

「個人の方に頼めば月5万円で済むと聞きました」「フリーランスに頼んで3か月で連絡が取れなくなりました」――個人への依頼については、期待と失敗談の両方をよく伺います。
結論からお伝えすると、個人への依頼はうまくいく条件がはっきりしている選択肢です。合う場面では法人より良い結果が出ますし、合わない場面では途中で止まります。
solezoreでは、個人と法人の違いを、専属の料理人と店の厨房にたとえて説明しています。料理人1人のほうが好みに合わせてくれますが、その人が休むと料理は出ません。厨房には人がいますが、味は平均化します。
この記事では、個人に頼む場合の費用、法人との体制の違い、途中で止まるリスク、契約と請求の実務、探し方と見極めの手順までを、実際に代行している立場から解説します。
個人に頼むという選択肢
結論: 個人への依頼は、費用が法人の3分の1から半分になる代わりに、体制の余裕がない選択肢です。合うかどうかは、自社が求めるものが速度なのか継続性なのかで決まります。
前提を整理します。
誰が個人として受けているか
Instagramの運用を個人で受けている方には、いくつかの背景があります。
代行会社の出身者、自分でアカウントを伸ばした経験がある方、映像制作を本業にしていて運用も受ける方、副業として受けている方。
このうち、代行会社の出身者と、自分でアカウントを伸ばした方は、実務の水準が高い傾向があります。副業として受けている方は、本業の状況で動ける時間が変わります。
費用の目安
個人への依頼は、月5万〜15万円が中心です。法人の月15万〜30万円と比べると、半分以下になることもあります。
安い理由は、間接費が乗らないためです。オフィス、営業担当、管理部門。個人にはこれらがありません。
同じ作業量でこの差が出るため、費用だけを見れば個人が有利です。判断が分かれるのは、費用以外の部分になります。
依頼できる範囲
個人でも、企画から編集・投稿・分析まで一通り対応できる方はいます。撮影まで含めて1人で完結する方もいます。
一方、広告運用やライブ配信の設計まで含めると、対応できる方は限られます。専門が分かれる領域のためです。
依頼する範囲を先に決めて、それに対応できる方を探すという順番になります。
範囲を決めずに探すと、できることの多い方に引っ張られます。
個人と法人の体制の違い
結論: 最大の違いは、担当者が動けなくなったときに代わりがいるかどうかです。個人は1人が止まれば全部が止まります。この1点が、他のすべての違いの根にあります。
違いを分解します。
止まったときの影響
個人に依頼していて、体調不良や本業の繁忙で動けなくなると、投稿が止まります。代わりの人はいません。
法人であれば、担当者が休んでも別の人が引き継ぎます。ただし、引き継ぎ直後は投稿の質が落ちることがあります。
どちらのリスクを取るかという判断です。3か月完全に止まるリスクと、質が一時的に落ちるリスク。事業への影響で選びます。
対応の速さと、任せられる幅
個人のほうが速い場面は多くあります。担当者と直接やり取りするため、間に人が入りません。
「明日の投稿にこれを入れたい」という依頼が、その日のうちに反映されます。法人では、営業担当を経由するため半日から1日かかることがあります。
この速さは、季節商材やイベントを扱う業種では価値があります。
法人は、撮影・編集・広告・ライブ配信と、領域ごとに担当を分けられます。1社に頼めば全部が揃います。
個人では、得意な領域に偏ります。編集は得意だが撮影は苦手、撮影はできるが分析は弱い、といった形です。
複数の個人に分けて頼む方法もありますが、その場合は自社が全体を取りまとめる役割を担います。
| 項目 | 個人 | 法人 |
|---|---|---|
| 費用の目安 | 月5万〜15万円 | 月15万〜30万円 |
| 止まったときの代替 | なし | 別の担当者が引き継ぐ |
| 対応の速さ | 速い(直接やり取り) | やや遅い(営業経由) |
| 対応できる幅 | 得意分野に偏る | 領域ごとに担当を分けられる |
| 契約の安定性 | 個人の事情に左右される | 会社として継続 |
この表を見て、どの行が自社にとって重要かを決めます。すべてを満たす選択肢はありません。

費用の差はどこから来るか
結論: 個人が安いのは、間接費がないためです。作業の質が低いから安いわけではありません。ただし、余裕がないぶん、想定外の作業が発生したときに対応できないことがあります。
内訳を見ます。
法人の金額に含まれるもの・個人の金額に含まれるもの
法人の月20万円には、実作業のほかに次のものが含まれます。
オフィスの費用、営業担当の人件費、管理部門の費用、担当者が休んだときの代替、機材の維持費、案件が失敗したときの補填。
このうち、依頼側が直接受け取るのは実作業だけです。ただし、代替の体制と機材は、間接的に価値があります。
個人の月8万円は、ほぼ実作業の対価です。間接費がないため、同じ作業量でも金額が下がります。
一方、機材は個人の持ち物です。カメラや編集ソフトを持っていない場合、質に影響します。
契約前に、どんな機材で作業するかを確認しておくと判断材料になります。
契約時に決めた範囲を超える作業が出たとき、法人は人を増やして対応できます。個人は自分の時間しかありません。
「急に商品が話題になって投稿を増やしたい」という場面で、この差が出ます。個人では、本数を倍にする対応が難しいことがあります。
繁忙期がはっきりしている業種では、この点を契約前に相談しておきます。
個人に頼んで問題になりやすい点
結論: 問題になるのは、連絡が途絶える場合と、範囲の認識がずれる場合です。どちらも、契約書と定例の連絡を決めておけばかなり防げます。
起きやすいものを挙げます。
連絡が途絶える・範囲の認識がずれる
最も多い失敗です。返信が遅くなり、そのうち止まる。
背景には、本業の繁忙、体調不良、他の案件との掛け持ちがあります。悪意があるわけではなく、手が回らなくなる形です。
防ぐには、週1回の定例連絡を決めます。短くて構いません。連絡が2回続けて来なければ、その時点で状況を確認します。
「企画も含まれると思っていた」「分析はやってもらえると思っていた」。この行き違いが起きます。
個人との契約では、書面が簡素になりがちです。口頭やチャットで決めた内容が、後から確認できません。
業務範囲を6項目で書き出し、双方で確認します。企画・撮影・編集・投稿・反応対応・分析。この6つに◯×を付けるだけで防げます。
アカウントの権限が戻らない・素材の原本が残らない
契約終了時に、アカウントの権限が返ってこない。これも実際に起きています。
防ぐには、自社名義でアカウントを開設し、個人には権限を付与する形にします。この形なら、権限を外すのは自社の操作でできます。
編集後の動画だけを受け取っていて、元の素材が手元にない。契約が終わると、作り直しができません。
月末に、その月の素材と完成データをまとめて受け取る運用にします。保存場所は自社が用意します。
契約と請求の実務
結論: 個人との取引では、契約書・請求書・支払いの流れを最初に決めます。あわせて、報酬の性質によっては源泉徴収の判断が必要になるため、経理と確認しておきます。
実務の注意点です。
契約書は簡素でも作る
個人との契約でも、書面は作ります。決めるのは次の項目です。
- 業務範囲:6項目に◯×を付ける
- 投稿本数:月に何本出すか、下限を決める
- 報酬と支払日:月額と、締めと支払いのタイミング
- アカウントの名義と権限:自社名義とし、権限を付与する形にする
- 素材の権利と引き渡し:契約終了後も使えるか、原本を渡すか
- 契約期間と解約:期間、申し出の期限、途中解約の扱い
この6項目があれば、後の揉め事はかなり防げます。定型の業務委託契約書に、この内容を足す形で十分です。
請求と支払いの流れ・源泉徴収とインボイスの確認
月末締め・翌月末払いが一般的です。個人にとっては入金までの期間が長いため、翌月15日払いなど早めの設定にすると関係が保ちやすくなります。
請求書には、業務内容と期間を書いてもらいます。「Instagram運用代行費」だけでは、後から何の支払いか分からなくなります。
個人への支払いでは、報酬の内容によって源泉徴収が必要になる場合があります。動画制作やデザインが含まれる場合は、とくに確認が要ります。
また、インボイス制度への対応も、相手が登録事業者かどうかで扱いが変わります。
いずれも、自社の経理か顧問税理士に確認してください。判断を誤ると、後から修正の手間が発生します。
個人が向く場面・法人が向く場面
結論: 個人が向くのは、範囲が明確で、速さが要る場合です。法人が向くのは、止まると事業に影響する場合と、複数の領域をまたぐ場合です。
分岐を整理します。
どちらを選ぶかの分かれ目と、併用という手
範囲が決まっている作業です。編集だけ、投稿だけ、といった形。
あわせて、社内に方針を決める人がいる場合。個人は実作業に集中でき、判断は社内が持ちます。
季節商材やイベントで、対応の速さが要る場合も個人が向きます。
Instagramが主要な集客経路になっていて、止まると売上に影響する場合。代替の体制がある法人を選びます。
撮影・広告・ライブ配信と、複数の領域をまたぐ場合も法人です。個人に分けて頼むと、取りまとめの負担が社内に残ります。
上場企業や、コンプライアンスの確認が厳しい業種でも、法人が求められることがあります。
「個人と法人のどちらかを選ばなければいけませんか」というご相談をいただきます。併用も可能です。
方針と分析は法人に、日々の編集は個人に。この分け方であれば、費用を抑えつつ体制も確保できます。
ただし、間に立つ役割が社内に必要です。誰も担わないと、方針と実作業がずれます。
個人に頼むときの探し方と見極め
結論: 探すのは、実績を公開している方です。見極めるのは、自分のアカウントを運用しているか、他の案件を何件持っているか、連絡の速さの3点です。
手順を整理します。
探す経路と、見極めるときの3点
クラウドソーシング、SNS上での募集、知人からの紹介。この3つが主な経路です。
紹介が最も外れが少なくなります。実際の仕事ぶりを知っている人からの推薦であれば、見極めの手間が減ります。
クラウドソーシングでは、評価件数と過去の実績を確認します。評価が少ない方は、単価が安い代わりに実力が読めません。
確認するのは次の3つです。
自分のアカウントを運用しているか。実際に伸ばした経験があるかどうかは、そのアカウントを見れば分かります。
他の案件を何件持っているか。5件以上を1人で持っている場合、こちらに割ける時間は限られます。
最初のやり取りの速さ。問い合わせへの返信が3日かかる方は、契約後も同じ速度になります。
いきなり長期契約にせず、1か月の試験期間を設ける方法があります。
その1か月で、投稿が約束どおり出るか、連絡が取れるか、投稿の質が期待どおりかを確認します。
問題がなければ継続、合わなければそこで終える。個人との契約では、この形が双方にとって無理がありません。
依頼を始めてからの進め方
結論: 個人との契約では、最初の1か月で運用の型と連絡の型を両方決めます。ここを曖昧にしたまま進めると、3か月目あたりで投稿が止まり始めます。
時期ごとに見ます。
最初の2週間で決めることと、そこから3か月
投稿の型、連絡の頻度、確認の流れ。この3つを決めます。
投稿の型は、構成の順番のことです。「悩みの提示→原因→解決策→商品」といった並びを決めておくと、毎回の相談が減ります。
連絡は、週1回の定例と、緊急時の連絡手段を分けます。すべてを同じチャットで流すと、緊急のものが埋もれます。
型が決まったら、同じ型で本数を出します。8本ほど溜まった時点で、平均で判断します。
この時期に、投稿が約束どおり出ているかを毎週確認します。個人との契約では、ここが最も崩れやすい部分です。
3か月目の終わりに、続けるかどうかを判断します。投稿が出ていない、連絡が遅い、質が期待と違う。このどれかが当てはまるなら、この時点で見直します。
4か月目以降|依存しすぎない形にする
うまく回り始めると、その方に任せきりになります。ここで一度、止まったときの備えを作っておきます。
素材の保存場所を自社に置く、投稿の型を文書化する、アカウントの権限を確認する。この3つがあれば、急に止まっても再開できます。
「うまくいっているのに水を差すようで」と感じる方もいますが、うまくいっているときにしか準備はできません。
solezoreの支援事例|業種別の進め方
結論: solezoreでは、個人への依頼が止まった案件を引き継ぐことがあります。ここでは2つの業種で、何が起きていたかを紹介します。
アプリ|個人が止まって3か月分が失われた
アプリを提供する企業から受けた相談です。個人に月8万円で依頼していましたが、4か月目から連絡が取れなくなりました。
投稿は止まり、アカウントの権限は個人の側にありました。パスワードも共有されていません。
結果として、アカウントを作り直すことになりました。フォロワー4,000人と、それまでの投稿がすべて失われています。
引き継ぎ後、まずアカウントを自社名義で開設し直しました。権限の設計を最初に決めていれば、この損失は防げたはずです。
アパレル|個人と法人を併用する形にした
ブランドを運営する企業からのご相談で、月28万円の代行費用を下げたいという内容でした。
内訳を見ると、編集作業が費用の多くを占めていました。一方、方針を決める部分と分析は、継続性が必要です。
そこで、方針・企画・分析をsolezoreが担当し、日々の編集は個人の方に依頼する形へ変更しました。取りまとめはこちらで行っています。
月額の合計は19万円まで下がりました。編集を個人に出すことで単価が下がり、方針の部分は体制を保てています。担当者から「どこを誰に頼むかを整理してもらえたのが助かった」と言われました。

よくある質問
Q. 個人に頼むと費用はいくらになりますか?
A. 月5万〜15万円が中心です。法人の月15万〜30万円と比べると半分以下になることもあります。安い理由は、オフィスや営業担当といった間接費が乗らないためで、作業の質が低いからではありません。
Q. 個人に頼んで最も多い失敗は何ですか?
A. 連絡が途絶えることです。本業の繁忙や体調不良で手が回らなくなる形で、悪意があるわけではありません。週1回の定例連絡を決めておき、2回続けて連絡が来なければ状況を確認してください。
Q. アカウントの権限はどう扱えばいいですか?
A. 自社名義でアカウントを開設し、個人には権限を付与する形にしてください。この形なら、契約が終わったときに権限を外すのは自社の操作でできます。個人の名義で作ると、返してもらう交渉から始めることになります。
Q. 個人への支払いで気をつけることはありますか?
A. 報酬の内容によって源泉徴収が必要になる場合があります。動画制作やデザインが含まれる場合はとくに確認が要ります。インボイス制度への対応も相手の登録状況で変わるため、自社の経理か顧問税理士に確認してください。
Q. 個人と法人、どちらを選べばいいですか?
A. 範囲が明確で速さが要るなら個人、止まると事業に影響するなら法人です。Instagramが主要な集客経路になっている場合は、代替の体制がある法人を選んでください。方針は法人、編集は個人という併用もできます。
Q. 個人の実力はどう見極めればいいですか?
A. 自分のアカウントを運用しているか、他の案件を何件持っているか、最初のやり取りが速いかの3点です。5件以上を1人で持っている場合、こちらに割ける時間は限られます。1か月の試験期間を設ける方法も有効です。
まとめ
個人への運用代行について、要点を整理します。
- 費用は月5万〜15万円。法人の半分以下になることもある
- 最大の違いは、止まったときに代わりがいないこと
- 速さと柔軟さは個人が上、継続性と幅は法人が上
- 契約書に業務範囲・本数・名義・素材の権利・解約の6項目を書く
- 探すなら紹介が最も外れが少ない。1か月の試験期間を設ける
補足すると、個人に頼む場合、月末に素材と完成データを受け取る運用を最初から入れてください。
編集後の動画しか手元にないと、契約が終わったときに作り直しができません。保存場所を自社が用意し、毎月そこに入れてもらう。それだけで、資産が残ります。
もう1つ、個人の方にとって最も負担になるのは、確認の遅さです。投稿前の確認に1週間かかると、投稿の間隔が空きます。社内の返答期限を決めておくと、関係が保ちやすくなります。
solezoreでは、個人への依頼が止まった案件の引き継ぎも扱っています。いまの契約をどう組み替えるかの整理からでも構いませんので、現状をお聞かせください。
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