

「広告もインフルエンサーも試しましたが、どれが機能したのか分かりません」「何から手をつければいいのか、優先順位が分かりません」――マーケティング全体のご相談では、この2つをよく伺います。
結論からお伝えすると、Instagramの打ち手は5つしかありません。オーガニック投稿、広告、クリエイター起用、ショッピング機能、公式LINEとの接続。この5つを、順番に積み上げます。
solezoreでは、この構造を建物にたとえて説明しています。土台がオーガニック投稿で、そこに広告という増築を載せます。土台がない状態で増築すると、支えるものがありません。
この記事では、5つの打ち手それぞれの役割、予算の配分、着手する順番、施策ごとの判断基準までを、実際に運用を代行している立場から解説します。
Instagramの打ち手は5つ
結論: 打ち手は、オーガニック投稿・広告・クリエイター起用・ショッピング機能・公式LINEとの接続の5つです。それぞれ役割が違い、着手する順番があります。
5つを整理します。
5つの役割と、順番を飛ばしたとき
| 打ち手 | 役割 | 費用の目安 | 着手の順番 |
|---|---|---|---|
| オーガニック投稿 | 土台。知られる・信じられる | 月15万〜30万円(外注時) | 1番目 |
| ショッピング機能・EC連携 | 買える状態を作る | 設定は無料 | 2番目 |
| 公式LINEとの接続 | 検討期間の長い商材の受け皿 | 月0円〜数万円 | 2番目 |
| 広告 | 届く量を買う | 月5万〜50万円 | 3番目 |
| クリエイター起用 | 第三者の言葉で伝える | 1人5万〜50万円 | 4番目 |
順番には理由があります。土台がない状態で広告を出すと、配信する素材がありません。
広告から始めると、どの投稿を配信すればいいか決まりません。反応が確認できていない素材に予算を使うことになります。
クリエイター起用から始めると、送り先のアカウントが整っていません。紹介されても、訪れた人がそこで止まります。
同時に始めず、いまの段階から選ぶ
すべてを一度に始めると、どれが機能したか分からなくなります。
1つずつ積み上げます。オーガニック投稿で型ができてから、広告に進む。この順であれば、判断の材料が残ります。
いまどの段階にいるかを確認します。投稿が週3本出ているか、購入までの導線が繋がっているか、反応がよい型が見つかっているか。
この3つが揃っていない状態で広告やクリエイター起用に進むと、費用が消えます。
オーガニック投稿|土台になる施策
結論: すべての打ち手の土台です。ここで型ができていないと、広告に配信する素材も、クリエイターに渡す方向性も決まりません。
土台の作り方です。
本数を出す前に整える場所
フォローしていない人に届く経路は、実質リールだけです。週3本を最低ラインとします。
週1本では、8本溜まるのに2か月かかります。その間、何が機能しているか分かりません。
投稿を増やす前に、受け皿を作ります。プロフィール文、ハイライト、投稿の並び。
届いても判断材料がなければ、そこで止まります。作業としては半日で終わります。
型の作り方と、かかる費用
構成の並びを3つ決めて、それぞれ8本ずつ出します。3か月目に、反応がよい型を1つか2つに絞ります。
この工程を経て初めて、広告に回す素材が決まります。
社内で行う場合、月25〜35時間の稼働です。担当者の時給を2,500円とすると、月6万〜9万円分になります。
外注する場合は月15万〜30万円が相場です。差は投稿の本数と撮影の有無で決まります。

広告|届く量を買う
結論: 広告は、伸びた投稿を増幅する道具です。伸びていない投稿に広告費をかけても、届く人数が増えるだけで結果は変わりません。
使い方を整理します。
広告を始める条件と、試し方
条件は2つです。同じ型で8本以上投稿していること、そのうち反応がよい型が1つ以上見つかっていること。
判断の基準は再生数ではなく、保存率とプロフィールへの遷移率です。この2つが高い投稿を広告に回します。
始めるときの手順は次のとおりです。
- 反応がよい投稿を5本選ぶ:保存率と遷移率の上位から選ぶ
- 1本あたり1万円で配信する:合計5万円。同じ期間で並べて比べる
- 2週間走らせる:短いと判断できず、長いと無駄が出る
- クリック単価と問い合わせ数で比べる:再生数の多さでは選ばない
- 勝った型だけ予算を増やす:負けた4本は止める
月5万〜10万円の予算で傾向がつかめます。最初から月50万円を投じると、どの型が結果につながったのか分からないまま消化します。
配信先の決め方と、広告でできないこと
地域、年齢、性別、関心を指定できます。実店舗であれば、地域を絞ります。
年齢と性別は、最初から狭くしすぎないほうがよい結果になります。地域だけ絞って、あとは配信の結果を見て調整します。
広告は止めた瞬間に流入も止まります。継続的な資産にはなりません。
一方、投稿は残ります。時間が経つほど判断材料が増えます。どちらか一方しか手が回らない場合は、投稿を優先します。
クリエイター起用
結論: 第三者の言葉で伝える施策です。自社が言うより信頼されますが、送り先のアカウントが整っていないと、紹介されても止まります。
起用の要点です。
起用の費用と、分散させる理由
フォロワー数によって変わります。1万人規模で5万〜15万円、10万人規模で30万〜50万円が目安です。
ただし、フォロワー数と結果は比例しません。届く相手が合っているかのほうが影響します。
1人に予算を集中させると、外れたときに何も残りません。
同じ予算で3人に分けるほうが、当たる確率が上がります。それぞれの反応を比べれば、次回の判断材料にもなります。
表示の作法と、素材を使い回す範囲
企業から依頼を受けて投稿する場合、それが広告であることを表示する必要があります。
表示せずに、あたかも個人の感想であるかのように見せる形は、規制の対象です。契約書に明記します。
クリエイターが作った動画を、自社の広告に使えるか。契約時に決めておきます。
反応がよかった投稿を広告に転用できると、費用対効果が上がります。決めていないと、後から交渉することになります。
ショッピング機能とEC連携
結論: 買える状態を作る施策です。設定に費用はかかりませんが、届いていない投稿にタグを付けても押す人がいません。
連携の要点です。
始める条件と、向く商材
プロアカウント、商品カタログ、販売サイト、審査の通過が必要です。準備を含めて2〜4週間を見込みます。
日本では、購入手続きは自社のECサイトへ遷移する形が中心です。提供状況は時期によって変わります。
単価が5,000円以下で、写真で判断できる商材です。衣料品、雑貨、食品。
単価が3万円を超える商材や、説明が必要な商材では、外部ページか公式LINEを挟むほうが結果につながります。
Instagramから来た人は、商品名も価格も知らない状態です。トップページに送ると、探すところから始まります。
動画で紹介した商品だけを並べたページを作り、そこに送ります。
公式LINEとの接続
結論: 検討期間が長い商材の受け皿です。連絡先が残るため、その場で決まらない相手とも接点を保てます。
接続の要点です。
向く商材と、登録から先の設計
単価が高く、比較検討される商材です。住宅、教育、士業、医療。
Instagramから直接売るのが難しい分野では、この形が現実的です。
無料の診断、料金表、チェックリスト。何かと引き換えでないと登録されません。
登録して何が得られるかを、プロフィールとリンクの直前に書きます。
登録した直後に何を送るかを決めます。挨拶だけでは、その後の接点が生まれません。
商品の詳しい説明、事例、よくある質問。3〜5通に分けて送る形が一般的です。
登録者数によって費用が変わる仕組みが一般的です。少人数の間は無料の範囲で運用でき、規模が大きくなると月数万円になります。
予算の配分
結論: 最初の6か月はオーガニック投稿に集中し、広告とクリエイター起用は7か月目以降に検討します。同時に始めると、どれが機能したか分からなくなります。
配分の考え方です。
時期で変わる予算の配分
オーガニック投稿に全額を使います。外注する場合は月15万〜30万円、社内で行う場合は人の時間です。
この期間に、型を作り、導線を繋ぎます。広告に使う素材も、この期間に生まれます。
型が固まったら、広告を追加します。最初は月5万〜10万円のテストから始めます。
配分の目安は、オーガニック投稿に7割、広告に3割。広告で成果が確認できたら、比率を変えます。
起用の時期と、予算が少ないとき
自社のアカウントが整ってから検討します。紹介されて訪れた人が、そこで判断できる状態が前提です。
年に2〜4回、季節や新商品に合わせて実施する形が現実的です。
月10万円しかない場合、オーガニック投稿の一部だけを外注します。編集だけを外注する形が最も現実的です。
広告とクリエイター起用は、後回しにします。土台がない状態で使っても、費用が消えます。
施策を選ぶ順番
結論: 自社の段階を確認して、次に足す施策を1つだけ決めます。3つ同時に始めると、判断ができなくなります。
判断の手順です。
いまの段階を見て、1つずつ足す
いまの状態を、次の3つで確認します。
投稿が週3本出ているか。購入までの導線が1つ繋がっているか。反応がよい型が見つかっているか。
3つとも満たしていれば、広告に進む段階です。1つでも欠けていれば、そこを埋めます。
新しい施策を始めるときは、1つだけにします。同時に2つ始めると、どちらが機能したか分かりません。
3か月ごとに1つ足す。この速度が現実的です。
止める判断と、残す記録
始めた施策が機能しない場合、止める判断も必要です。
広告なら3か月、クリエイター起用なら3回。この期間で結果が出なければ、設計を変えるか止めます。
どの施策をいつ始めて、どんな結果だったか。この記録がないと、同じ試行を繰り返します。
月次で1行ずつ残す形で足ります。担当者が代わったときにも、そのまま引き継げます。
施策の効果を切り分ける
複数を動かしていると、どれが結果を生んだか分からなくなります。
切り分けるには、リンクの行き先を分けます。広告からの流入と、オーガニック投稿からの流入を別のページに送る。これだけで、どちらが動いたかが見えます。
クリエイター起用の場合は、その人専用のリンクを用意します。誰の紹介から何件入ったかが分かり、次回の人選の材料になります。
業種別に効果が出やすい打ち手
結論: 5つの打ち手は、業種によって優先順位が変わります。写真で判断できる商材はショッピング機能、検討期間が長い商材は公式LINEを先に整えます。
業種ごとに見ます。
見た目で選ばれる業種
写真と動画で価値が伝わる分野です。オーガニック投稿の次に、ショッピング機能を整えます。
単価が5,000円以下であれば、投稿から購入までを最短で繋げられます。クリエイター起用との相性もよく、着用や試食の様子がそのまま素材になります。
来店や予約が目的になる分野です。地図と営業時間を先に整え、その次に予約の導線を作ります。
商圏が限られるため、広告を使う場合は地域を絞ります。全国配信では、来られない相手に予算を使うことになります。
説明が要る業種と、法人向け
単価が高く、比較検討される分野です。公式LINEを先に整えます。
クリエイター起用は、業種によって制約があります。医療広告に関わる規制、資格が関わる表現。実施の前に確認が要ります。
その場で商談にはなりません。資料請求か、公式LINEへの登録を置きます。
投稿の内容は、事例と現場の様子が中心になります。担当者が個人として見ているため、人が見える内容のほうが反応があります。
| 業種 | 2番目に整えるもの | 広告の使い方 |
|---|---|---|
| アパレル・雑貨・食品 | ショッピング機能 | 全国配信でよい |
| 飲食・美容・宿泊 | 地図と予約の導線 | 地域を絞る |
| 医療・士業・教育・住宅 | 公式LINE | 表現の確認が先 |
| 法人向けサービス | 資料請求の導線 | 関心で絞る |
自社が属する行を見て、次に整えるものを決めます。
solezoreの支援事例|業種別の進め方
結論: solezoreでは、施策を足す順番から整理することがあります。ここでは2つの業種で、何を優先したかを紹介します。
日用品・家電|広告を止めて投稿に戻した
生活雑貨を扱う企業から寄せられた相談です。月40万円の広告を出していましたが、売上が動いていませんでした。
配信している素材を確認すると、オーガニックでの反応が確認されていない動画でした。作った動画をそのまま広告に回している状態です。
広告を一度止め、3か月をオーガニック投稿に充てました。型を3つ作り、それぞれ8本ずつ出しています。
4か月目に、保存率が高い型が1つ見つかりました。その型で作った動画を広告に回したところ、同じ予算でクリック単価が下がりました。順番を戻しただけの変更です。
宿泊|公式LINEを挟んだ
旅館から届いた相談です。投稿は伸びていましたが、予約に繋がっていませんでした。
宿泊は、その場で決まる商材ではありません。日程を調整し、同行者と相談し、それから予約します。
プロフィールのリンクを、予約ページから公式LINEの登録に変更しました。登録すると、空室状況と季節の案内が届く形です。
半年で、公式LINEの登録が340件を超え、そこから予約が入るようになりました。投稿の内容は変えていません。その場で決まらない商材に、受け皿を用意した形です。

よくある質問
Q. Instagramマーケティングは何から始めればいいですか?
A. オーガニック投稿です。リールを週3本出し、プロフィールとハイライトを整えます。広告もクリエイター起用も、この土台がない状態では機能しません。最初の6か月はここに集中してください。
Q. 広告はいつから始めればいいですか?
A. 同じ型で8本以上投稿し、反応がよい型が1つ以上見つかってからです。判断の基準は、保存率とプロフィールへの遷移率です。最初は月5万〜10万円のテストから始めてください。
Q. インフルエンサーに頼めば売れますか?
A. 紹介されても、送り先のアカウントが整っていなければ止まります。自社のアカウントで型ができてから検討してください。費用はフォロワー1万人規模で5万〜15万円が目安ですが、1人に集中させず3人に分けるほうが判断材料が残ります。
Q. 予算はどう配分すればいいですか?
A. 最初の6か月はオーガニック投稿に全額です。型が固まったら、オーガニック7割・広告3割から始めます。月10万円しかない場合は、編集だけを外注する形が最も現実的です。
Q. 複数の施策を同時に始めてもいいですか?
A. おすすめしません。どれが機能したか分からなくなります。3か月ごとに1つ足す速度が現実的です。新しい施策を始めるときは、必ず1つだけにしてください。
Q. 機能しない施策はいつ止めればいいですか?
A. 広告なら3か月、クリエイター起用なら3回が目安です。この期間で結果が出なければ、設計を変えるか止めます。あわせて、どの施策をいつ始めて何が起きたかを月次で記録しておいてください。
まとめ
Instagramマーケティングについて、要点を整理します。
- 打ち手は5つ。オーガニック投稿・ショッピング機能・公式LINE・広告・クリエイター起用
- 順番がある。土台はオーガニック投稿で、広告は3番目
- 最初の6か月はオーガニック投稿に集中する
- 広告は、保存率と遷移率が高い投稿を月5万〜10万円でテストする
- クリエイター起用は1人に賭けず、3人に分ける
- 新しい施策は1つずつ。3か月ごとに1つ足す
補足すると、自社がいまどの段階にいるかを、3つの質問で確認してください。
投稿が週3本出ているか。購入までの導線が1つ繋がっているか。反応がよい型が見つかっているか。3つとも満たしていれば、次の施策に進む段階です。
もう1つ、施策を始めた日と結果を月次で1行ずつ残してください。記録がないと、2年後に同じ試行を繰り返すことになります。
solezoreでは、SNSからECやLINEまでを含めた設計を支援しています。いまどの施策に進むべきかの整理からでも構いませんので、現状をお聞かせください。
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