
落とす判断もする
毎週1つ型を落とし、1つ足す。この入れ替えを続けると、手元に残る型の精度が上がります。
落とすことに抵抗を感じる方が多いのですが、続けるほうがコストです。制作の時間は限られているため、反応の低い型に使う分だけ他が薄くなります。
ただし、目的によっては反応が低くても残す型があります。実務的な情報の投稿は反応が伸びませんが、来店や購入を後押しします。反応の数だけで判断すると、この種類を切ってしまいます。
判断の基準は、目的に対する貢献です。集客が目的なら遷移と成果で見る。反応は途中の指標に過ぎません。
| 見る数字 | 何が分かるか | 落とし穴 |
|---|---|---|
| 表示回数 | 届いた範囲の広さ | 多くても遷移がなければ意味がない |
| 反応の率 | 内容の刺さり方 | 実務情報の投稿は低く出る |
| 遷移の率 | 導線の機能 | 母数が小さいと振れ幅が大きい |
| 成果の件数 | 最終結果 | 経路の記録がないと数えられない |
記録の仕方
結論: 表計算ソフト1枚で足ります。項目を増やすより、同じ項目を長く続けるほうが判断材料になります。
記録の設計です。
4項目だけ記録し、3か月で傾向を見る
投稿日、型、反応の数、遷移の数。この4つを1行ずつ記録します。
項目を10個以上に増やすと、記録自体が負担になって続きません。4項目なら、投稿のたびに1分で済みます。
媒体が複数ある場合は、媒体の列を1つ足します。5項目になりますが、まだ管理できる範囲です。
3か月分、投稿にして60本ほどが溜まると、型ごとの差がはっきりします。
このタイミングで一度、全体を並べ直します。担当者の感覚と、実際の数字が食い違っていることは珍しくありません。
半年分になると、季節による変動も見えるようになります。ここまで来ると、翌年の計画が立てられます。
記録の頻度は、投稿の直後ではなく1週間後に取ります。投稿直後の数字は伸びている途中で、比較の条件が揃いません。
毎週の決まった曜日に、1週間前の投稿分をまとめて記録する。この形にすると、条件が揃った数字が並びます。作業も週1回にまとまるため、続けやすくなります。
担当者が変わったときに、記録がないと積み上げが消えます。
表計算ソフトのファイルを、社内の共有場所に置きます。あわせて、反応の良かった型の一覧と、判断の基準を書いた文書を残します。A4で2枚ほどにまとまります。
分析でよくある誤り
結論: 母数の違う数字を比べる、期間が短すぎる、外部要因を考慮しない。この3つが判断を誤らせます。
避けるべき見方です。
母数の違う数字を比べる
フォロワー1,000人のときの反応50件と、1万人のときの反応100件。総数では後者が多いのですが、率では前者が5倍です。
成長している時期ほど、この誤りが起きます。総数が増えているため、うまくいっているように見えてしまいます。
必ず率で比べてください。届いた人数、あるいはフォロワー数で割った数字で見ます。
期間が短すぎる・外部要因を考慮しない
3日間の結果で判断すると、偶然に振り回されます。曜日による差、たまたまの拡散、外部の話題との重なり。
最低1週間、できれば1か月の単位で見ます。1本の投稿についても、投稿直後より1週間後のほうが正確な数字になります。
季節、社会的な出来事、競合の動き。これらは自社の投稿と関係なく数字を動かします。
前年の同じ月と比べる、あるいは業界全体の傾向と照らす。この視点があると、自社の施策の効果を切り分けられます。
数字が悪化したとき、すべてを自社の問題だと考えると、必要のない方向転換をしてしまいます。
報告で費用に見合っているかを問われる場面では、指標を並べるだけでは足りません。総額の出し方と測り方の選び方を先に決めておきます。
報告の作り方
結論: 報告する相手が判断できる形にします。数字を並べただけの資料は読まれず、来月やることが書かれていない報告書は、読んだ人が動けません。
社内やクライアントへの報告です。
3つの構成・1枚に収める
報告に含めるのは3点です。
- 今月の結果:4つの指標と、前月比
- 分かったこと:どの型が動いたか
- 来月やること:何を増やし、何を減らすか
3番目が最も重要です。ここがない報告書は、読んだ人が何をすればいいか分かりません。
複数ページの資料は読まれません。A4で1枚、あるいは画面1つに収めてください。
数字は4項目、グラフは1つ、来月の施策は3つまで。この分量なら、5分で読めます。
悪い数字も出す
伸びなかった型や、下がった指標も報告に入れます。隠すと、後で問題が大きくなります。
あわせて、なぜ下がったかの仮説と、次にどうするかを書いてください。悪い結果でも、次の手が示されていれば報告として成立します。
報告の宛先によって、載せる数字を変えます。経営層には遷移数と問い合わせ数、現場には投稿ごとの反応。同じ資料を使い回すと、どちらにとっても情報の多すぎる資料になります。
数字が動かなかった月ほど、記録の価値が上がります。動かなかったときの条件が残っていれば、次に変える箇所を絞り込めるためです。
外注している場合は、代行会社から届いた資料を社内で使う形に直す作業が加わります。読む順番と、経営層に上げるときの整え方は届いたレポートの扱い方にまとめています。
solezoreの支援事例|業種別の進め方
結論: solezoreでは指標の設計から記録の仕組み、改善への繋ぎ方までを支援しています。詰まる場所は業種によって変わります。
メディア|感覚と実際が食い違っていた
投稿は毎日出ており、本数は十分でした。ただ、何が伸びて何が伸びなかったのかを誰も把握していません。
担当者に聞くと、感覚では分かっているとのことでした。しかし説明してもらうと、直近1週間の印象に基づいた話でした。
表計算ソフトで記録を始めました。投稿日、型、反応の数、遷移の数の4項目だけです。
3か月分が溜まった時点で並べ直すと、担当者が伸びていると考えていた型が、平均以下でした。逆に、地味だと思われていた型が最も遷移を生んでいます。
記録に基づいて型を入れ替えたところ、遷移数は2.6倍になりました。投稿の本数も労力も変えていません。
食品|表示回数を追いかけていた
月次の報告書に、表示回数とフォロワー数が並んでいる状態でした。どちらも順調に伸びています。
ところが、商品ページへの遷移は月に数件でした。数字が伸びているのに売上が動かない、という状態です。
指標を4つに絞り直しました。本数、反応、遷移、購入。表示回数は参考値として残し、主指標から外しています。
この変更をした翌月から、投稿の内容が変わり始めました。表示回数を狙った話題性のある投稿から、購入前の疑問に答える投稿へ移ったためです。
半年後、遷移は月8件から140件になりました。表示回数はむしろ2割ほど減っています。何を見るかを変えると、作るものが変わる、という分かりやすい例でした。

よくある質問
Q. どの指標を見ればいいですか?
A. 4つで足ります。投稿の本数、興味を示す反応、外部への遷移、問い合わせや購入の件数です。この順に見て、最初に落ちている場所が改善すべき点になります。表示回数とフォロワー数は主指標から外してください。
Q. フォロワー数は見なくていいのですか?
A. 参考値として見る程度で構いません。フォロワー数は他の数字が動いた結果として増えるもので、先に追うと増やすこと自体が目的になります。買ったり相互フォローで増やしたりすると、反応しない層が増えて全体の率が下がります。
Q. 分析にどれくらい時間をかけるべきですか?
A. 記録は投稿のたびに1分、まとめて見るのは月1回30分ほどで十分です。項目を増やして時間をかけるより、4項目を長く続けるほうが判断材料になります。
Q. どれくらいの期間で判断すればいいですか?
A. 最低1週間、できれば1か月の単位で見てください。3日間の結果では偶然に振り回されます。型ごとの判断には5本分、傾向を掴むには3か月分の記録が必要です。
Q. 数字が下がったときはどう考えればいいですか?
A. まず外部要因を疑ってください。季節、社会的な出来事、競合の動き。前年の同じ月と比べると切り分けられます。すべてを自社の問題だと考えると、必要のない方向転換をしてしまいます。
Q. 報告資料はどう作ればいいですか?
A. A4で1枚に収めてください。今月の結果、分かったこと、来月やることの3構成です。3番目がない報告書は、読んだ人が何をすればいいか分かりません。悪い数字も、仮説と次の手を添えて出してください。
まとめ
分析は、次に何を作るかを決めるための作業です。この記事の要点です。
- 見る指標は4つ。本数、反応、遷移、成果の順に確認する
- 表示回数とフォロワー数は主指標にしない。率で見る癖をつける
- 型ごとに5本単位でまとめて見る。1本の結果は偶然の幅
- 記録は表計算ソフト1枚、4項目。項目を増やすと続かない
- 母数の違う数字を比べない。期間は最低1週間
- 報告はA4で1枚。来月やることを3つまで書く
補足すると、記録を始めた事業者から共通して出てくるのは、感覚と実際が違っていたという話です。伸びていると思っていた型が平均以下だった、というのは珍しくありません。分析は面倒な作業ですが、思い込みを外す唯一の手段でもあります。
代行の費用や選び方については、ピラー記事もあわせてご覧ください。
solezoreでは、指標の設計から記録の仕組み、改善への繋ぎ方までを支援しています。数字は見ているが判断できない段階でも構いませんので、現状をお聞かせください。
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