

「広告費を増やすほど、赤字が膨らんでいます」「1年前に設定したまま自動配信を続けていて、何が起きているか分かりません」――Amazon広告のご相談は、この2つが大半です。
先に結論をお伝えすると、広告の設定が下手なのではなく、広告で解決できない問題に広告費を使っていることが原因です。Amazon広告は、検索結果や商品ページに自社の商品を表示させる仕組みで、買う直前の人に届くぶん反応が出やすい面があります。ただし、届いた先のページが弱ければ、費用だけが出ていきます。
solezoreでは、広告を蛇口にたとえて説明しています。ひねれば水は出ますが、その先のバケツに穴が空いていれば、いくら出しても溜まりません。先に見るのはバケツのほうです。
この記事では、広告の種類と着手の順番から、費用の相場、利益率から決める目標値、自動から手動への移行、除外の設定、商品ページとの関係、予算の増やし方と止めどき、外注の判断までを順に解説します。
広告の種類と着手の順番
結論: 種類は4つありますが、最初に触るのはスポンサープロダクト広告の1つだけです。残りは、商品数が増えるかブランド登録を済ませてから検討します。
順番を守ると、覚えることが減ります。
4種類の違い
| 種類 | 出る場所 | 着手の目安 |
|---|---|---|
| スポンサープロダクト | 検索結果・商品ページ内 | 最初に使う。単品の露出を作る |
| スポンサーブランド | 検索結果の最上部 | ブランド登録後、商品数が増えてから |
| スポンサーディスプレイ | Amazon内外の再表示 | 一度見た人への再アプローチ |
| DSP | 外部サイトを含む配信 | 最低出稿額が月100万円規模。中小の対象外 |
最初の3か月は、スポンサープロダクトだけを回します。複数を同時に始めると、どれが売上を作ったのか分からなくなります。
この順に着手します。最初から4種類を並行させると、どれが効いたのか分からないまま費用だけが増えます。まず1種類で、検索用語のレポートが読める状態を作ってから次に進みます。商品数が10点を下回るうちは、最初の1種類だけで十分に回ります。
スポンサープロダクトから始める理由
クリックされたときだけ費用が発生する仕組みのため、表示だけでは費用がかかりません。1日の予算も自分で決められます。
出る場所も、検索結果と商品ページ内という購入に近い位置です。買うと決めた人が何を買うかを選んでいる瞬間に届くため、他の広告より反応が出やすくなります。
セラーセントラルから即日で開始でき、設定も30分ほどで終わります。
2つ目以降を検討する時期
スポンサープロダクトで費用対効果が安定してから、次を検討します。目安は、3か月続けて目標の水準を保てている状態です。
商品数が10を超えていて、ブランド登録が済んでいるなら、次はスポンサーブランドです。検索結果の最上部に複数の商品を並べられるため、シリーズで見せたい場合に向きます。
検討期間が長い商材なら、再表示のほうが向きます。一度見て買わなかった人に再度届けるため、単価の高い商品で使われます。
費用の相場と目標の決め方
結論: クリック単価はカテゴリーで30〜200円程度です。目標にする費用対効果は、自社の実質の利益率から逆算して決めます。
相場を知るより、自社の数字から決めるほうが確実です。
カテゴリー別のクリック単価
| カテゴリー | クリック単価の目安 |
|---|---|
| 家電・パソコン | 80〜200円 |
| 化粧品・美容 | 60〜180円 |
| アパレル・ファッション | 50〜150円 |
| スポーツ・アウトドア | 50〜130円 |
| 食品・飲料 | 40〜120円 |
| ホーム・インテリア | 40〜100円 |
| おもちゃ・ゲーム | 40〜100円 |
競合の多さと季節で大きく動きます。年末や大型のセール期間は、通常月の1.5〜2倍まで上がることがあります。
実際の判断は、2〜4週間配信してから自社の数字で行います。相場より高くても、購入率が高ければ問題ありません。
単価は競合の数で決まるため、同じカテゴリーでも商品によって上下します。上の幅はあくまで出発点で、2週間回せば自社の実際の単価が出ます。以降はその数字で予算を組みます。
目標にする費用対効果
広告費用対効果は、広告経由の売上を広告費で割った値です。5倍なら、10万円の広告費で50万円の売上という意味になります。
何倍を目標にするかは、利益率で決まります。
- 実質の利益率が20%なら、5倍以上で黒字
- 実質の利益率が30%なら、3.3倍以上で黒字
- 実質の利益率が40%なら、2.5倍以上で黒字
ここでいう利益率は、販売手数料とFBAの手数料を引いたあとの数字です。表面の粗利率で計算すると、黒字だと思っていた広告が赤字だった、という事態が起きます。
予算の段階
金額の目安は3段階です。
- 試す段階(月1万〜5万円):どの言葉で買われるかを確かめる期間
- 伸ばす段階(月5万〜20万円):注文の付いた言葉に予算を寄せる期間
- 広げる段階(月20万円〜):他の広告の種類へ広げる期間
月20万円を超えたあたりから、専任の担当を置くか外注するかで結果が変わってきます。手が回らないまま配信額だけ増やすと、無駄が比例して増えます。

運用の手順|自動から手動へ
結論: 自動のターゲティングで2〜4週間回し、注文の付いた言葉を手動へ移します。この移行をしないまま続けると、買われない言葉に費用が出続けます。
広告運用の中心にある工程です。
自動で始める理由
どの言葉で買われるかは、こちらの想像と実際でずれます。自社が主力だと思っている言葉ではなく、思ってもみなかった用途の言葉で注文が入ることがよくあります。
自動のターゲティングでは、Amazonが商品情報を読み取って関連する言葉に配信します。1日の予算は500〜1,000円から始めて、2〜4週間データを溜めます。
この期間の費用は、調査の費用と考えます。注文が付かなくても、付かない言葉が分かるという成果があります。
検索用語のレポートを見る
2〜4週間経ったら、実際に検索された言葉の一覧を出します。ここには、こちらが指定していない言葉も含めて、すべて記録されています。
見るのは3つに分けてです。
- 注文が付いた言葉:手動へ移し、入札を上げる
- クリックされているが注文が0の言葉:除外に設定する
- 表示もクリックもされていない言葉:放置してよい
2番目が最も費用を食っている部分です。ここを止めるだけで、同じ予算で注文数が増えます。
手動で精度を上げる
注文の付いた言葉を手動のキャンペーンへ移し、一致の種類を使い分けます。
- 完全一致:指定した言葉と同じ検索にだけ出る。無駄が少ない
- 語句一致:その言葉を含む検索に出る。範囲と精度のつり合いが取れる
- 部分一致:関連する幅広い検索に出る。表示は増えるが無駄も増える
注文の多い言葉は完全一致で入札を上げ、周辺は語句一致で拾います。自動のキャンペーンは、新しい言葉を探し続ける役割として少額で残します。
除外キーワードの設定
結論: 除外は、費用対効果を上げるための最も速い手段です。注文0のまま費用が出ている言葉を止めるだけで、同じ予算の中身が変わります。
追加するより、止めるほうが結果が早く出ます。
何を除外するか
除外の候補は3つです。
- クリックが20回以上あって注文が0の言葉
- 自社が扱っていない用途や規格を含む言葉
- 他社のブランド名を含む言葉で、注文につながっていないもの
1番目の基準は、クリック単価によって変えます。単価100円なら20回で2,000円を使っている計算です。その金額を1件の注文と引き換えにできていないなら、止める判断の材料になります。
除外を回す頻度
月1回で足ります。毎週見ても、判断に足るデータが溜まりません。
月初に検索用語のレポートを出し、上の条件に当てはまる言葉を除外に追加します。この作業に15分かけるだけで、翌月の費用対効果が変わります。
除外は増える一方で構いません。 一度止めた言葉を戻す場面はほとんどありません。
この15分を止めると、費用だけが静かに増えます。担当者が変わるときは、除外の一覧を引き継ぐ対象に入れておきます。
見る数字と直す場所
結論: 見るのは、クリック率、購入率、費用対効果の3つです。どれが低いかで、直すのが広告なのかページなのかが分かれます。
数字を分けると、手を動かす場所が決まります。
3つの数字と対応
| 低い数字 | 何が起きているか | 直す場所 |
|---|---|---|
| クリック率 | 表示されても開かれていない | 1枚目の画像・タイトル・価格 |
| 購入率 | 開かれても買われていない | 箇条書きの情報・レビュー・価格 |
| 費用対効果だけ | 買われてはいるが単価が高い | 入札額・言葉の選び方・除外 |
上2つは広告の問題ではありません。入札を触っても数字は動かないため、商品ページに戻ります。
上から順に見ます。クリック率が低いまま購入率を直しても、そもそも開かれていないので効果が出ません。落ちている段を1つ決めて、そこだけを直します。同時に2か所を変えると、どちらが効いたのか分からなくなり、翌月の判断ができなくなります。
判断までの期間
1週間では判断しません。日ごとの数字は通常でも上下し、週末と平日でも変わります。
新しく設定した言葉は、2〜4週間分を並べて見ます。クリックが50回に届くまでは、購入率の数字自体があてになりません。
この期間を待てずに設定を変えると、学習が振り出しに戻ります。数字が悪く見えても、2週間は触らないと決めておくほうが結果は安定します。予算を増やすかどうかも、同じ期間を待ってから判断します。
広告と商品ページの関係
結論: 広告の費用対効果は、商品ページの出来と連動します。ページが弱いまま広告費を増やすと、赤字だけが比例して増えます。
広告の相談で最も多く行き着く場所です。
広告で解決できないこと
広告ができるのは、表示回数を増やすことだけです。開かれるかどうか、買われるかどうかは、ページと価格が決めます。
購入率が0.5%を下回っている状態で広告費を倍にすると、赤字が倍になります。この場合に必要なのは、配信を止めてページを直す判断です。
止める判断は早いほど損が小さくなります。ページを直してから再開すれば、同じ予算でも結果が変わります。
順番を守る
広告を出す前に、次の5つを確認します。
- 1枚目の画像が白背景で、拡大してもぼやけないか
- タイトルの前半に、狙う言葉が入っているか
- 箇条書きが5項目埋まっていて、サイズや用途が書かれているか
- 価格が競合と比べて明らかに高くないか
- レビューが10件を下回っていないか
5番目だけは、広告なしでは解決しにくい部分です。件数が0の商品では、広告で最初の注文を作る必要があります。
予算の増やし方と止めどき
結論: 増やすのは、目標の費用対効果を3か月続けて保てているときだけです。止めるのは、ページを直しても購入率が上がらないときです。
増やす判断より、止める判断のほうが難しくなります。
増やすときの手順
いきなり倍にはしません。月ごとに2〜3割ずつ増やし、費用対効果が保てているかを確認します。
急に増やすと、これまで表示されていなかった競合の強い言葉にも配信が広がり、単価が上がります。同じ費用対効果のまま金額だけが増える、とはなりません。
増やす前に在庫の残り日数も確認します。広告を強めた月は消化が読めないため、欠品を招くことがあります。
止めどきの基準
3か月続けて目標を下回っていて、その間にページの手直しも試しているなら、その商品への広告は止めます。
止めた分の予算は、費用対効果の出ている商品に回します。全商品に薄く配るより、勝っている商品に寄せるほうが合計の利益は大きくなります。
広告を止めても自然な検索で売れ続けるなら、それは抜け出せているという意味です。この状態を作れた商品から、次の商品へ予算を移していきます。
外注する判断
結論: 分かれ目は、月20万円を超えているかと、月次で除外を回せているかの2点です。金額が小さいうちは、自社で回すほうが学びが残ります。
外注しても、判断は社内に残ります。
自社で回せる範囲
月10万円程度までなら、自社で十分に回せます。作業は月1回30分で、検索用語のレポートを出して除外を追加し、注文の付いた言葉の入札を調整するだけです。
この作業を半年続けると、自社の商品がどの言葉で買われるのかが分かります。この知識は外注しても社内に残しておく価値があります。
月10万円を超えたあたりから、扱う言葉の数が増えて30分では終わらなくなります。そこが外注を考える目安です。
外注する場合の相場
広告運用だけを頼む場合、月5万〜20万円に広告費の15〜30%が相場です。広告費が月30万円を超えるなら広告費の割合で、それ以下なら月額固定のほうが安く収まります。
依頼するときは、除外の頻度と月次の報告に何が書かれるかを確認します。数字が並んでいるだけで、次に何をするかが書かれていないレポートは判断の材料になりません。
solezoreの支援事例|業種別の進め方
結論: solezoreでは、広告の設定を触る前に購入率を確認します。ここでは2つの業種で、最初に何を変えたかを紹介します。
日用品・家電|配信を止めてページを直した例
生活家電を扱う事業者からのご相談です。月20万円の広告費で費用対効果が1.5倍にとどまり、増やすほど赤字が膨らんでいる状態です。
数字を見ると、購入率が0.4%でした。クリックは月2,400回あるのに、注文は月10件です。この状態で入札を触っても、赤字の速度が変わるだけになります。
そこで、いったん配信を止めました。1枚目の画像を作り直し、箇条書きに設置に要る寸法と対応する電圧を追加しています。あわせて、競合より18%高かった価格を見直しました。
3週間後に配信を再開すると、購入率は2.1%になっています。広告費は月12万円に下げ、費用対効果は4.8倍まで上がりました。止める判断が、いちばん早い改善でした。
美容|除外の設定だけで費用が4割減った例
化粧雑貨を扱うブランドからのご相談でした。1年半、自動のターゲティングを設定したまま放置していました。
検索用語のレポートを出すと、配信されている言葉が530語ありました。このうち注文が付いているのは71語で、残りの459語には注文が0のまま費用が出ています。
クリックが20回以上あって注文0の言葉、312語を除外に追加しました。手動へ移したのは、注文の多い上位40語です。
広告費は月14万円から8万5,000円に下がり、注文数は変わっていません。担当の方からは「1年半、何も見ていなかった」というお言葉をいただきました。solezoreが最初に除外を見るのは、この形の相談が繰り返し届くためです。

よくある質問
Q. Amazon広告は、いくらから始められますか?
A. 1日500〜1,000円から始めます。クリックされたときだけ費用が発生する仕組みのため、表示だけでは費用がかかりません。最初の2〜4週間は、どの言葉で買われるかを確かめる調査の期間として使います。この期間の費用は、注文が付かなくても無駄にはなりません。
Q. 目標にする広告費用対効果は、何倍にすればいいですか?
A. 実質の利益率から逆算します。利益率20%なら5倍、30%なら3.3倍、40%なら2.5倍が黒字の分かれ目です。ここでいう利益率は、販売手数料とFBAの手数料を引いたあとの数字です。表面の粗利率で計算すると、黒字だと思っていた広告が実は赤字だったという事態が起きます。
Q. 広告の種類はどれから始めればいいですか?
A. スポンサープロダクト広告の1つだけです。最初の3か月は他に手を出しません。複数を同時に始めると、どれが売上を作ったのか分からなくなります。この1つで費用対効果が3か月安定してから、ブランド登録が済んでいれば次の種類を検討します。
Q. 広告費を増やしても売上が伸びないのはなぜですか?
A. 購入率で止まっている可能性が高い状態です。広告ができるのは表示回数を増やすことだけで、開かれるか買われるかはページと価格が決めます。購入率が0.5%を下回っているなら、配信を止めて商品ページを直すほうが先です。この状態で費用を倍にすると、赤字が倍になります。
Q. 自動のターゲティングのまま続けてもいいですか?
A. 2〜4週間で手動へ移します。自動のまま半年続けると、買われない言葉にも配信が続き、費用対効果が下がります。実際、1年以上そのままにしていた事業者で、配信されている530語のうち459語が注文0だった例があります。月1回、注文0の言葉を除外に追加する作業だけでも数字が変わります。
Q. 広告運用は外注したほうがいいですか?
A. 月20万円を超えていて、月次の見直しが回せていないなら検討します。月10万円程度までは自社で回せる範囲で、作業は月1回30分です。この作業を半年続けると自社の商品がどの言葉で買われるかが分かるため、その知識は外注する場合でも社内に残しておく価値があります。
まとめ
Amazon広告で費用を無駄にしないための要点を整理します。
- 最初に触るのはスポンサープロダクト広告の1つだけ。3か月は他に手を出さない
- クリック単価はカテゴリーで30〜200円。相場より自社の数字で判断する
- 目標の費用対効果は、手数料を引いた実質の利益率から逆算する
- 自動で2〜4週間回し、注文の付いた言葉を手動へ移す
- 除外の設定が最も速い改善。注文0のまま費用が出ている言葉を月1回止める
- クリック率と購入率が低いのは広告の問題ではない。ページに戻る
- 増やすのは目標を3か月保てているときだけ。月ごとに2〜3割ずつ
- 3か月下回っていてページも直したなら、その商品への広告は止める
ここまで触れなかったことを1つ挙げると、広告のデータは検索対策の材料になります。注文につながった言葉は、こちらの想像ではなく実測値です。
ここで注文の多かった言葉をタイトルと箇条書きに反映すると、広告を止めても自然な検索で拾われるようになります。広告で確かめてから本文に入れる、という順番にすると外れが減ります。
もう1つ、除外に追加した言葉の一覧も残しておきます。新しい商品を出すときに、同じ言葉を最初から除外しておけば、調査の費用が省けます。
solezoreでは、広告の設計から月次の見直し、商品ページとの連携までを承っています。いまの配信で何が無駄になっているかを見るところだけ、というご相談も承っていますので、現状の整理からでも構いません。
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