

「代行を探していますが、会社ごとに書いてあることが違いすぎて比べられません」「構築を頼んだ会社に運用も任せるべきか、判断できません」――EC代行については、この2つのご相談をよくいただきます。
先に結論をお伝えすると、比べられないのは情報が足りないからではなく、EC代行という言葉が6つの別のサービスを指しているためです。構築だけの契約と、集客まで含む契約では、費用も社内に残る仕事量もまるで違います。同じ名前で並べても、比較が成立しません。
solezoreでは、代行の種類を家づくりにたとえて説明しています。建てるのが構築、住み始めてからの掃除と修繕が運用、人を呼ぶのが集客。どれも別の職能で、1社が全部を得意としているとは限りません。
この記事では、6つの種類とそれぞれの業務内容から、費用の目安、課題からの選び方、全体委託と部分委託の分かれ目、組み合わせるときの注意、そして種類ごとの成果の見方までを、EC支援を請け負っている立場から解説します。
EC代行の6種類
結論: 分かれるのは、構築、ページ制作、集客、広告運用、受注と顧客対応、保守と改善の6つです。扱う工程が違うため、解決できる課題も変わります。
まず、それぞれが何をするのかを押さえます。
作る側の2つ・人を集める側の2つ
構築は、サイトそのものを作る契約です。デザイン、設定、決済と配送の準備までが範囲になります。一度きりの費用で、公開までで終わります。
ページ制作は、商品ごとのページを作る契約です。写真、説明文、登録作業が含まれます。商品数に応じた費用になり、公開後も新商品のたびに発生します。
集客は、検索やSNSからの流入を作る契約です。記事の制作、商品ページの調整、投稿の運用が含まれます。成果が出るまでに数か月かかります。
広告運用は、出稿の設定、入札の管理、報告を任せる契約です。最も外注しやすい領域で、扱う会社も多くなります。
回す側の2つ・名前が同じでも中身が違う
受注と顧客対応は、注文の処理、問い合わせへの返信、返品の対応を任せる契約です。商品の知識が要るため、答えてよい範囲の線引きが必要になります。
保守と改善は、公開後のサイトの維持と、数字を見ながらの改善を任せる契約です。月額で継続し、不具合への対応も含まれます。
同じEC代行という表記でも、上のどれを指しているかは会社によって違います。運用代行と書きながら、実際は保守だけという契約は珍しくありません。
問い合わせの段階で、6つのうちどれを扱っているかを聞きます。この確認だけで、比較の土台が揃います。
種類ごとの費用の目安
結論: 構築が30万〜300万円、集客が月10万〜50万円、広告運用が月5万〜20万円です。一度きりの費用と継続する費用が混ざっています。
数字を並べると、性質の違いが見えます。
6種類の相場・継続する費用のほうが大きい
| 種類 | 費用の目安 | 発生の仕方 |
|---|---|---|
| 構築 | 30万〜300万円 | 一度きり |
| ページ制作 | 1商品1万〜8万円 | 商品ごと |
| 集客 | 月10万〜50万円 | 月額 |
| 広告運用 | 月5万〜20万円+広告費の15〜30% | 月額+割合 |
| 受注と顧客対応 | 月5万〜20万円 | 月額(件数による) |
| 保守と改善 | 月1万〜10万円 | 月額 |
一度きりの費用と月額を、同じ表で見比べることが大切です。 構築の200万円は目立ちますが、集客の月30万円は年間で360万円になります。
3年で計算すると、構築の費用は総額の1割から2割程度に収まることがほとんどです。残りは集客と運用の費用です。
構築の見積もりだけを比べて決めると、その後3年の費用を見落とします。 依頼先を選ぶときは、公開後にいくらかかるかも同時に確かめます。

課題から選ぶ
結論: 選び方は、自社が最も困っていることから逆算します。売上が伸びないという漠然とした課題のままだと、全体の運用しか選べません。
困りごとを具体的にするほど、安く済みます。
4つの数字で切り分けて、頼む種類を決める
| 困っていること | 向く種類 |
|---|---|
| サイトがまだない | 構築 |
| 商品を登録する手が足りない | ページ制作 |
| 訪問者が少ない | 集客 |
| 広告費を使っているが利益が残らない | 広告運用 |
| 問い合わせ対応に時間を取られている | 受注と顧客対応 |
| 不具合が起きたときに直せる人がいない | 保守と改善 |
漠然と売上が伸びないという状態なら、先に数字で切り分けます。
- 訪問者が月1,000人に届いていないなら、集客の問題です
- 訪問はあるのに購入率が0.5%を下回るなら、ページか設定の問題です
- かごに入れた後の離脱が7割を超えるなら、送料か決済か配送日数です
- 買われてはいるが利益が残らないなら、広告費か原価です
この切り分けを自社でやると、全体の運用ではなく部分の委託で足りることが分かります。 金額としては3分の1以下に収まることも珍しくありません。
訪問者が少ない状態でページ制作に費用をかけても、見る人がいません。逆に、訪問は多いのにかご落ちが8割という状態なら、集客を増やす前に設定を直します。
上から順に確かめて、詰まっている場所を1つ見つける。 ここが決まれば、頼む種類も決まります。
全体委託と部分委託の分かれ目
結論: 分かれ目は、社内に判断できる人がいるかどうかです。いるなら部分委託、いないなら全体を任せるほうが現実的になります。
金額ではなく、体制で決まります。
部分委託が向く場合・全体を任せるほうが向く場合
社内に、数字を見て次に何をするかを決められる人がいるなら、部分委託が向きます。作業だけを外に出し、判断は自社に残す形です。
費用は抑えられますが、複数の依頼先を束ねる役割が社内に必要になります。この役割を誰も担わないと、それぞれが別の方向に動きます。
判断できる人がいない場合、部分委託にすると全体が噛み合いません。広告の担当は広告だけを見て、集客の担当は流入だけを見るためです。
この場合は、窓口を1つにして全体を任せるほうが結果が出ます。金額は上がりますが、束ねる作業まで含んでいると考えると割高ではありません。
部分委託で社内に残るもの
結論: 部分委託にすると、束ねる役割が社内に残ります。方針を決め、各社に同じ前提を伝え、噛み合っているかを確認する作業です。
安くなるぶん、手間が増えます。
束ねる作業の中身
やることは3つです。
- 方針を決める:どの商品を主力にし、どの層に届けるかを決めます
- 同じ前提を配る:各社に、同じ商品情報と同じ目標を伝えます
- 噛み合いを確認します。広告で使っている言葉とページの言葉が揃っているかを見ます
3番目が抜けると、広告の担当が見つけた言葉がページに反映されないまま終わります。部分委託で結果が出ない原因は、ほとんどここにあります。
時間の目安
束ねる作業には、月3〜5時間かかります。全体を1社に任せた場合の社内工数と、実はそれほど変わりません。
差が出るのは金額です。部分委託で月20万円、全体で月50万円という比較になることが多くなります。時間を出せるなら、部分委託のほうが手元に残ります。
束ねる人を社内に1人も置けないなら、部分委託は成立しません。金額の前に、その人がいるかを確かめます。
組み合わせて頼むときの注意
結論: 複数に分けて頼む場合、依頼先ごとに情報がずれます。同じ資料を配り、月1回同じ数字を見る場を作ると防げます。
分けるほど、調整の手間が増えます。
情報がずれる例
集客の担当が、検索で流入の多い言葉を見つけたとします。この情報がページ制作の担当に届かないと、商品ページには反映されません。
逆に、ページの担当が価格を変えたことを広告の担当が知らないと、入札の判断がずれます。どちらも、悪意ではなく連絡の経路がないだけです。
月1回、担当が同席する場を作るだけで大半は防げます。議事録は要りません。
ずれを防ぐ2つの手
1つ目は、同じ資料を配ることです。商品の情報、目標の数字、主力の商品。この3つを1つの文書にして、依頼先すべてに同じものを渡します。
2つ目は、月1回同じ数字を見る場を作ることです。訪問者数、購入率、かご落ちの割合、1件あたりの獲得費用。この4つを並べた表を、全員が見る形にします。
会議を開く必要はありません。共有の場所に表を置き、更新されたら各社が見るだけで足ります。
分けすぎない
3社を超えると、束ねる作業が現実的でなくなります。部分委託にする場合も、2社までに収めるほうが回ります。
安いところを組み合わせたいというご相談をよくいただきますが、総額と社内の工数の両方で比べます。3社に分けて月25万円でも、束ねる時間が月10時間かかるなら、1社に月40万円のほうが安いことがあります。
種類ごとの成果の指標
結論: 頼んだ種類によって、見るべき数字が変わります。構築の会社に売上を求めても、担当できる範囲を超えています。
依頼先を評価する物差しの話です。
種類と対応する数字・求める先を間違えない
| 頼んだ種類 | 見る数字 | 判断できる時期 |
|---|---|---|
| 構築 | 公開までの期間・不具合の件数 | 公開時 |
| ページ制作 | 購入率・問い合わせの件数 | 1〜2か月 |
| 集客 | 訪問者数・経路ごとの内訳 | 3〜6か月 |
| 広告運用 | 1件あたりの獲得費用 | 2〜3か月 |
| 受注と顧客対応 | 返信までの時間・低い評価の件数 | 1〜2か月 |
| 保守と改善 | 不具合の対応時間・改善した項目の数 | 3か月 |
ページ制作が最も早く数字に出ます。集客は最も遅く、3か月では判断が付きません。
広告運用だけを頼んでいて売上が伸びない場合、1件あたりの獲得費用を見ます。ここが目標を満たしているなら、依頼先の仕事は成立しています。
それでも売上が動かないなら、原因は購入率か商品にあります。この場合、広告の担当を替えても解決しません。契約に含まれていない領域の結果を求めても、対応する手立てがないためです。
契約形態の違い
結論: 契約は一度きり、月額固定、成果報酬の3つに分かれます。同じ業務でも、形態によって進め方が変わります。
金額の払い方の話です。
3つの形態・構築と運用を同じ会社に頼むか
「成果報酬なら損をしない」と思われがちですが、実際にはそう単純ではありません。元から売れていた分にも料率が乗る契約だと、何もしなくても支払いが発生します。
一度きりの契約は、構築とページ制作に向きます。範囲が明確で、終わりがあるためです。
月額固定は、集客、広告運用、保守に向きます。継続的に手を動かす業務のため、作業量を決めておく必要があります。
構築した会社にそのまま運用も任せる形は、引き継ぎが不要という利点があります。一方、構築が得意な会社が集客も得意とは限りません。
構築の実績と、集客の実績は別に確かめます。 制作の見本を見せてもらうのと同じように、集客でどんな数字を作ったかも聞きます。
切り替えと追加のタイミング
結論: 追加するのは、いまの依頼先が扱っていない領域で数字が止まったときです。切り替えるのは、同じ指摘を3か月しても動かないときです。
増やす判断と替える判断は別物です。
追加を検討する場面
広告運用だけを頼んでいて、購入率で止まっている場合。この場合、広告の担当に言っても解決しません。ページ制作を別に頼む判断になります。
構築だけを頼んで公開した後、訪問者が増えない場合も同じです。作業は依頼どおり終わっており、足りないのは別の工程です。
いまの依頼先を責める前に、その領域が契約に含まれているかを確認します。
切り替えを検討する場面
同じ課題を3か月伝えていて動かない場合は、切り替えの検討に入ります。月次の報告に翌月の施策が書かれない状態が続いている場合も同じです。
切り替えるときは、権限の返却とデータの引き継ぎに時間がかかります。管理画面の所有者権限が自社にあるかを、まず確かめます。 ここが制作会社の名義になっていると、サイトごと動かせません。
solezoreの支援事例|業種別の進め方
結論: solezoreでは、契約の種類を決める前に、どこで止まっているかを数字で切り分けます。ここでは2つの業種で、最初に何を変えたかを紹介します。
音楽|構築の会社から集客だけを切り離した例
インディーズのレーベルのご相談を取り上げます。構築を頼んだ会社にそのまま運用も任せ、月35万円を払っています。
数字を見ると、サイトの作りに問題はありません。訪問者が月800人しかいないことが、唯一の課題でした。
契約の内訳を確かめると、集客に充てられていたのは月5万円分の作業だけです。残りは保守と軽微な改善に使われていました。
そこで、保守だけを月4万円で残し、集客を別に月18万円で切り出しています。総額は22万円に下がりました。半年後、訪問者は月4,200人になっています。
同じ金額でも、どこに使われているかで結果が変わるという例です。
通信|受注対応だけを外に出した例
通信機器を扱う事業者です。自社ECの売上は伸びていましたが、問い合わせの対応に担当者の時間が取られていました。
数えると、月に210件の問い合わせが入っています。1件10分としても月35時間で、他の業務が圧迫されていました。
そこで、受注と顧客対応だけを月12万円で外に出しています。あわせて、答えてよい範囲を1枚にまとめて渡しました。
社内の作業時間は月35時間から月6時間になりました。浮いた時間を商品の企画に回した結果、翌四半期の新商品が2点増えています。

よくある質問
Q. EC代行にはどんな種類がありますか?
A. 構築、ページ制作、集客、広告運用、受注と顧客対応、保守と改善の6つです。同じEC代行という表記でも、どれを指しているかは会社によって違います。問い合わせの段階で、この6つのうちどれを扱っているかを聞くと、比較の土台が揃います。
Q. 構築を頼んだ会社に運用も任せるべきですか?
A. 引き継ぎが不要という利点はありますが、構築が得意な会社が集客も得意とは限りません。制作の見本を見せてもらうのと同じように、集客でどんな数字を作ったかも確かめます。実際、構築の会社に運用も任せていて、集客に充てられていたのが契約額の一部だけだった例もあります。
Q. 費用はどのくらいかかりますか?
A. 構築が30万〜300万円、ページ制作が1商品1万〜8万円、集客が月10万〜50万円、広告運用が月5万〜20万円に広告費の15〜30%です。3年で計算すると、構築の費用は総額の1〜2割程度に収まります。継続する費用のほうが大きくなります。
Q. どの種類を頼めばいいか分かりません。どう決めればいいですか?
A. 数字で切り分けます。訪問者が月1,000人に届いていないなら集客、訪問はあるのに購入率が0.5%を下回るならページか設定、かご落ちが7割を超えるなら送料か決済か配送日数、利益が残らないなら広告費か原価です。詰まっている場所が1つ見つかれば、頼む種類も決まります。
Q. 安い会社を組み合わせて頼んでもいいですか?
A. 2社までなら現実的です。3社を超えると束ねる作業が回らなくなります。総額だけでなく、社内で調整に使う時間も含めて比べます。3社で月25万円でも、束ねる時間が月10時間かかるなら、1社に月40万円のほうが安く済むことがあります。
Q. 契約を切り替えるとき、何に気をつければいいですか?
A. 管理画面の所有者権限が自社にあるかを、まず確かめます。ここが制作会社の名義になっていると、サイトごと動かせません。あわせて、デザインの元データ、設定の一覧、使っているサービスの契約情報を受け取ります。終了を伝えてからでは、対応の優先度が下がります。
まとめ
EC代行の種類について、要点を整理します。
- 種類は6つ。構築、ページ制作、集客、広告運用、受注対応、保守
- 同じEC代行という表記でも、指しているものが会社によって違う
- 構築30万〜300万円、集客は月10万〜50万円。継続する費用のほうが大きい
- 3年で見ると、構築は総額の1〜2割程度に収まる
- 困りごとを数字で特定すると、部分の委託で足りることが多い
- 全体委託と部分委託の分かれ目は、社内に判断できる人がいるかどうか
- 部分委託では束ねる役割が社内に残る。月3〜5時間かかる
- 分けるのは2社まで。3社を超えると調整が回らなくなる
- 構築が得意な会社が集客も得意とは限らない。実績は別に確かめる
- 切り替えの前に、管理画面の所有者権限が自社にあるかを確かめる
本文で触れなかったことを1つ足します。契約の前に、3年分の費用を1枚の表にしておくと判断が変わります。 構築の見積もりだけを見ていると安く見えても、集客と保守を足した3年の総額では順位が入れ替わることがあります。月額の項目を12か月分、3年で並べる。この表を作るのに30分もかかりません。
やらないほうがよいこともあります。範囲を決めずに見積もりを取ること、構築の金額だけで会社を選ぶこと、そして契約に含まれていない領域の結果を求めること。3つ目は、良い依頼先を切ってしまう原因になります。
次の一歩は、いま詰まっている場所を数字で1つに絞るところからです。それが決まれば、頼む種類は自動的に決まります。
solezoreでは、どの種類が必要かの切り分けから、部分委託の設計、複数社を束ねる仕組みづくりまでを承っています。いまの契約が自社の課題と合っているかを見るところだけ、というご相談も承っています。
この記事を書いた solezore に相談する
記事に書ききれない具体策・料金・事例は、無料相談で。SNS/EC/SEO の領域別に専門家が対応します。

