

「ツールを紹介する記事を読むほど、どれを入れればいいのか分からなくなります」「有料のツールを契約したのですが、結局ほとんど開いていません」――SEOツールについては、この2つのご相談をよくいただきます。
結論からお伝えすると、必要なツールの本数は思われているより少なく、無料の2つを月1回開く習慣のほうが、有料ツールを契約することより先に来ます。ツールは数字を取る道具ではなく、次に何をするかを決める道具です。
solezoreでは、SEOツールを体重計にたとえて説明しています。高性能な体組成計を買っても、乗らなければ体は変わりません。まず毎週乗る習慣を作り、そのあとで測る項目を増やす順序になります。
この記事では、ツールが何をする道具なのか、最初に入れる2つ、無料で足りない部分、有料ツールで買っているもの、目的別と予算別の選び方、月1回の確認手順までを、実際に運用している立場から解説します。
SEOツールは何をする道具か
結論: SEOツールは、自分では見えない3つのことを見せる道具です。検索エンジンからどう見えているか、競合が何をしているか、サイトの技術的な不具合がどこにあるか。
道具を増やすより、見る項目を減らすほうが先です。
見えないものを見せる
自社のサイトが、どの言葉で検索結果に出ているか。この情報は、サイトを見ているだけでは分かりません。
同様に、競合がどの言葉で上位に入っているか、自社のページの読み込みに何秒かかっているかも、ツールなしでは把握できません。
勘で書き続けても改善しないのは、この情報が見えないためです。当たったかどうかも分からないまま、次の記事に進むことになります。
数字を取ることが目的ではない
ツールを入れると、大量の数字が並びます。ここで多くの企業がつまずきます。
見るべきなのは、次に何をするかが決まる数字だけです。表示回数が増えたことを喜んでも、そこから作業が発生しなければ意味がありません。
solezoreでは、月1回の確認で見る項目を3つに絞っています。項目が多いほど確認が続かず、続かないと判断の材料が溜まりません。
導入の順番
最初に入れるのは無料の2つです。これで検索結果での見え方と、サイト内での行動が分かります。
競合の分析や被リンクの調査が必要になるのは、記事が30本を超えて、どこで差が付いているかを知りたくなってからです。この段階になって初めて有料ツールを検討します。
順番を逆にすると、高い契約をしたまま何も見ないという状態になります。実際、これが最も多い失敗です。
まず入れる無料の2つ
結論: 検索の管理ツールと、サイトの解析ツール。この2つで、SEOの改善に必要な情報の大半は揃います。どちらも無料で、設定は1時間程度で終わります。
それぞれの役割を見ます。
検索の管理ツール
Google Search Console は、検索結果での自社の見え方を確認するツールです。どの言葉で何回表示され、何回クリックされ、何位に出ているかが分かります。
SEOの改善で最も使うのがこのツールです。表示があるのに順位が低い記事、順位はあるのにクリックされない記事を、ここから抜き出します。
設定はサイトの所有権を確認する作業だけで、10分ほどで終わります。データは設定した日から溜まり始めるため、まだの場合は今日入れます。
サイトの解析ツール・2つの使い分け
Google Analytics 4 は、サイトに来た人の行動を確認するツールです。どのページから入り、どこを見て、問い合わせまで進んだかが分かります。
検索の管理ツールが「来る前」を見るのに対し、こちらは「来た後」を見ます。2つを合わせて初めて、記事から問い合わせまでの流れが追えます。
問い合わせ完了のページを目標として登録しておくと、どの記事が問い合わせを生んでいるかが分かります。この設定を入れていないサイトは非常に多く、ここが最初の作業になることもあります。
| 知りたいこと | 見るツール |
|---|---|
| どの言葉で表示されているか | 検索の管理ツール |
| クリック率が低い記事はどれか | 検索の管理ツール |
| ページが登録されているか | 検索の管理ツール |
| どの記事から問い合わせが来たか | サイトの解析ツール |
| どのページで離脱しているか | サイトの解析ツール |
| 検索以外からの流入はどれくらいか | サイトの解析ツール |
迷ったときは、検索結果の話なら管理ツール、サイトの中の話なら解析ツールと覚えてください。

無料で足りるもの・足りないもの
結論: 自社サイトの分析は無料で足ります。足りないのは、競合の分析と、まだ書いていないキーワードの検索数を知ることです。
境目を整理します。
無料で十分にできること
自社の記事がどう見られているかは、無料のツールで完全に把握できます。表示回数、クリック率、順位、登録の状況、読み込み速度。
改善の作業も、この情報だけで始められます。記事が30本以下の段階では、有料ツールを入れても使う場面がほとんどありません。
実際、solezoreが自社のメディアを見直したときも、判断に使ったのは無料のツールから取ったデータです。208本の記事の優先順位は、表示回数の多い順で決めました。
足りなくなる場面
競合がどのキーワードで流入しているかは、無料では分かりません。ここを知りたくなるのは、自社の記事が伸び悩み、何を書けていないかを探す段階です。
また、まだ書いていないキーワードの検索数も、正確には分かりません。無料の広告用ツールでも調べられますが、広告の出稿がない場合は幅のある表示になります。
被リンクの調査も同様です。自社へのリンクは無料で見られますが、競合へのリンクは有料ツールが必要になります。
有料ツールで買っているもの
結論: 有料ツールで買っているのは、他社のデータです。自社の数字は無料で取れるため、外を見る必要が出てから契約すると無駄がありません。
何が買えるのかを見ます。
競合の流入キーワード
有料ツールの中心的な機能は、他社サイトがどの言葉で検索から人を集めているかを見ることです。
これが分かると、自社が書けていない領域が特定できます。競合が10本書いているのに自社が0本のテーマがあれば、そこが穴です。
逆に、競合も取れていない領域が見つかることもあります。この場合、需要そのものがない可能性を疑います。
キーワードの検索数と難易度
狙おうとしているキーワードが、月に何回検索されていて、上位に入るのがどれくらい難しいかが数値で出ます。
この情報があると、書く前に勝てるかどうかの見当が付きます。難易度の高い言葉ばかりを選んで半年を無駄にする、という事態を避けられます。
ただし、難易度の数値は各ツールが独自に計算したものです。絶対的な基準ではなく、比較のための目安として使います。
順位の自動追跡
指定した言葉での順位を、毎日自動で記録する機能です。手作業で検索して確認する必要がなくなります。
これは便利ですが、優先度は高くありません。順位は日々変動するため、毎日見ても判断は変わらないからです。
順位を毎日追えば改善が早くなると思われがちですが、実際には90日単位の傾向を見るほうが正しい判断ができます。
目的別の選び方
結論: ツールは機能の多さではなく、いま解決したい問題から選びます。何をしたいかが決まっていない段階では、無料の2つで十分です。
目的ごとに整理します。
目的と使うツール・契約前に試す
| いま知りたいこと | 使うもの | 費用 |
|---|---|---|
| 自社の記事の見られ方 | 検索の管理ツール | 無料 |
| どの記事が問い合わせを生んだか | サイトの解析ツール | 無料 |
| ページの読み込み速度 | 速度の診断ツール | 無料 |
| キーワードのおおよその検索数 | 広告のキーワード計画ツール | 無料 |
| 競合の流入キーワード | 有料の分析ツール | 月2万円前後〜 |
| 競合の被リンク | 有料の分析ツール | 月2万円前後〜 |
| 順位の毎日の記録 | 有料の順位計測ツール | 月3,000円〜 |
有料の分析ツールは、海外のサービスが中心です。為替の影響を受けるため、契約時の価格を必ず確認します。
主要な有料ツールには、無料で試せる期間や、機能を制限した無料の枠があります。まずここで、実際に使う場面があるかを確かめます。
1か月試して、開いた回数が3回以下なら契約する必要はありません。逆に、毎週開いていたなら費用に見合います。
solezoreでは、クライアントに有料ツールを提案する前に、必ず1か月の試用を挟んでいます。使わないツールの費用を負担してもらうのは避けたいためです。
予算別の組み合わせ
結論: 予算がゼロでも改善は進みます。有料ツールを検討する目安は、記事制作に月20万円以上を投じている段階からです。
段階ごとに示します。
段階別の構成
- 費用をかけない段階:検索の管理ツール、サイトの解析ツール、速度の診断ツールの3つ。すべて無料
- 月3,000円前後:上記に順位の計測ツールを追加。狙う言葉を30〜50個登録する
- 月2万〜3万円:上記に競合分析ができる有料ツールを1つ追加
- 月5万円以上:分析ツールを2つ使い分ける。競合が強い領域や、複数サイトを運営する場合
多くの中小企業は、2番までで十分です。3番に進む目安は、記事が50本を超え、どこで差が付いているか分からなくなった時点になります。
費用対効果の考え方
有料ツールの月額が2万円だとすると、年間で24万円です。この金額は、記事にすると3〜8本分にあたります。
ツールを入れたことで、外れる記事が年に4本減るなら費用は回収できます。逆に、入れても書く記事が変わらないなら回収できません。
判断の基準は、そのツールで得た情報が、書く記事を変えるかどうかです。眺めて満足するだけなら、契約する必要はありません。
導入しても使われない理由
結論: ツールが使われなくなる理由は3つあります。見る項目を決めていない、見る日を決めていない、見た結果として何をするかを決めていない。
つまずく場所を挙げます。
見る項目が多すぎる・確認する日が決まっていない
初めて管理ツールを開くと、大量の数字が並びます。どこから見ればいいか分からず、そのまま閉じることになります。
最初は3つに絞ってください。表示回数の多い記事、順位が8位から20位の記事、クリック率が低い記事。この3つだけです。
慣れてから項目を増やせば構いません。多くの項目を見ようとして続かないより、3つを毎月見るほうが結果につながります。
「時間があるときに見る」と決めた場合、見られません。毎月の日付を決めて、予定に入れてください。
月初の3営業日以内が実務的です。前月のデータが揃っており、その月の作業計画を立てるタイミングと重なります。
30分あれば終わります。長く見ようとすると、次の月に後回しになります。
月1回の確認手順
結論: 確認は30分で終わります。3つの項目を順に見て、直す記事を3本決める。この形にすると、毎月の作業として続きます。
時間をかけるほど良くなる作業ではありません。
順位が8位から20位の記事を抜く
最初に見るのは、あと少しで上位に入る記事です。表示回数の多い順に並べ、順位が8位から20位のものを抜き出します。
ここに入っている記事は、すでに検索エンジンから一定の評価を受けています。論点を足すか、構成を整えるだけで順位が動くことが多くあります。
新しく書くより早く結果が出るため、毎月ここから3本を選んで書き直します。
クリック率が低い記事を探す
次に、表示回数はあるのにクリックされていない記事を探します。順位が5位以内なのにクリック率が2%を下回る記事が該当します。
この場合、直すのは本文ではなくタイトルと説明文です。検索結果に出ている文字が、検索した人の期待と合っていません。
タイトルの修正は15分で終わり、効果は2〜4週間で表れます。作業量に対して影響の大きい改善です。
登録されていないページを確認する
最後に、検索エンジンに登録されていないページがないかを確認します。ここに大量の除外が出ている場合、技術面に問題があります。
新しく公開した記事が2週間経っても登録されない場合も、原因を調べてください。設定の誤りで巡回対象から外れていることがあります。
この項目は、問題がなければ1分で終わります。何かあったときにすぐ気づける状態を保つための確認です。
solezoreの支援事例|業種別の進め方
結論: solezoreでは、ツールの導入より先に、見る項目と見る日を決めます。ここでは2つの業種で、何を変えたかを紹介します。
マーケティング支援|自社の208本を数字で並べ替えた
支援会社自身の事例として、solezoreのメディアを挙げます。2026年に208本の記事を見直す際、どこから手を付けるかを決める必要がありました。
使ったのは無料の管理ツールだけです。90日の表示回数で並べ替え、順位が8位から20位の記事を抽出しました。
この作業で分かったのは、表示が多い記事ほど文字数が少ないという傾向でした。すでに検索に出ているのに中身が薄い記事が、優先して直すべき対象だということです。
有料ツールは使っていません。自社のデータだけで優先順位が決まる場合、外を見る必要はないという判断です。
アパレル|競合の穴を見つけて記事を12本足した
レディースの衣料を扱うブランドのご相談を取り上げます。記事は45本あり、順位も付いていましたが、伸びが止まっていました。
自社のデータだけでは原因が分からなかったため、有料の分析ツールを1か月試しました。競合3社の流入キーワードを取り出し、自社と突き合わせています。
すると、素材の手入れに関する言葉で競合が大量に流入していることが分かりました。自社は商品の紹介記事ばかりで、この領域が0本です。
手入れの方法を扱う記事を12本追加したところ、4か月目から検索からの流入が伸び始めました。試用の1か月で契約を決めた形ですが、この使い方なら費用に見合います。

よくある質問
Q. SEOツールは何本くらい必要ですか?
A. 最初は無料の2つで十分です。検索の管理ツールとサイトの解析ツールを月1回開く習慣ができてから、必要に応じて追加してください。本数を増やしても、見る時間が増えなければ判断は変わりません。
Q. 有料ツールはいつから必要になりますか?
A. 記事が50本を超え、自社のデータだけでは伸び悩みの原因が分からなくなった段階です。目安として、記事制作に月20万円以上を投じているなら、月2万円のツールは費用に見合います。それ以前は無料で足ります。
Q. 有料ツールの費用はどのくらいですか?
A. 競合分析ができるものは月2万円前後から、順位の計測に特化したものは月3,000円程度からです。主要なものは海外のサービスが中心で為替の影響を受けるため、契約時の価格を確認してください。
Q. ツールを入れたのに使っていません。どうすればいいですか?
A. 見る項目を3つに絞り、見る日を決めてください。順位が8位から20位の記事、クリック率が低い記事、登録されていないページの3つです。月初の3営業日以内に30分、と予定に入れると続きます。
Q. 順位は毎日確認したほうがいいですか?
A. 必要ありません。順位は日々変動するため、毎日見ても判断は変わりません。90日単位で傾向を見るほうが正しい判断ができます。毎日の記録が要るのは、大きな変動があったときに原因を遡る場合だけです。
Q. ツールの数字を見ても何をすればいいか分からないときはどうすればいいですか?
A. 数字から作業に落とす部分が、経験の要る箇所です。まずは順位が8位から20位の記事を3本選び、論点を足す作業から始めてください。それでも判断が難しい場合は、診断だけを外部に依頼する方法もあります。
まとめ
SEOツールについて、要点を整理します。
- ツールが見せるのは、検索結果での見え方・競合の動き・技術的な不具合の3つ
- 最初に入れるのは無料の2つ。設定は1時間で終わる
- 自社の分析は無料で足りる。足りないのは競合の分析と未着手のキーワードの検索数
- 有料ツールで買っているのは他社のデータ。外を見る必要が出てから契約する
- 契約前に1か月試す。開いた回数が3回以下なら契約しない
- 見る項目は3つに絞る。順位8位から20位・クリック率が低い記事・登録の状況
- 確認は月初の30分。日を決めないと続かない
- 順位は毎日追わない。判断は90日単位
補足すると、ツールを検討する前に、すでに入れているツールを開いてみてください。
多くの企業で、検索の管理ツールは設定済みなのに、半年以上開かれていません。新しく契約するより、いま持っているものを月1回開くほうが、費用ゼロで結果が変わります。
もう1つ、解析ツールで問い合わせ完了のページを目標として登録しているか確認してください。ここが未設定だと、どの記事が売上につながったかを追えません。
solezoreでは、ツールの設定から月次の確認の代行までを承っています。導入済みのツールが使われていない状態からの立て直しも扱っていますので、現状の確認からでも構いません。
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