

「編集アプリは入れたのですが、そこから先が分かりません」「1本目を作るのに丸一日かかって、2本目に進めませんでした」――これから始める方からのご相談は、この2つに集まります。
結論からお伝えすると、作り方でつまずくのは編集ではありません。何を撮るかが決まっていないまま撮影に入ることが原因です。順番を変えるだけで、1本にかかる時間は半分以下になります。
solezoreでは、ショート動画づくりを料理にたとえて説明しています。作りながら献立を考えると台所が散らかります。買い物の前に献立を決めておけば、同じ料理でも半分の時間で出せます。
この記事では、始める前に決めること、ネタの出し方、台本、撮影、編集、投稿までの手順と、最初の5本で型を固める進め方までを、実際に制作を請け負っている立場から解説します。
ショート動画の作り方の全体像|5つの工程と時間配分
結論: 工程は企画・台本・撮影・編集・投稿の5つですが、時間がかかるのは編集ではなく企画です。ここを飛ばすと、撮影のやり直しが発生します。
まず、どこに時間がかかるのかを把握します。
1本あたりの時間の内訳
慣れた体制で、1本30〜60秒の動画にかかる時間はこうなります。
- 企画(何を撮るか決める):20分
- 台本(言うことを書き出す):20分
- 撮影(2〜3アングル):30分
- 編集(カット・速度・テロップ・音):60〜90分
- 投稿(キャプション・音源・公開):10分
合計で2〜3時間です。初めての1本は、この4倍近くかかります。編集に時間がかかっているように見えますが、時間を溶かしているのは撮影後に内容を考え直す往復です。
やり直しが起きる場所・最初の1本を完璧に作らない
撮り終えてから「言い忘れた」「順番が違った」と気づくと、撮影に戻ります。ここが最も無駄になる往復です。
台本を書いてから撮ると、この往復が消えます。台本といっても、話す内容を箇条書きで6行ほど書けば十分です。
1本目に時間をかけても、5本目には作り方が変わっています。最初の5本は練習と割り切り、公開しない前提で作るほうが結果的に早く進みます。
5本作ってから見返すと、1本目の撮り方が違っていたことに気づきます。この気づきは、1本ずつ公開しながらでは得られません。
準備|始める前に決める3つのこと
結論: 撮影の前に、誰に向けるか、誰が出るか、どの面に出すかの3つを決めます。この3つが決まっていないと、毎回ゼロから考えることになります。
準備といっても、機材を買う話ではありません。
誰に向けるかを1行で書く
「20代女性」では絞れていません。その人が実際に困っている状況まで書きます。
例として、化粧品なら「化粧直しが夕方までもたないことに悩んでいる、外回りの多い30代」まで書きます。ここまで書けると、冒頭で使う言葉が決まります。
幅広い人に届けたいと思われがちですが、動画の中身は絞るほど反応が出ます。関係のない人に見られるほど、届けたい人に届く割合が下がるためです。
誰が出るかを決める・どの面に出すかを決める
演者は、構成や編集より手前で結果を分けます。社内で出せる人を1人決めます。
判断の基準は、見た目ではなく「この人の話なら聞いてみよう」と思われるかどうかです。商品を実際に扱っている人、現場で説明している人が向いています。迷ったら経営者や店長を出すと、演技より本心のほうが伝わります。
顔を出せない場合は、手元と声だけの構成でも成立します。ただし人が出ないぶん、情報の密度で持たせる必要があります。
最初から3つの面に出す必要はありません。1つに絞って型を作ってから広げます。
| 面 | 向いている状況 | 音の前提 |
|---|---|---|
| TikTok | まだ知られていない・新規に届けたい | 音ありで見られる |
| Instagramリール | 既存の顧客がいる・世界観を作りたい | 無音で流れてくる |
| YouTubeショート | 検索されるテーマを扱っている | 音ありで見ている人が多い |

企画とネタ出し|最初の5本は何を撮るか
結論: 最初の5本は、実際に聞かれた質問から選びます。思いつきで探すより速く、当たる確率も高くなります。
ネタが尽きるのは、探す場所を決めていないためです。
聞かれた質問を20個書き出し、4つの型に当てる
問い合わせ、接客、電話で実際に聞かれたことを20個書き出します。この作業に30分かけると、2か月分のネタになります。
聞かれた質問が強い理由は2つです。同じことを他の人も疑問に思っていること、そして答えを社内が既に持っていることです。調べ直す必要がないぶん、台本が速く書けます。
ネタの形を決めておくと、材料を当てはめるだけで済みます。
- 質問に答える(よく聞かれることを1つ)
- 誤解を正す(勘違いされていることを1つ)
- 手順を見せる(3ステップまで)
- 比べる(2つの違いを1点だけ)
このうち2番目が反応を取りやすい型です。読者が知っているつもりのことを覆すと、最後まで見られます。
1本で複数のことを伝えると、どれも残りません。言いたいことが3つあるなら、3本に分けます。
分けたほうが本数も増えます。1本にまとめると15本分の材料が5本になり、投稿が続かなくなります。
台本を書く|30秒の中身を先に決める
結論: 台本は5つの部品で組みます。引き、問題提起、解決策、証明、次の行動です。この5つのどれに当たるか説明できない場面は削ります。
原稿を丸ごと書く必要はありません。
5つの部品を箇条書きで書く・冒頭2秒に社名を置かない
1行ずつ、6行程度で足ります。
- 引き(0〜2秒):ターゲットが使っている言葉を置く
- 問題提起:何に困っているかを言葉にする
- 解決策:ベネフィットを1つだけ出す
- 証明:なぜそれが可能なのかを1つ
- 次の行動:具体的に何をすればいいか
4番目を飛ばすと、良い話をしているのに信じてもらえません。実績の数字、口コミ、仕組みの説明、利用者の声のどれかを1つ入れます。
冒頭にいきなり社名やロゴを置くと、そこで流されます。名前を知られている会社でも同じです。
代わりに置くのは、届けたい人が使っている言葉です。化粧直しの話なら「夕方」「崩れ」。その単語で、自分の話かどうかの判定が起きます。
撮影する|スマートフォンでの設定と撮り方
結論: 押さえるのは寄ること、明るくすること、同じ話を2〜3アングルで撮っておくことの3点です。画質より、この3つが差になります。
撮影で決まってしまい、編集で直せない部分です。
設定と置き方
縦位置で撮ります。横で撮ったものを後から縦に切ると、必要な部分が入りません。
- 解像度:1080p以上
- フレームレート:30fpsで十分
- 手ぶれ補正:オンにするか、三脚に固定する
- 音:静かな場所を選ぶ。反響する部屋は避ける
三脚は1,000〜3,000円のもので足ります。照明を買う前に、窓際で撮る時間帯を決めるほうが安く済みます。
寄って、明るく、2〜3アングルで撮る
顔が画面の3分の1を占めるくらいまで寄ります。引いた画は背景に視線が散り、話している人に目が行きません。
編集で2秒ごとに画面を切り替えるため、同じ話を正面と斜めの2アングルで撮ります。加えて、手元や商品のカットを差し込み用に撮っておきます。撮影が終わってからは足せないので、その場で撮ります。
色を抜いたおしゃれなフィルターは避けます。作品としては良く見えても、行動につながりません。鮮やかでコントラストが高いほうが止まります。
編集する|最低限やる4つの作業
結論: 編集の役割は足すことではなく削ることです。最低限やるのは、削る・速度を上げる・テロップ・音の4つで、この順番で行います。
凝った演出は、この4つができてからです。
削る、速度を上げる
「えー」「あのー」を消したうえで、セリフとセリフの間の0.1〜0.2秒の空白まで削ります。ここを残すと間延びして見えます。
削り終えたら、全体を1.1〜1.2倍速にします。速いほうが最後まで見られた割合も、その後の行動も良かったという検証結果があります。速度を変えてから音を入れ直します。順番を逆にすると音がずれます。
テロップと音
テロップは必須です。1行10〜13文字で折り返すと読みやすくなります。位置は画面の中央から下寄りにします。上部は他の表示に隠れることがあります。
BGMは明るいか暗いかではなく、テンポで選びます。80〜100BPMの範囲が扱いやすい水準です。音量は、話し声より効果音を1段下げ、BGMをさらに下げます。BGMが話し声と同じ音量になっていると、内容が頭に入りません。
画面を2秒ごとに切り替える
同じアングルが5秒続くと、そこで離脱が起きます。2秒を目安に画面を変えます。
切り替えの中身は、次のどれでもかまいません。手の込んだ演出は必要ありません。
| 切り替えの方法 | 用意するもの | 手間 |
|---|---|---|
| アングルを変える | 撮影時に2〜3方向で撮る | 撮影で15分増える |
| 手元や商品を差し込む | 別撮りのカット | 撮影で10分増える |
| 文字だけの画面を挟む | 編集アプリの文字入れ | 編集で5分増える |
| 資料や写真を出す | 既にある画像 | ほぼ増えない |
このうち最初の2つは撮影時にしか用意できません。編集の段階で困らないよう、撮影の日に差し込み用のカットをまとめて撮っておきます。
最後の2つは、撮り直しに戻れないときの逃げ道になります。ただしこれだけで組み立てると、人が出ない動画に近づいてしまうため、主軸はアングルの切り替えに置きます。
投稿する|公開前の確認
結論: 投稿の作業自体は10分で終わります。確認するのは、他社の透かしが入っていないか、音源が規約の範囲かの2点です。
ここでの失敗は、動画そのものより表示に響きます。
書き出しと音源・キャプションの書き方
編集アプリのロゴが入ったまま投稿すると、表示が伸びにくくなります。書き出しの段階で透かしが入らない設定にします。
音源は、プラットフォームが用意しているライブラリから選べば権利の問題は起きません。市販の楽曲をそのまま載せると、動画が公開されなくなることがあります。
動画の内容をそのまま文字にすると、読む理由がありません。本文で言っていないことを1つ足す場所として使います。
タグは3〜5個で足ります。数を増やしても表示は伸びません。地域で集客する場合は位置情報を設定します。
2本目以降|型を固めて数を出す
結論: 2本目からは、1本目と同じ型で作ります。毎回違う作り方をすると、どこが良かったのか分からなくなります。
作り方を固定して、変える場所を1つに絞ります。
同じ型で5本作る・変えるのは冒頭2秒から
冒頭の言い方、尺、テロップの見せ方、締めの言葉を固定します。変えるのは中身の題材だけです。
5本たまると、比べられるようになります。同じ条件で作ったものだけが比較できます。1本ごとに作りを変えていると、伸びた理由が分かりません。
差し替えるなら、まず冒頭の言い方です。本文は固定したまま、引きだけを4パターン作って比べます。
作り直す量が少なく、比較の条件もそろいます。冒頭で止まらなければ、その先がどれだけ良くても見られないためです。
つまずきやすい点
結論: 続かなくなる原因は3つに絞られます。ネタが尽きる、演者が捕まらない、社内の確認に時間がかかるです。
作り方の問題ではなく、段取りの問題として扱います。
撮影日をまとめる・確認の回し方を決める
空いた時間に撮る運用は続きません。月2回の撮影日を決めて、1回で5〜6本撮る形にします。
台本は月初にまとめて用意し、撮影当日は読むだけの状態にします。この形にすると、1本あたりの時間が半分近くまで下がります。
1本ごとに社内の確認を回すと、公開まで2週間かかります。月初にネタと台本をまとめて確認し、そこから先は担当者の判断で出す形にします。
判断が必要になるのは、価格や効能に触れる表現が入る場合だけです。そこだけをルールにして、他は任せると止まりません。
solezoreの支援事例|業種別の進め方
結論: 進め方は業種ではなく、社内に演者と時間があるかどうかで分かれます。同じ「作り方を覚える」でも、入口が違います。
2つの事例を挙げます。
美容|社内で作れるようにする研修から入った
サロンを複数店舗運営する企業から、外注は費用が合わないので自社で作りたい、という一点でのご相談でした。過去に3本作って止まっていました。
最初の1か月は公開せず、同じ型で5本作る練習だけを行いました。台本の5部品と、寄る・明るく・2アングルの撮り方に絞って伝えています。
2か月目から週2本の投稿を開始し、6か月目には月8本が続く状態になりました。予約の際に動画を見たと伝えるお客様が、月2件から月9件に増えています。
食品|台本の在庫を先に作った
食品を扱うメーカーから、担当者は決まっているがネタが続かない、という相談をいただきました。月1〜2本で止まっていました。
問い合わせと電話で聞かれた質問を洗い出したところ、保存方法と使い方の質問が28件たまっていました。ここから台本を24本分作り、撮影日を月2回設定しています。
3か月で月8本の投稿が定着し、1本あたりの制作時間も3時間から1時間半に下がりました。ネタを探す時間がなくなったことが、最も大きい変化でした。

よくある質問
Q. 編集アプリは何を使えばいいですか?
A. スマートフォンの無料アプリで始めて問題ありません。カット、速度変更、テロップ、音源の4つができれば足ります。月1,000円前後の課金で機能が広がりますが、最初は不要です。パソコンのソフトが必要になるのは、分業する場合か月20本以上作る場合です。
Q. 台本はどこまで細かく書けばいいですか?
A. 話す内容を箇条書きで6行程度です。一語一句書くと、読んでいるのが画面に出てしまいます。5つの部品それぞれに1行ずつ、冒頭の言葉だけは書いたとおりに言う、という形が扱いやすいところです。
Q. 顔を出さなくても作れますか?
A. 作れます。手元と声だけ、あるいはナレーションと素材だけの構成でも成立します。ただし人が出ないぶん、構成と編集の負荷が上がります。情報の密度で持たせる必要があるためです。演者を手配する場合は1回3万〜10万円が目安になります。
Q. 何本目から反応が出はじめますか?
A. 本数より期間で見てください。週1〜3本を6か月続けるのが最低ラインです。最初の20本は型を作る期間で、そこから先に差が出ます。3か月で判断すると、まだ型が固まっていない状態で結論を出すことになります。
Q. 1本にかかる時間を短くするにはどうすればいいですか?
A. 撮影日をまとめてください。月2回の撮影日で5〜6本ずつ撮ると、1本あたり2〜3時間かかっていたものが1時間半程度まで下がります。台本を月初にまとめて用意しておくことが前提になります。
Q. 作ったものを3つの面に同時に出してもいいですか?
A. 出せますが、そのまま同じものを出すと反応が落ちます。差し替えるのは音源と冒頭の2か所です。最初は1つの面に絞って型を固め、月8本が安定してから広げるほうが現実的です。
まとめ
ショート動画の作り方について、要点を整理します。
- 時間がかかるのは編集ではなく企画。撮影前に台本を書くと往復が消える
- 最初の5本は公開しない前提で作る。5本目で1本目の違いに気づく
- 始める前に、誰に向けるか・誰が出るか・どの面に出すかを決める
- ネタは実際に聞かれた質問から選ぶ。20個書き出すと2か月分になる
- 台本は引き・問題提起・解決策・証明・次の行動の5部品
- 冒頭2秒に社名やロゴを置かない。届けたい人が使う言葉を置く
- 撮影は寄る・明るく・2〜3アングル。フィルターは避ける
- 編集は削る・速度を上げる・テロップ・音の順。空白まで削る
- 2本目以降は同じ型で作る。変えるのは冒頭2秒から
- 撮影日を月2回にまとめると、1本あたりの時間が半分近くまで下がる
補足すると、最初の1本を作る前に、自社の商品説明を1分間、誰かに向けて話してみてください。
そのとき最初に出てくる一言が、動画の冒頭に置く言葉です。台本を書こうとすると硬い言い方になりますが、話してみると、実際に伝わる順番が分かります。録音しておいて、それを文字にするのが最も速い台本の作り方です。
solezoreでは、社内で作れるようにする研修と、制作の代行の両方を承っています。まずは既存の動画を見て、どこから直すのが早いかをお伝えするところからでも構いません。
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