
「15秒に収めたほうがいいと聞いて短くしたのですが、逆に伸びなくなりました」「投稿する時間帯を変えたほうがいいのでしょうか」――尺と時間についてのご相談は、この2つです。
結論からお伝えすると、尺は30〜90秒が基本です。短くすること自体を目的にして証明の部分を削ると、逆効果になります。長さではなく密度で決まるためです。
solezoreでは、尺の判断を会話の長さにたとえて説明しています。用件だけ話す人と、背景まで話す人がいますが、どちらが伝わるかは相手と内容によって変わります。短ければ伝わるわけではありません。
この記事では、尺の考え方、面ごとの仕様、数字の読み方、目的別の決め方、投稿する時間帯と頻度までを、実際に運用している立場から解説します。
ショート動画の尺|何秒が最適か
結論: 30〜90秒が基本です。内容が濃ければ長くても最後まで見られ、薄ければ短くても見られません。
まず、基本の考え方を揃えます。
長さでなく密度で決まる
同じ60秒でも、無駄が削られている動画と、間延びしている動画では最後まで見られる割合が大きく変わります。
削る作業を徹底すると、90秒の内容が60秒に収まります。この60秒は、最初から60秒で作った動画より密度が高い状態です。
短くするために話す速度を上げるのは別の話です。速度を上げても、内容が薄ければ同じです。削るのは内容ではなく、間と繰り返しです。
証明を削らない・尺を先に決める
尺を縮めるとき、最初に削られるのが証明の部分です。ここが抜けると、良い話をしているのに信じてもらえません。
削る優先順位は、前置き・繰り返し・言いよどみ・間の4つが先です。この4つを削り切ってもまだ長い場合に、初めて内容を削ります。
内容を削る場合も、証明ではなく問題提起を短くします。悩みの言語化は2行で足ります。
台本を書く前に、何秒の動画にするかを決めます。決めてから部品の配分を割り当てます。
尺が決まっていないと、話しているうちに長くなります。撮影の段階で3分話してしまうと、編集で削る作業に時間がかかります。
慣れるまでは60秒を基本にします。60秒で成立する型が固まってから、30秒版と90秒版に広げます。
面ごとの尺の仕様
結論: 3つの面で対応する尺が違います。3面に出す前提なら、最も短い面に合わせて60秒以内で作ります。
仕様を先に押さえます。
面ごとの対応・60秒版を基本にする
| 面 | 対応する尺 | 実務での目安 |
|---|---|---|
| TikTok | 3分以上まで対応 | 30〜90秒 |
| Instagramリール | 90秒程度 | 30〜60秒 |
| YouTubeショート | 60秒以内 | 30〜60秒 |
60秒を超えると、YouTubeショートには出せません。3面に出す運用では、この点が最初の制約になります。
尺の仕様は時期によって変わることがあるため、運用の開始時に確認します。年に1回は見直す形にします。
3面に出す前提なら、60秒以内で作るのが最も効率的です。1本の書き出しで3面に対応できます。
60秒版と90秒版を両方作ると、編集の作業が倍になります。月8本を出す運用では現実的ではありません。
どうしても長さが必要な内容は、2本に分けます。分けたほうが本数も増え、どちらが反応を取ったかも分かります。
面ごとの見られ方の違い
TikTokは音ありで見られるため、話す内容が中心の動画でも成立します。長めの尺にも耐えます。
Instagramは無音で流れてくるため、テロップで内容を追える必要があります。文字を読む時間が必要なぶん、詰め込みすぎると追いつきません。
YouTubeショートは検索から見つけられる機会があり、後から見返される動画になります。手順の説明など、繰り返し見られる内容が向いています。
尺と数字の読み方
結論: 最後まで見られた割合は、尺が短いほど自然に高くなります。尺を揃えずに比べると、判断を誤ります。
数字の読み方を決めます。
尺と一緒に読む
30秒の動画と90秒の動画を、同じ割合で比べても意味がありません。短いほうが高く出るのは当然です。
海外の代理店が集計した目安として、最後まで見た割合は15秒未満で35〜50%、15〜30秒で25〜40%が良好の範囲と示されています。公式の発表ではないため、自社の平均を基準に置くほうが実用的です。
比べるときは、同じ尺の動画同士で並べます。60秒の動画は60秒の動画と、という形にします。
3秒までの割合は尺に影響されない
冒頭2秒で止まったかどうかを見る数字は、尺の影響を受けません。ここは尺をまたいで比較できます。
この数字が低い場合、直すのは冒頭の言い方です。尺を短くしても改善しません。目安として20〜25%が最低ライン、28%以上で良好、40%以上で上位とされています。
冒頭で止まらなければ、その先がどれだけ良くても見られません。尺の議論より先に、ここを確認します。
秒数ごとの離脱を見る
面によっては、何秒目で離脱したかが分かります。ここが最も直接的な材料です。
離脱が集中している箇所があれば、そこに退屈な時間があります。画面が5秒以上切り替わっていない、同じ話を繰り返している、といった原因が特定できます。
離脱が全体に均等に分散している場合は、特定の箇所ではなく密度そのものの問題です。この場合は削る作業に戻ります。
目的別の尺の決め方
結論: 知ってもらう動画は短く、買ってもらう動画は長くします。証明に必要な時間が違うためです。
目的から逆算します。
目的と尺の対応・業種による差
| 目的 | 尺の目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 知ってもらう | 15〜30秒 | 証明が不要。引きと1つの情報で足りる |
| 比べてもらう | 30〜60秒 | 違いの説明と根拠が要る |
| 買ってもらう | 60〜90秒 | 証明と次の行動まで入れる |
新規に届けたい段階では短く、購入を促す段階では長くなります。同じアカウントの中で、尺が揃っている必要はありません。
説明が必要な商材ほど、尺が長くなります。価格が高いもの、比較して選ぶもの、資格や制度が関わるものが該当します。
一方、見た目で判断できる商材は短くて足ります。食品、雑貨、アパレルなどが該当します。商材の性質と尺が合っていない状態が、伸びない原因になっていることがあります。
判断に迷う場合は、同じ内容で30秒版と60秒版を作って比べます。撮影した素材は共通で、編集の段階で2つに分けるだけなので、1本あたり15分の追加で済みます。
比べるときは、最後まで見られた割合ではなく、リンクのクリックや問い合わせの数で判断します。短い版のほうが前者は高く出るため、そこで決めると毎回短い側が選ばれてしまいます。
投稿する時間帯
結論: 時間帯の影響は、内容や冒頭に比べると小さい要素です。ただし、決めておくと比較ができるようになります。
優先順位を間違えないようにします。
影響は2〜3割程度
投稿の時間帯を変えても、伸びない動画が伸びるようにはなりません。影響するのは、届く速度の部分です。
直す順番としては、冒頭・構成・編集の後になります。時間帯を先に調整しても、成果は変わりません。
一般的には夜の時間帯が見られやすいとされていますが、業種によって変わります。飲食店なら食事の前、医療なら休日の午前、というように、その人が困っている時間に届くほうが動きます。
自社の数字で決める・曜日の扱い
面の分析画面で、フォロワーが見ている時間帯を確認できる場合があります。ここを起点にします。
決めたら3か月は固定します。毎回変えていると、時間帯の影響なのか内容の影響なのか分からなくなります。
比較する場合は、同じ内容の型で、時間帯だけを変えた動画を5本ずつ出します。1本ずつでは判断できません。
時間帯と同じく、曜日の影響も限定的です。ただし業種によっては、はっきりした差が出ます。
- 飲食・小売:週末の前日と当日に動きが出やすい
- 医療・士業:休日の午前に調べられやすい
- 事業者向けのサービス:平日の日中に見られやすい
共通しているのは、その人が困っている時間に届くほうが動くという点です。娯楽として見られる時間帯と、調べるために見られる時間帯は別です。
自社の顧客がいつ困っているかは、問い合わせが来る曜日と時間から分かります。動画の投稿も、そこに寄せます。問い合わせが土曜の午前に集中しているなら、金曜の夜に出すという形になります。
投稿の頻度と間隔
結論: 週1〜3本を6か月続けるのが最低ラインです。少ない本数で当たりを探すより、同じ型で数を出すほうが早く結論が出ます。
続けられる本数を決めます。
週何本を出すか
海外では週3〜5本の追加が推奨されていますが、国内の中小規模の現場では週1本追加できれば良いほうです。
無理な本数を計画すると、3週間で止まります。人と時間から先に本数を決め、その本数で回るかを見ます。
同じ動画を出し続けると、1〜2週間から長くて1か月で反応が落ちます。新しい動画を足す速度が、落ちる速度を上回っている状態を保ちます。
まとめて撮って分けて出す
月2回の撮影日で5〜6本ずつ撮り、週2本のペースで出します。撮る日と出す日を分けます。
在庫が2週間分あると、忙しい週があっても投稿が止まりません。1本ずつ作って出す運用は、1本止まると全体が止まります。
投稿の間隔は均等にします。3本まとめて出して1週間空けるより、2日おきに1本ずつのほうが安定します。
つまずきやすい点
結論: 尺の失敗は、短くしすぎることと、決めずに撮ることの2つです。どちらも台本の段階で防げます。
先に決めておきます。
15秒に無理に収めない
短いほうが有利という情報を受けて、15秒に収めようとすると証明が入りません。結果として、良いことだけを並べた動画になります。
15秒で成立するのは、知ってもらう段階の動画だけです。比較や購入を促す内容は、この尺では組めません。
判断の基準は、5つの部品がすべて入っているかどうかです。入らないなら尺が足りていません。
撮る前に尺を決める
尺を決めずに撮ると、3分話してしまいます。編集で削る作業に時間がかかり、内容も削れます。
台本の段階で、部品ごとの秒数を割り当てます。引き2秒、問題提起8秒、解決策20秒、証明22秒、次の行動8秒、といった形です。
撮影のときに時計を見る必要はありません。台本の分量が決まっていれば、自然にその尺に収まります。
尺を短くする以外の打ち手
結論: 途中で離脱されている場合、尺を縮める前に密度を上げます。同じ尺のまま、見続けられる状態にできます。
先に試すことが3つあります。
画面の切り替えを増やす
同じアングルが5秒以上続くと、そこで離脱が起きます。2秒を目安に画面を変えます。
切り替えの中身は、アングルの変更でも、手元のカットでも、文字だけの画面でもかまいません。尺を変えずに、体感の速さだけを上げられます。
この対策は撮影の素材に左右されます。正面だけで撮った素材では、差し込むものがありません。撮影の段階で2〜3アングルを押さえておくと、後から調整できます。
話す順番を入れ替える
離脱が集中している箇所が特定できる場合、その部分を後ろに送ります。順番を変えるだけで、削らずに済みます。
たとえば、背景の説明が長い動画は、結論を先に出して背景を後に回します。5つの部品の順番は固定ですが、部品の中の順番は変えられます。
証明の部分が長い場合は、最も強い1つだけを残して他を削ります。4種類すべてを入れる必要はありません。
1本を2本に分ける
削っても収まらない場合は、2本に分けます。分けたほうが本数も増え、どちらが反応を取ったかも分かります。
分ける位置は、話題が変わるところです。前半と後半で伝えたいことが違う動画は、そもそも2本分の内容が入っています。
分けた場合、それぞれに引きと次の行動を付けます。後半だけを見た人にも成立する形にします。前半を見た人向けの誘導は、キャプションに置きます。
solezoreの支援事例|業種別の進め方
結論: 尺の見直しは、短くする方向ではなく、削る方向で行います。密度が上がると、同じ尺でも数字が動きます。
2つの事例を挙げます。
食品|15秒から60秒に伸ばして数字が上がった
食品メーカーから、15秒の動画を月12本出しているが購入につながらない、という点でのご相談です。
内容を見ると、商品の見た目を映して名前を出すだけの構成でした。証明も次の行動も入っていません。最後まで見られた割合は48%と高い一方、リンクのクリックは0.4%でした。
60秒に伸ばし、使い方と保存方法の説明、そして次の行動を入れています。最後まで見られた割合は31%に下がりましたが、リンクのクリックは1.9%に上がりました。見られた人の数は減り、動いた人の数は増えたという結果です。
医療|尺を決めてから撮る運用に変えた
クリニックから、編集に時間がかかりすぎる——そういう相談でした。1本の編集に2時間かかっていました。
確認したところ、撮影の素材が毎回4〜5分あり、そこから60秒に削る作業に時間を使っていました。台本の段階で秒数を割り当てていない状態です。
部品ごとの秒数を決めた台本を作り、撮影も1本90秒以内に収める運用に変更しています。編集の時間が2時間から50分に下がり、月4本だった投稿が月10本になりました。
よくある質問
Q. ショート動画は何秒が最適ですか?
A. 30〜90秒が基本です。ただし目的によって変わります。知ってもらう動画は15〜30秒、比べてもらう動画は30〜60秒、買ってもらう動画は60〜90秒が目安です。証明を入れる必要があるほど長くなります。短くすること自体を目的にしないでください。
Q. 短いほうが最後まで見られるのではないですか?
A. 割合としては短いほうが高く出ます。ただしそれは尺が短いことによる自然な結果で、成果が良いことを意味しません。比べるときは同じ尺の動画同士で並べてください。尺をまたいで比較できるのは、冒頭3秒までの割合です。
Q. 3つの面に出す場合、尺はどう決めればいいですか?
A. 60秒以内で作ってください。YouTubeショートが60秒以内のため、これを超えると3面に出せません。60秒版と90秒版を両方作ると編集の作業が倍になります。長さが必要な内容は、2本に分けたほうが本数も増えます。
Q. 投稿する時間帯は成果に影響しますか?
A. 影響はしますが、内容や冒頭に比べると小さい要素です。直す順番としては、冒頭・構成・編集の後になります。決めたら3か月は固定してください。毎回変えると、時間帯の影響なのか内容の影響なのか分からなくなります。
Q. 週に何本投稿すればいいですか?
A. 週1〜3本を6か月続けるのが最低ラインです。人と時間から先に本数を決めてください。無理な本数を計画すると3週間で止まります。月2回の撮影日で5〜6本ずつ撮り、2週間分の在庫を持っておくと止まりません。
Q. 尺は撮影の前に決めるべきですか?
A. 決めてください。決めずに撮ると3分話してしまい、編集で削る作業に時間がかかります。台本の段階で部品ごとの秒数を割り当ててください。引き2秒、問題提起8秒、解決策20秒、証明22秒、次の行動8秒、という形です。
まとめ
ショート動画の尺と時間について、要点を整理します。
- 尺は30〜90秒が基本。長さでなく密度で決まる
- 短くするために証明を削らない。削るのは前置き・繰り返し・言いよどみ・間
- 3面に出すなら60秒以内。YouTubeショートが60秒以内のため
- 最後まで見られた割合は、尺が短いほど自然に高くなる
- 尺をまたいで比較できるのは、冒頭3秒までの割合だけ
- 知ってもらう動画は15〜30秒、買ってもらう動画は60〜90秒
- 15秒では5つの部品が入らない。証明が必要な内容は組めない
- 投稿の時間帯の影響は、内容や冒頭に比べると小さい
- 週1〜3本を6か月。本数が判断材料をつくる
- 台本の段階で部品ごとの秒数を割り当てると、編集の時間が半分以下になる
補足すると、既に投稿している場合は、直近20本を尺の順に並べてみてください。
尺と最後まで見られた割合を並べると、短い動画ほど高く出ているはずです。ここで「短いほうが良い」と判断すると誤ります。同じ尺の中で高いものと低いものを比べて、何が違うかを見てください。そこにある差が、直せる場所です。
もう1つ、リンクのクリックや問い合わせと並べてみてください。最後まで見られた割合と逆の順番になっていることがあります。見られることと動くことは、別の数字です。
長さと投稿時間を整えても、本数が出せなければ検証が進みません。制作を外注したときの相場と依頼の流れを知っておくと、検証に必要な本数を確保する道筋を立てられます。
solezoreでは、尺の設計を含めた運用の支援を承っています。まずは既存の動画で、削れる時間がどれだけあるかをお伝えするところからでも構いません。
この記事を書いた solezore に相談する
記事に書ききれない具体策・料金・事例は、無料相談で。SNS/EC/SEO の領域別に専門家が対応します。

