

「2か月は続いたのですが、そこから何を出せばいいか分からなくなりました」「ネタ出しの会議をしても、その場では出てこないまま終わります」――投稿が止まる直前のご相談は、この2つです。
結論からお伝えすると、ネタが尽きるのは発想力の問題ではありません。探す場所を決めていないまま、思い出そうとしていることが原因です。出所を4つ決めるだけで、材料は先に集まります。
solezoreでは、ネタ出しを買い物にたとえて説明しています。冷蔵庫の前で献立を考えると何も出てきません。買い物メモを先に作っておけば、あとは並べるだけです。
この記事では、ネタが尽きる理由、材料の出所4つ、型への当てはめ方、業種別のネタ、在庫にする運用、避けるべきネタまでを、実際に制作を請け負っている立場から解説します。
ショート動画のネタが尽きる理由
結論: 尽きるのは材料ではなく、探す手順です。同じ材料でも、型に当てはめれば1つの材料から3本作れます。
まず、なぜ止まるのかを分解します。
思い出そうとしている
会議室で「何かネタはありませんか」と聞いても出てきません。記憶から引き出す作業は、人によって出る量が大きく違うためです。
出る人が1人いる状態は、その人が休んだ月に止まります。探す場所を決めておけば、誰が担当しても同じ量が出ます。実際に聞かれた質問、既存投稿へのコメント、社内資料、同業の動画。この4つを見に行くだけの作業になります。
ネタ出しを発想の作業だと考えているうちは、毎回ゼロからの作業になります。集める作業に変えると、時間も読めるようになります。
1本に詰め込みすぎている・新しいことを言おうとしている
言いたいことを1本にまとめると、材料の消費が早くなります。3つ話せる内容を1本にすると、15本分の材料が5本で終わります。
1本につき1つに絞ると、本数が3倍になります。しかも、どれが反応を取ったかが分かるようになります。詰め込んだ動画は、伸びても何が良かったのか特定できません。
分けるときの基準は、視聴者が知りたい単位です。「保存方法」なら、冷蔵と冷凍と常温で3本に分けます。細かすぎると感じるくらいで、ちょうど届きます。
まだ誰も言っていないことを探すと、材料は尽きます。実際に反応が出ているのは、既に何度も言われていることです。
同じことを言っても、言う人と言い方が違えば別の動画になります。当たり前だと思っている社内の情報ほど、外の人にとっては新しい情報です。ここを削ってしまうのが、最も多い失敗です。
ネタの出所4つ
結論: 材料は、聞かれた質問、コメント、社内資料、同業の動画の4か所から集めます。この順番で価値が高くなります。
集める作業として扱います。
実際に聞かれた質問
最も強い材料です。問い合わせ、接客、電話で聞かれたことを20個書き出します。この作業に30分かけると、2か月分になります。
強い理由は2つあります。同じことを他の人も疑問に思っていること、そして答えを社内が既に持っていることです。調べ直す必要がないため、台本が5分で書けます。
書き出すときは、要約せずに聞かれたままの言葉で残します。「保存はどうすればいいですか」を「保存方法について」と書き換えると、冒頭に使える言葉が消えてしまいます。
既存投稿へのコメント
過去の投稿に付いたコメントには、次に見たいものが書かれています。質問の形で書かれていなくても、引っかかった箇所が分かります。
「これはどの種類ですか」「この場合はどうなりますか」という書き込みは、そのまま次の動画のテーマになります。コメントに返信で答えるより、動画で答えるほうが届く範囲が広いという考え方をします。
反応が薄いコメントも材料です。伝わらなかった箇所が特定できます。
社内にある資料
よくある質問集、マニュアル、チェックリスト、研修資料。これらは既に文章になっているため、台本への変換が速く済みます。
営業資料も使えます。商談で説明している内容は、既に伝わることが確認されている材料です。紙で伝わっているものは、動画でも伝わります。
社内資料を使う利点は、社内の確認が速く終わることです。既に確認を通った内容のため、表現の判断で止まりません。
同業で伸びている動画
真似するのは中身ではなく、型です。何を話しているかではなく、どういう順番で見せているかを見ます。
見るときは、伸びた動画を10本並べて、冒頭2秒だけを書き出します。共通する形が1つ2つ見つかります。その型に自社の材料を入れると、ゼロから考えるより早く形になります。
内容をそのまま真似ると、後発として不利になります。同じことを言うなら、自社にしかない証明を足します。

型に当てはめる|6つのネタの形
結論: 型を6つ持っておくと、1つの材料から複数の動画が作れます。材料が尽きたのではなく、型が足りていない状態がほとんどです。
材料と型を掛け合わせます。
6つの型
- 質問に答える(よく聞かれることを1つ)
- 誤解を正す(勘違いされていることを1つ)
- 手順を見せる(3ステップまで)
- 比べる(2つの違いを1点だけ)
- 失敗を見せる(やってはいけないこと)
- 舞台裏を見せる(普段は見えない工程)
このうち2番目が最も反応を取りやすい型です。読者が知っているつもりのことを覆すと、最後まで見られます。5番目も同じ構造で、自分が当てはまるか確かめるために見続けられます。
6番目は、材料が尽きたときの逃げ道になります。作っている場面、仕入れの場面、片付けの場面。日常の作業ほど、外から見ると珍しいという前提に立ちます。
1つの材料を3本に分ける・型と材料の掛け算で考える
「保存方法」という1つの材料でも、型を変えれば3本になります。
| 型 | 動画の中身 |
|---|---|
| 質問に答える | よく聞かれる保存の方法を1つ答える |
| 誤解を正す | 冷蔵庫に入れると良くない場合を説明する |
| 失敗を見せる | 実際にだめになった状態を見せる |
同じ材料でも、冒頭の言葉と見せ方が変わります。3本作ってから、どれが反応を取ったかで次の型を決めます。
材料20個と型6つで、組み合わせは120通りになります。すべてを使うわけではありませんが、尽きたと感じる状態にはなりません。
月8本の投稿なら、120通りのうち使うのは年間で96本分です。在庫のほうが多い状態を作っておくと、その月の忙しさに左右されません。
業種別のネタ
結論: 業種が違っても型は同じです。変わるのは材料の置き場所で、飲食は現場、無形のサービスは判断の基準にあります。
代表的な業種で例を挙げます。
店舗を持つ業種
飲食、小売、サロン、宿泊など、現場がある業種は材料が見つけやすい業種です。
- 仕込みや準備の工程
- 席や部屋の選び方
- 混む時間帯と空いている時間帯
- 注文や予約のときによく聞かれること
- 持ち帰り、持ち込み、追加注文のルール
この中では4番目が最も反応を取ります。来る前に知りたいことが、そのまま検索されている内容と重なるためです。
商品を売る業種・無形のサービス
食品、日用品、アパレルなど、物を扱う業種は使い方と選び方が中心になります。
- サイズや量の選び方
- 使い方の手順
- 保存や手入れの方法
- 似た商品との違い
- よくある使い方の失敗
商品の紹介だけを続けると、見る理由が薄くなります。商品そのものより、使う場面を見せるほうが届きます。
コンサルティング、士業、制作会社など、形のないサービスは判断の基準が材料になります。
- 依頼する前に決めておくこと
- 費用が変わる要因
- 依頼して失敗する場合の特徴
- 自社でやるべき部分と任せる部分
- 契約前に確認する箇所
形がないぶん、判断の材料を出すことが価値になります。実績の紹介より、選び方の説明のほうが反応が出ます。
ネタを在庫にする運用
結論: 思いついたときにメモする運用は続きません。月初に1時間で在庫を作り、そこから撮影日に持ち込む形にします。
集める日と撮る日を分けます。
月初の1時間で在庫を作る
4つの出所を順に見て、その月に使うネタを15個決めます。作業としては、聞かれた質問の追加とコメントの確認が中心です。
この1時間を確保できるかどうかで、その月の本数が決まります。撮影日を先に押さえても、在庫がなければ当日に止まります。
決めた15個は、型も一緒に書いておきます。撮影の当日に型を考えると、台本が出てきません。
撮影日にまとめて撮る
月2回の撮影日を決めて、1回で5〜6本撮ります。在庫から順に消化していく形です。
空いた時間に撮る運用と比べて、1本あたりの時間が半分近くまで下がります。着替えや準備が1回で済み、頭の切り替えも起きないためです。
在庫が15個あれば、当日に撮れなかったものは翌月に回せます。1本ずつ進めていると、1本止まった時点で全体が止まります。
伸びたネタの広げ方
結論: 伸びた動画は、同じ題材で作り直すのではなく、周辺のネタに展開します。1本の当たりから、3〜5本が派生します。
当たりを使い切ります。
派生のさせ方・何を残すかを決める
伸びた動画が「保存方法」なら、周辺はこうなります。
- 同じテーマの別の型(誤解を正す形にする)
- 一段細かくした話(冷凍の場合だけを扱う)
- 一段広げた話(買った日にやることをまとめる)
- 質問への追加回答(コメントで聞かれたこと)
1番目が最も打率が高い派生です。既に反応が確認された題材で、見せ方だけを変えるためです。
派生を作るときは、伸びた動画から何を引き継ぐかを決めます。演者、冒頭の言い方、尺、テロップの見せ方のうち、変えるのは1つだけにします。
全部変えると、伸びなかったときに理由が分かりません。同じ条件で作ったものだけが比較できます。
使ってはいけないネタ
結論: 見られる本数は増えても、事業に返ってこないネタがあります。事前に線を引いておきます。
避けるものを決めておきます。
事業と関係しない話題・表現に制約がある領域
流行に乗った動画は再生されますが、その後に何も起きません。フォローされても、購入する層とは重なりません。
再生数は目的ではありません。判断の基準は、その動画を見た人が自社の顧客になり得るかどうかです。関係のない層が増えると、以降の配信もその層に向かいます。
効果や結果に触れる表現、他社との優劣、断定した言い方は、業種によっては使えません。医療、医薬品、金融、人材などが該当します。
判断に迷う表現は、月初のネタ出しの段階で確認します。撮影後や公開直前に確認すると、そこで止まります。仕組みの説明に寄せた型なら、制約のある業種でも成立します。
ネタ出しの場の作り方
結論: 会議は発想の場ではなく、集まった材料から今月の分を選ぶ場にします。事前の書き出しがあれば、1時間で終わります。
複数人で回す場合の段取りです。
会議の前に各自が書き出す
会議の場で聞いても出てきません。開催の3日前までに、各自が実際に聞かれたことを10個書き出して共有します。
書き出す対象は、その人が直接聞かれたことに限定します。推測で「こういうことが知りたいはず」と書くと、質が落ちます。現場に立っている人ほど良い材料を持っているため、役職に関係なく同じ数を出してもらいます。
集まった一覧は、重複を消さずにそのまま残します。複数人から同じ質問が出ているなら、それは優先度が高いという情報になります。
会議は選ぶ作業に絞る
会議で行うのは3つです。今月の15個を選ぶこと、それぞれに型を割り当てること、撮影日を決めることです。
議論が起きるのは型の割り当てだけで、ここも2つの候補で迷ったら両方作ります。同じ材料で型が違うものは、比較の材料になります。
会議の時間は1時間で足ります。2時間かかる場合は、事前の書き出しが足りていない状態です。翌月は書き出しの締切を早めます。
solezoreの支援事例|業種別の進め方
結論: 材料の集め方は業種で変わりますが、在庫を先に作る点は共通します。集める日と撮る日を分けた企業は、本数が安定しています。
2つの事例を挙げます。
飲食|聞かれた質問を28個集めた
複数店舗を運営する飲食企業から、月1〜2本で止まっているという一点でのご相談でした。ネタ出しの会議を月1回開いていましたが、その場では出てこない状態でした。
会議をやめて、各店の店長が接客中に聞かれたことをメモに残す運用に変えています。1か月で28個たまりました。
そこから型を割り当てて、月2回の撮影日で6本ずつ撮る形にしています。3か月で月12本の投稿が定着し、来店時に動画を見たと伝えるお客様が月3件から月11件に増えました。探す作業をやめて、集める作業に変えたことが最も大きい変化でした。
メディア|伸びた1本から5本を派生させた
情報を扱うメディア企業から、20本のうち1本だけが突出して伸びたが、次につながらないという相談をいただきました。
その1本の題材を軸に、型を変えた派生を5本作っています。誤解を正す形、一段細かくした形、コメントへの追加回答の3方向です。
5本の平均再生数は、それ以前の平均の2.4倍になりました。以降は、伸びた動画が出るたびに派生を4本作ることを運用に組み込んでいます。

よくある質問
Q. ネタ出しの会議をしても何も出てこないのですが、どうすればいいですか?
A. 会議で思い出そうとしているのが原因です。会議の前に、実際に聞かれた質問を各自10個書き出してもらってください。会議は、その一覧から今月の15本を選ぶ場に変えます。発想の場ではなく、選ぶ場として扱うと1時間で終わります。
Q. 同じテーマを何度も出しても問題ありませんか?
A. 問題ありません。むしろ、伸びたテーマは型を変えて何度も出してください。見ている人は毎回違うため、繰り返しに気づくのは作っている側だけです。ただし同じ型で同じ内容を出すと、既に見た人には飛ばされます。変えるのは型と冒頭の言い方です。
Q. 流行の音源やテーマに乗ったほうがいいですか?
A. 事業と関係する範囲なら使えます。関係しない流行に乗ると、再生はされても顧客にならない層が集まります。以降の配信もその層に向かうため、後から戻すのに時間がかかります。再生数は目的ではないという前提で判断してください。
Q. 何個のネタを在庫として持っておけばいいですか?
A. その月に投稿する本数の1.5倍が目安です。月8本なら12〜15個。撮影日に撮れなかったものを翌月に回せる余裕が必要です。在庫が本数と同じだと、1本止まった時点で予定が崩れます。
Q. 業種の制約でネタが限られる場合はどうすればいいですか?
A. 手順を見せる型と、舞台裏を見せる型に寄せてください。結果や効果に触れられなくても、何をどういう順番で行うかは話せます。制約のある業種ほど、この2つの型が使いやすくなります。判断に迷う表現は月初にまとめて確認する形にすると止まりません。
Q. 競合の動画を参考にするのはどこまで許されますか?
A. 型を参考にするのは問題ありませんが、内容をそのまま真似ると後発として不利になります。伸びている動画10本の冒頭2秒だけを書き出して、共通する形を見つけてください。その型に自社の材料と証明を入れるのが、最も再現しやすい進め方です。
まとめ
ショート動画のネタについて、要点を整理します。
- 尽きるのは材料ではなく探す手順。思い出す作業から集める作業に変える
- 材料の出所は、聞かれた質問・コメント・社内資料・同業の動画の4つ
- 聞かれた質問は、要約せず聞かれたままの言葉で残す
- 型は6つ持つ。誤解を正す型と失敗を見せる型が最後まで見られやすい
- 1つの材料でも、型を変えれば3本になる
- 材料20個 × 型6つで120通り。在庫のほうが多い状態を作る
- 月初の1時間で15個決め、月2回の撮影日で5〜6本ずつ撮る
- 伸びた動画は、同じ型で作り直さず周辺に4〜5本派生させる
- 事業と関係しない流行は、再生されても顧客にならない層が集まる
- 表現の確認は月初にまとめて行う。公開直前に確認すると止まる
補足すると、ネタが出ないと感じたら、直近1週間で誰かに説明したことを思い出してみてください。
新人への説明、取引先への説明、家族への説明。説明が必要だったということは、知られていない情報だったということです。社内では当たり前になっている内容ほど、外から見ると新しく見えます。
もう1つ、既に何本か投稿している場合は、コメント欄をまとめて読み返してください。返信で答えたものが、そのまま次の動画のテーマになります。返信は書いた本人にしか届きませんが、動画にすれば同じ疑問を持つ人全員に届きます。
solezoreでは、ネタの棚卸しから制作までを承っています。まずは聞かれた質問を洗い出して、型を割り当てるところからでも構いません。
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