

「市販の曲を使ったら、動画が見られない状態になりました」「毎回BGMを探すのに20分かかっています」――音楽についてのご相談は、この2つが大半です。
結論からお伝えすると、音楽選びで時間を使う必要はありません。テンポの数値で絞り、候補を3曲に固定してしまえば、探す作業は消えます。曲の良し悪しで反応が変わることは、ほとんどありません。
solezoreでは、BGMを部屋の照明にたとえて説明しています。照明の色を変えれば部屋の印象は変わりますが、家具の配置が悪ければ暮らしにくいままです。音楽は印象を整えるもので、内容を補うものではありません。
この記事では、音楽が担う役割、著作権の考え方、面ごとの音源ライブラリの違い、テンポからの選び方、音量のバランス、広告で使う場合の注意点までを、実際に制作している立場から解説します。
ショート動画の音楽が担う役割
結論: 音楽の役割は、テンポを作ることと、間を埋めることの2つです。内容の弱さを補う役割は持っていません。
まず、何のために入れるのかを揃えます。
テンポを作る
同じ映像でも、BGMのテンポによって速く見えたり遅く見えたりします。編集で1.1〜1.2倍にしても、遅いBGMを載せると全体が重く感じます。
人の心拍に近いテンポは自然と見てしまう、という説明がされています。曲の雰囲気ではなくテンポで選ぶ理由がここにあります。
テンポが合っていれば、曲そのものは何でも構いません。同じ曲を使い続けても問題はなく、むしろ聞いた瞬間にどのアカウントか分かる状態は有利に働きます。
間を埋める
削る作業を徹底すると、映像が細かく切り替わります。この状態で無音だと、切り替えのたびに音が途切れて落ち着きません。
BGMが下に流れていると、切り替えがつながって見えます。編集の粗さを隠す役割も、ここに含まれます。
ただし、埋めるためだけに大きな音量で流すと逆効果です。話し声が聞き取りにくくなり、内容が入りません。
内容を補う役割はない
雰囲気のある曲を載せても、話している内容が薄ければ最後まで見られません。音楽で救えるのは印象だけです。
BGMを変えても数字が動かない場合、原因は構成か演者か編集にあります。ここに時間を使う前に、削る作業と冒頭2秒を見直したほうが差が出ます。
同様に、BGMと映像だけで音声のない動画は、伝えるべきものが伝わりません。ナレーションかセリフは必ず入れます。
著作権|どこまで使えるか
結論: 市販の楽曲をそのまま載せると、動画が公開されなくなることがあります。プラットフォームが用意しているライブラリから選べば、この問題は起きません。
判断の基準を先に決めておきます。
市販の楽曲をそのまま使わない
音源ファイルを持ち込んで載せると、自動の検出により音が消される、あるいは動画自体が表示されなくなる場合があります。
この処理は投稿の直後ではなく、数日後に起きることもあります。公開時点で問題がなかったからといって、安全とは限りません。
さらに、企業のアカウントで繰り返すと、アカウント全体の扱いに影響する場合があります。1本の問題では済まないため、最初から避けます。
プラットフォームのライブラリを使う
各面には、その中で使える音源のライブラリが用意されています。ここから選べば、権利の処理は済んだ状態で使えます。
ただし、個人のアカウントと事業者のアカウントで、使える範囲が違う場合があります。事業者として運用する場合、商用で使える範囲に限定されていることがあるため、切り替えの前に確認します。
範囲の指定は面ごとに変わるうえ、時期によっても変わります。運用を始める段階で一度確認し、年に1回は見直す形にします。
外部の音源サービスを使う
面をまたいで同じ曲を使いたい場合は、外部の音源サービスを契約する方法があります。月額で、商用利用を含めて使える形式が一般的です。
利点は、3つの面すべてで同じ曲を使えることと、広告として配信する場合にも使えることです。広告に転用する予定があるなら、最初からこちらを選ぶほうが後から作り直さずに済みます。
契約の範囲は事業者ごとに違うため、動画の本数や配信先に制限があるかを確認します。

面ごとの音源ライブラリの違い
結論: 3つの面で、使える音源の範囲が違います。同じ動画を3つの面に出す場合、音源だけは差し替えることになります。
面ごとの扱いを整理します。
音ありと無音の2種類を用意しておく
| 面 | 音の前提 | 音源の扱い |
|---|---|---|
| TikTok | 音ありで見られる | 面内のライブラリが充実。事業者向けの範囲が別に用意されている |
| Instagramリール | 無音で流れてくる | 面内のライブラリから選ぶ。事業者アカウントでは範囲が絞られる場合がある |
| YouTubeショート | 音ありで見ている人が多い | 面内のライブラリのほか、外部の音源も使いやすい |
同じ動画をそのまま3つの面に出すと、音源が使えない面が出ます。書き出しの段階で、音を抜いたものと入れたものの2種類を用意しておくと差し替えが速くなります。
Instagramなど無音で流れてくる面では、まず目で止めて、それから音を使わせる設計にします。冒頭のテロップを強くします。
TikTokは音がある文化のため、音源そのものが内容の一部として扱われます。流行の音源を使うと、その音源から辿って見られる機会が増えます。
YouTubeショートは音ありで見ている人が多く、ナレーションの重要度がさらに上がります。BGMの音量は他の面より下げるほうが聞き取りやすくなります。
3つの面に出す運用では、音源の差し替えが毎回発生します。作業を減らすには、外部の音源サービスで1曲に固定する方法があります。
流行の音源を使いたい場合は、TikTok向けだけ差し替えます。すべての面で流行を追うと、作業量が3倍になります。
選び方|テンポから探す
結論: 曲の雰囲気から探すと時間がかかります。テンポの数値で絞り、80〜100の範囲から選びます。
探す時間をゼロに近づけます。
80〜100の範囲で選ぶ
60〜100の範囲が使える幅で、そのうち80〜100が扱いやすい水準です。多くの音源サービスはテンポで検索できます。
明るいか暗いかで探すと、候補が数百曲になります。テンポで絞ると数十曲になり、そこから3曲選ぶだけで済みます。
話す速度が速い演者の場合は80前後、ゆっくり話す演者は100前後が合います。演者ごとに決めておくと、毎回判断せずに済みます。
候補を3曲に固定する
毎回探すのをやめて、3曲を候補として登録しておきます。動画の内容によって使い分ける形にします。
3曲の分け方は、明るい内容・落ち着いた内容・手順の説明の3種類が扱いやすいところです。1本あたり20分かかっていた選曲が、1分で終わります。
飽きたと感じるのは作っている側だけです。見ている人は毎回違うため、同じ曲が続いても気づきません。
音量のバランス
結論: 話し声を基準に、効果音を1段下げ、BGMをさらに下げます。BGMが話し声と同じ音量だと、内容が頭に入りません。
関係を固定しておきます。
3つの音の関係
音の種類は3つで、それぞれの役割が違います。
- 話し声(内容を伝える)
- 効果音(場面の切り替わりを示す)
- BGM(テンポを作り、間を埋める)
音量は、この順番で小さくします。作っている側は内容を知っているため、BGMが大きすぎることに気づきにくいという問題があります。
判断の方法は簡単です。他の人に画面を見ずに聞いてもらい、内容が追えるかを確認します。追えない場合はBGMを下げます。
効果音を入れすぎない
場面の切り替わりに1〜2か所で足ります。すべての切り替えに入れると、うるさく感じます。
効果音が多い動画は、内容が薄い印象を与えることがあります。演出で持たせようとしている状態は、見ている人にも伝わります。
音を入れる順番も決まっています。速度を1.1〜1.2倍にした後にBGMを入れます。逆にするとBGMまで速くなり、テンポが崩れます。
流行の音源を使うかどうか
結論: 流行の音源を使うと、その音源から辿って見られる機会が増えます。ただし、事業と関係のない層が集まる場合もあります。
使いどころを分けます。
有利に働く場面
TikTokでは、音源ごとに動画がまとまって表示される仕組みがあります。流行の音源を使うと、そこから見られる機会が生まれます。
新しく始めたアカウントでは、この経路が最初の視聴につながります。まだ誰にも知られていない段階では、有効な手段です。
ただし、流行の期間は短く、1〜2週間で入れ替わります。追い続けるには、常に確認する時間が必要になります。
避けたほうがいい場面
事業と関係のない流行に乗ると、再生されても顧客にならない層が集まります。以降の配信もその層に向かうため、後から戻すのに時間がかかります。
再生数は目的ではありません。判断の基準は、その動画を見た人が自社の顧客になり得るかどうかです。
また、流行の音源は他の面では使えないことが多く、差し替えの作業が増えます。3つの面に出す運用では、TikTok向けだけに絞ります。
商用利用と広告で使う場合
結論: 通常の投稿で使えた音源が、広告として配信すると使えない場合があります。広告に出す予定があるなら、最初から外部の音源で作ります。
後から作り直すことにならないようにします。
投稿と広告で範囲が違う
面内のライブラリは、通常の投稿では使えても、広告として配信する場合は範囲が絞られることがあります。既存の投稿を広告として配信する形式でも同じです。
作り直しになると、編集の作業がまるごと発生します。広告の可能性がある動画は、最初から外部の音源サービスの曲で作っておきます。
外部の音源サービスは月1,000円前後からあり、商用利用と広告への使用を含む契約が一般的です。
費用の目安と選ぶ基準
外部の音源サービスは、契約の範囲によって費用が分かれます。本数の制限があるかどうかが最も大きい差です。
| 契約の形 | 費用 | 使える範囲 |
|---|---|---|
| 個人向けの月額 | 月1,000〜1,500円 | 投稿のみ。広告は対象外の場合がある |
| 事業者向けの月額 | 月3,000〜5,000円 | 投稿と広告。本数の制限なしが多い |
| 年額でまとめる | 年1万5,000〜4万円 | 月額より2〜3割安くなる |
| 買い切りの曲を購入 | 1曲3,000〜1万5,000円 | 期限なし。曲数を増やすほど割高 |
月8本以上を出すなら、事業者向けの月額が最も割安になります。1本あたりに割り戻すと400円前後で、編集の外注費と比べても小さい金額です。
買い切りは、使う曲を3曲に固定する運用と相性がよい形です。3曲で3万円前後の初期費用がかかりますが、翌年以降は費用が発生しません。5年使う前提なら、月額より安く収まります。
事業者アカウントでの確認
個人のアカウントとして始めたものを、事業者のアカウントに切り替えると、使える音源の範囲が変わることがあります。
切り替えの前に、過去の投稿で使っている音源が引き続き使えるかを確認します。切り替え後に音が消える場合があるため、順番に注意します。
判断に迷う場合は、外部の音源に統一しておくと、面の仕様が変わっても影響を受けません。
つまずきやすい点
結論: 失敗は、権利の確認を後回しにすることと、選曲に時間をかけすぎることの2つに集中します。
先に決めておけば避けられます。
確認を公開直前に回さない
音源が使えるかどうかを公開の直前に確認すると、そこで止まります。編集をやり直すことになり、公開が1週間遅れます。
確認は運用を始める段階で一度だけ行い、使う音源を決めてしまいます。年に1回見直せば足ります。
社内で複数人が編集する場合は、使ってよい音源を一覧にして共有します。人によって判断が変わる状態にしません。
選曲を作業にしない
毎回20分かけて探すのは、作業として重すぎます。月8本なら、それだけで2時間半かかります。
3曲に固定すれば、この時間はゼロになります。空いた時間を撮影や編集に回すほうが、数字への影響が大きくなります。
曲を変えたくなったら、3か月に1回まとめて入れ替えます。毎回変えると、アカウントとしての統一感も失われます。
solezoreの支援事例|業種別の進め方
結論: 音楽の改善は、曲を良くする方向ではなく、選ぶ時間と権利の不安をなくす方向で行います。
2つの事例を挙げます。
音楽|広告への転用で作り直しが発生した
音楽関連のサービスを提供する企業から、投稿した動画を広告に出そうとしたところ使えなかった、という点でのご相談です。
面内のライブラリから選んだ音源で、投稿としては問題なく公開されていました。広告として配信する段階で、範囲外であることが分かった形です。
外部の音源サービスに切り替え、過去12本を作り直しています。以降は、広告の可能性がある動画をすべて外部の音源で作る運用にしました。作り直しにかかった時間は、12本で約9時間でした。
食品|選曲を3曲に固定した
食品メーカーから、編集の担当者が毎回BGM選びに時間をかけている——そういう相談でした。1本あたり20分程度を使っていました。
テンポで絞り、明るい内容・落ち着いた内容・手順の説明の3種類に1曲ずつ割り当てています。担当者が変わっても同じ曲を使う形にしました。
月10本の投稿で、選曲にかけていた3時間20分が20分に下がりました。動画の反応に変化はなく、時間だけが空いたという結果になっています。

よくある質問
Q. 市販の曲をショート動画に使ってもいいですか?
A. 音源ファイルを持ち込んで載せる形は避けてください。音が消される、あるいは動画自体が表示されなくなる場合があります。処理は投稿の数日後に起きることもあり、公開時点で問題がなくても安全とは限りません。面内のライブラリか、外部の音源サービスを使ってください。
Q. BGMは毎回変えたほうがいいですか?
A. 変える必要はありません。むしろ3曲に固定するほうが、選ぶ時間がゼロになり、聞いた瞬間にどのアカウントか分かる状態にもなります。飽きたと感じるのは作っている側だけです。変えるなら3か月に1回まとめて入れ替えてください。
Q. どのくらいのテンポを選べばいいですか?
A. 80〜100の範囲が扱いやすい水準です。話す速度が速い演者なら80前後、ゆっくり話す演者なら100前後が合います。曲の雰囲気から探すと候補が数百曲になりますが、テンポで絞れば数十曲まで減ります。
Q. BGMの音量はどのくらいが適切ですか?
A. 話し声を基準に、効果音を1段下げ、BGMをさらに下げてください。作っている側は内容を知っているため、大きすぎることに気づきにくい部分です。他の人に画面を見ずに聞いてもらい、内容が追えるかを確認するのが確実です。
Q. 3つの面で同じ音源を使えますか?
A. 面内のライブラリを使う場合は、面ごとに差し替えが必要です。外部の音源サービスを契約すれば、3つの面で同じ曲を使えます。差し替えの作業を減らしたい場合や、広告に転用する予定がある場合は、外部の音源を選んでください。
Q. 流行の音源は使ったほうがいいですか?
A. 事業と関係する範囲なら有効です。音源から辿って見られる機会が増えます。ただし関係しない流行に乗ると、顧客にならない層が集まり、以降の配信もその層に向かいます。使う場合はTikTok向けだけに絞ると、作業量も抑えられます。
まとめ
ショート動画の音楽について、要点を整理します。
- 音楽の役割はテンポを作ることと間を埋めること。内容を補う役割はない
- 市販の楽曲をそのまま載せない。数日後に音が消える場合がある
- 面内のライブラリか、外部の音源サービスから選ぶ
- 事業者アカウントでは使える範囲が絞られる場合がある
- 3つの面で範囲が違うため、そのまま出すと使えない面が出る
- 曲は雰囲気でなくテンポで選ぶ。80〜100の範囲が扱いやすい
- 候補を3曲に固定すると、1本20分の選曲が1分で終わる
- 音量は話し声・効果音・BGMの順に小さくする
- 広告に出す予定があるなら、最初から外部の音源で作る
- 権利の確認は運用の開始時に一度行う。公開直前に回すと止まる
補足すると、いま作っている動画を、音を消した状態で最後まで見てみてください。
内容が追えるなら、テロップと構成が成立しています。追えない場合は、BGMで持たせている状態です。無音で流れてくる面では、そのまま流されます。
もう1つ、過去の動画で使っている音源を一覧にしてみてください。人によって選び方が違っている場合、権利の確認も人によって違っている可能性があります。使ってよい音源を決めて共有するだけで、この不安はなくなります。
solezoreでは、音源の整理を含めた運用の支援を承っています。既存の動画で使っている音源が、事業者として問題なく使える範囲かを確認するところからでも構いません。
この記事を書いた solezore に相談する
記事に書ききれない具体策・料金・事例は、無料相談で。SNS/EC/SEO の領域別に専門家が対応します。

