

「モールでは売れているのですが、自社サイトを作っても人が来ません」「見積もりが80万円と400万円で並んでいて、何が違うのか分かりません」――自社ECの構築については、この2つのご相談をよくいただきます。
先に結論をお伝えすると、自社ECで最も見落とされるのは作った後に人を連れてくる仕組みです。モールには最初から人が集まっていますが、自社サイトには誰も来ません。構築の費用を検討する前に、月にいくらの集客費を出せるかを決めるほうが、判断を誤りません。
solezoreでは、自社ECと商店街の路面店を、立地の違いとして説明しています。モールは駅前の商業施設に入る形、自社ECは自分で土地を買って建てる形。家賃は要らない代わりに、人通りも自分で作ることになります。
この記事では、モールとの違いから、構築の選択肢、費用の全体像、手順、決めておくこと、商品ページ、決済と配送、集客の設計、公開後の運用、外注の選び方までを、実際にEC構築を支援している立場から解説します。
自社ECを持つ意味|モールとの違い
結論: 違いは、集客を自分で作ること、顧客の情報が自社に残ること、そして手数料の構造が変わることの3点です。この3つが判断の軸になります。
まず、性質の違いから整理します。
3つの違いと、顧客の情報が残ることの価値
| 項目 | 自社EC | モール |
|---|---|---|
| 集客 | 自分で作る | 最初から人がいる |
| 顧客の情報 | 自社に残る | モール側が持つ |
| 費用 | 制作費+月額+集客費 | 出店料+売上の13〜17% |
| 見せ方 | 自由に作れる | 決められた枠の中 |
手数料が要らないから安い、という理解は正確ではありません。 モールに払っていた手数料の分が、そのまま集客費に置き換わります。
自社ECでは、購入者の連絡先が自社に残ります。次の案内を直接送れるため、2回目以降の購入を作りやすくなります。
モールでは、購入者はモールの顧客です。同じ人が次に買うときも、モールの検索から始まります。繰り返し買われる商品を扱っているほど、自社ECを持つ価値が大きくなります。
どちらか一方を選ぶ必要はありません。モールで新規に出会い、自社ECで繰り返し買ってもらう。この組み合わせが最も回ります。
その場合、価格の整合を先に決めておきます。同じ商品が別の場所で安く出ていると、比較されたときに説明できません。
構築の選択肢|4つの方式
結論: 方式は、月額のサービスを使う、パッケージを導入する、ゼロから開発する、そしてモールに寄せるの4つです。多くの事業者に向くのは1つ目です。
選び方の話です。
4つの比較・月額のサービスの中身
| 方式 | 初期の費用 | 向く規模 | 立ち上げの期間 |
|---|---|---|---|
| 月額のサービス | 0〜300万円 | 年商数千万円まで | 1〜3か月 |
| パッケージ | 300万〜1,000万円 | 年商数億円 | 4〜8か月 |
| ゼロから開発 | 1,000万円〜 | 大規模・特殊要件 | 6か月〜 |
| モールのみ | 出店料のみ | 立ち上げ期 | 1〜2か月 |
年商1億円を超えるまでは、月額のサービスで足りることがほとんどです。 最初から大きく作ると、使わない機能に費用を払うことになります。
代表的なものにShopifyがあり、他にもいくつかの選択肢があります。基本の機能が揃っており、足りない部分は追加のアプリで補う考え方です。
初期の費用を抑えて始められるのが利点です。ただし、独自の仕様が多い事業ほど、アプリの追加や個別の開発が積み上がります。
途中で乗り換える場合
最初は月額のサービスで始め、規模が大きくなってから移す判断もあります。この場合、顧客の情報と注文の履歴を移せるかを先に確かめます。
移行には数か月かかり、費用も構築と同程度になることがあります。乗り換えを前提にするより、3年先の規模を見込んで選ぶほうが結果的に安く済みます。
見込む規模は、いまの売上ではなく3年後の商品数で置きます。
無料や低額のサービスとの違い
初期の費用がかからないサービスもあります。試しに始める段階では有効ですが、事業として続ける前提では確かめる点があります。
- 売上に対する手数料の率。月額が安いサービスほど、売上に対する率が高く設定されています
- 独自のドメインが使えるか。使えないと、検索からの流入が育ちません
- デザインの自由度。ブランドを持つ事業では、枠の制約が後で問題になります
- 顧客の情報を書き出せるか。移行のときに持ち出せないと、乗り換えができません
4番目を確かめずに始めると、後で身動きが取れなくなります。 顧客の一覧を書き出せるかどうかは、契約の前に確認しておく項目です。
月商が100万円を超えるあたりから、手数料の率の差が月額の差を上回ります。この水準を目指すなら、最初から月額のあるサービスを選ぶほうが安く収まります。

費用の全体像
結論: 費用は、作るときの費用、毎月かかる費用、そして集客の費用の3つに分かれます。3つ目を見込まずに始めると、公開後に動けなくなります。
金額の話です。
3種類の費用と、制作と集客の配分
| 種類 | 内訳 | 目安 |
|---|---|---|
| 作るとき | 制作費・デザイン・初期設定 | 0〜300万円 |
| 毎月 | 月額利用料・アプリ・保守 | 月1万〜15万円 |
| 集客 | 広告・記事制作・SNS運用 | 月10万〜50万円 |
| 決済 | 売上に対する手数料 | 3〜4%程度 |
最も見落とされるのが3番目です。 制作費に300万円をかけて、集客費が月5万円という配分では、作ったものが誰にも見られません。
制作費と、1年分の集客費を並べて比べます。制作に200万円かけるなら、集客にも同程度は要ると考えておきます。
立ち上げの1年目は、制作より集客に多く使うほうが結果が出ます。 完璧なサイトを作ってから集客を始めるより、最低限の形で公開して集客に回すほうが早く数字が動きます。
削ってよいのは、デザインの作り込み、公開時の商品点数、細かい機能です。後から足せます。
削れないのは、決済の手数料と、集客の費用です。この2つは、売る限り発生し続けます。事業計画には、この2つを固定費として入れておきます。
構築の手順|公開までの流れ
結論: 公開までは3〜6か月を見ます。要件の整理、構築、商品登録、テストの4段階です。
順を追って見ていきます。
4つの段階
- 要件の整理|扱う商品、決済の方法、配送の条件、必要な機能を決めます。2〜4週間
- 構築|デザインと設定を進めます。1〜3か月
- 商品登録|画像と説明文を用意して登録します。商品数によります
- テスト|実際に注文して、決済から発送までを通します。1〜2週間
3番目の商品登録に時間がかかることを見込んでおきます。構築が終わっても、中身がなければ公開できません。
テストで確かめること・公開の直前にやること
自分で注文し、決済まで通します。確かめるのは、注文の確認メールが届くか、金額が正しいか、在庫が減るか、キャンセルができるかの4つです。
携帯からも同じ手順で確かめます。買い物の多くは携帯からなので、そちらで崩れていると公開できません。
テストが終わったら、公開の前に確かめる項目があります。抜けやすいものを並べます。
- 特定商取引法に基づく表記。事業者名、所在地、連絡先、返品の条件が揃っているか
- 個人情報の取り扱いについての記載
- 問い合わせの窓口と、返信までの目安の日数
- 在庫の数が実際と合っているか
- 送料の表示が、すべての地域で正しいか
1番目と2番目は法令に関わる部分で、抜けていると公開後に指摘を受けます。制作会社が用意してくれる前提でいると、抜けたまま公開されることがあります。 誰が用意するかを、契約の段階で確かめておきます。
5番目は、離島や一部地域の送料設定で漏れが出やすい部分です。実際に注文が入ってから気づくと、差額の負担をどうするかで揉めます。
決めておくこと|10項目
結論: 構築を始める前に決めておく項目があります。後から変えると作り直しになるものが含まれます。
先に固める話です。
先に決める10項目・変えにくい項目
- 扱う商品の範囲|全商品を出すのか、一部だけか
- 価格の方針|モールと同じにするか、変えるか
- 送料の条件|何円以上で送料込みにするか
- 決済の方法|カード、コンビニ、後払い、電子マネー
- 配送の方法|自社発送か、外部の倉庫か
- 返品と交換の条件|期間と負担者
- 会員機能の有無|登録を求めるか、しないか
- 定期購入の有無|あるなら仕組みが変わります
- 問い合わせの窓口|誰が、いつ返すか
- 集客の方法|公開後、どこから人を連れてくるか
10番目を決めずに構築を始める会社が非常に多くあります。 ここが決まっていないと、公開の翌日から何をすればよいか分かりません。
会員機能と定期購入は、後から追加すると作り直しに近い作業になります。最初に決めておきます。
送料と価格の方針は変えられますが、顧客の混乱を招きます。特に送料の条件は、変更のたびに問い合わせが増えます。
商品ページの作り方
結論: 商品ページで決まるのは、買うかどうかです。モールと違って検索の一覧がないため、画像と説明文の役割がさらに大きくなります。
ここが売上を分けます。
画像の順番
商品そのもの、使用中の様子、大きさが分かる比較、内容物、細部、仕様の表。この順が基本です。
3番目の大きさの比較が、最も問い合わせを減らします。 数値で書いていても、実感としては伝わりません。手や既知の物と並べた1枚があるだけで、返品も減ります。
自社ECではモールのような一覧がないため、1枚目の役割はモールほど大きくありません。その代わり、ページ全体で伝える情報量を増やせます。
説明文で不安を消す・買い物かごまでの導線
書くのは、売り込む言葉ではなく買わない理由を消す情報です。サイズ、素材、使い方、届くまでの日数、返品の条件。
問い合わせで実際に聞かれたことを、そのまま足していきます。同じ質問が3回来たら、それはページの欠落です。 この作業を3か月続けると、問い合わせ自体が半分以下になります。
商品ページから購入までの手順が長いと、そこで離脱します。携帯の画面で、指1本で購入のボタンに届くかを確かめます。
会員登録を必須にすると、初回の購入がはっきり減ります。登録なしでも買える形にしておき、購入後に登録を促すほうが数字は良くなります。
決済と配送の設計
結論: 決済の方法が少ないと、そこで買えない人が出ます。配送は、届くまでの日数を明示することが最も影響します。
地味ですが売上に直結します。
決済の選び方・配送の条件
カード決済は必須です。加えて、コンビニ払い、後払い、電子マネーのうち2つを用意すると、取りこぼしが減ります。
手数料はそれぞれ違います。売上に対して3〜4%程度が目安で、後払いはやや高くなります。手数料を惜しんで選択肢を減らすと、その分の売上を失います。
届くまでの日数を、商品ページに明示します。何日で届くかが分からない状態は、購入をためらう最大の理由の1つです。
送料の条件も、分かりやすい場所に置きます。かごに入れてから送料が加算されると、そこで離脱する人が出ます。
発送の体制をどう作るか
自社で発送するか、外部の倉庫に任せるか。注文数によって、現実的な形が変わります。
月の注文が100件までなら、自社で発送するほうが安く収まります。1件あたりの作業は5〜10分ほどで、他の業務の合間に回せる範囲です。
月300件を超えるあたりから、外部の倉庫を検討する段階になります。保管料と作業料がかかりますが、1件あたりの費用は自社より下がることが多くなります。発送に人を1人雇うより、外に出すほうが安いという水準が、この辺りで訪れます。
注意したいのは、切り替えの時期です。忙しくなってから移そうとすると、繁忙期に体制が変わって事故が起きます。余裕のある時期に移すほうが安全です。
外部に出す場合も、梱包の中身は自社で決めます。同梱するカードや案内は、繰り返し買ってもらうための手段になります。ここを外に任せきると、箱を開けたときの印象が他社と同じになります。
集客の設計
結論: 自社ECには誰も来ません。公開前に、どこから人を連れてくるかを決めておきます。手段は検索、SNS、広告、既存の顧客の4つです。
最も重要な部分です。
4つの経路・最初にやること
| 経路 | 立ち上がりまで | 費用の性質 |
|---|---|---|
| 検索(記事・商品ページ) | 6か月〜 | 制作費が先行 |
| SNS | 3か月〜 | 人の時間 |
| 広告 | 即日 | 出した分だけ |
| 既存の顧客 | 即日 | ほぼ0 |
公開の直後に頼れるのは、広告と既存の顧客の2つだけです。 検索とSNSは時間がかかるため、並行して育てる形になります。
公開の前から、既存の顧客に案内する準備をします。名刺、店舗の顧客、モールで買った人。連絡が取れる相手に、公開を伝えます。
これで最初の数十件が動きます。数字がゼロのままだと、何が悪いのかも分かりません。最初の注文が入ることが、その後の判断の起点になります。
検索を育てる・広告をいくらから始めるか
記事や商品ページから検索で来てもらう経路は、成果が出るまでに6か月ほどかかります。始めるのが早いほど、後で楽になります。
自社ECを持つ最大の利点は、この経路を自分で作れることです。モールの中では、モールの検索に依存するしかありません。
公開の直後は、広告が最も確実な集客の手段になります。ただし、いきなり大きな金額を投じる必要はありません。
月5万〜10万円の範囲から始め、注文1件あたりの獲得費用を測ります。その数字が1件あたりの利益額を下回っていれば、金額を増やす判断ができます。
訪問者が月1,000人に届かない状態では、購入率の議論に意味がありません。 母数が小さすぎて、数字が偶然で動くためです。まず月3,000人程度の訪問を作り、そこから購入率を見ます。
広告で連れてきた人が買わない場合、原因はページか価格にあります。広告費を増やす前に、かごに入れた後の離脱を確かめます。ここが7割を超えているなら、直すのはページのほうです。
繰り返し買ってもらう設計
自社ECの利益は、2回目以降の購入で作られます。初回は広告費を差し引くとほとんど残らないことが多く、2回目からが本番です。
そのため、公開の時点で再購入への手を1つ用意しておきます。同梱するカード、購入後の案内、次回に使える特典のいずれかで足ります。凝った仕組みは要りません。
再購入の割合は、商品によって大きく変わります。消耗品なら3か月以内に3割前後が戻ることもあり、耐久品では1年に1回あるかどうかです。自社の商品がどちらかで、集客にかけてよい金額の上限が変わります。
公開後の運用
結論: 公開してからが本番です。月に見るのは、訪問者数、購入率、平均の注文金額、そして再購入の割合の4つです。
続けるための設計です。
4つの数字
訪問者数は集客の結果、購入率はページと導線の結果、平均の注文金額は商品構成の結果、再購入の割合は商品と対応の結果です。
この4つを掛け合わせると売上になります。 どれが低いかで、直す場所が決まります。訪問者が少ないのに購入率を上げようとしても、母数が小さいままです。
4つは毎月同じ形で並べます。どれが落ちたかは、並べて初めて分かります。
月に1回やること
- 4つの数字を記録します。前月と比べます
- 訪問者の来た経路を確かめます。どこから来ているか
- かごに入れたのに買われていない件数を見ます
- 問い合わせの内容をまとめ、ページに足す情報を決めます
3番目は自社ECならではの数字です。かごに入れた後の離脱は、送料か決済方法か配送日数のどれかが原因になっていることが多くあります。
かご落ちを減らす手
かごに入れた人は、買う意思をすでに示しています。ここでの離脱は、最も取り戻しやすい損失です。
原因は3つに絞られます。想定より送料が高かった、使いたい決済方法がなかった、届く日が遅かった。このどれも、商品の魅力とは関係ありません。
打つ手も具体的です。送料を商品ページの時点で明示する、決済の選択肢を3つ以上にする、届くまでの日数を書く。この3つで、離脱の多くは減ります。
もう1つ、購入の手前で会員登録を求めていないかを確かめます。登録を必須にすると、初回の購入がはっきり減ります。「登録してもらったほうが後で連絡できる」と思われがちですが、買ってもらえなければ連絡先も手に入りません。
かごに入れたまま買われなかった人へ、後から案内を送る仕組みもあります。ただし送りすぎると煩わしく感じられるため、1回にとどめる形が現実的です。
外注する場合の選び方
結論: 構築を外注する場合、確かめるのは制作の実物、公開後の支援、そして納品されるものの3つです。
依頼先の話です。
費用の目安・確かめる3点
| 依頼する範囲 | 費用の目安 |
|---|---|
| 用意されたデザインで構築 | 30万〜80万円 |
| デザインから作り込む構築 | 80万〜300万円 |
| 大規模・基幹システムとの連携 | 300万円〜 |
| 公開後の運用代行 | 月10万〜50万円 |
金額の差は、デザインをどこまで作り込むかと、連携する仕組みの数で決まります。
制作の実物を3つ見ます。見栄えではなく、商品ページに必要な情報が入っているかを見ます。
公開後の支援があるかも確かめます。作って終わりの契約だと、公開後に何かあっても手が出せません。 保守の範囲と費用を、契約前に確認します。
納品されるものも確認します。デザインのデータ、設定の一覧、管理画面の権限。これらが手元にないと、次の会社に頼むときに一からになります。
つまずきやすい点
結論: つまずく形は決まっています。集客を考えずに作る、機能を盛り込みすぎる、公開を完璧まで待つ。この3つです。
先に潰せる話です。
完璧を待って公開が遅れる・機能を盛り込みすぎる
「全商品を登録してから公開する」と考える会社が多いのですが、これで半年遅れることがあります。
主力の10商品で公開し、残りは公開後に追加する形が現実的です。公開しないと、何が足りないかも分かりません。 実際の注文が入って初めて、直すべき場所が見えてきます。
会員のランク制度、ポイント、定期購入、レビュー機能。あれば便利ですが、使われない機能に費用を払うことになります。
最初は、買える状態を作ることに絞ります。機能の追加は、必要だと分かってからで足ります。
モールと並行するときの在庫
自社ECとモールを同時に運営する場合、在庫の管理が最初の壁になります。別々に持つと、片方で売り切れた商品がもう片方では注文できる状態が残ります。
この事故は信用に直結します。注文を受けてから欠品を知らせることになり、返金と謝罪の対応が発生します。在庫を1本で管理する仕組みだけは、公開の前に整えます。
方法は2つあります。1つは、在庫を連携させる仕組みを入れること。もう1つは、販路ごとに在庫を分けて割り当てることです。後者は仕組みが不要な代わりに、片方が余って片方が足りない状態が起こります。
商品数が20点までなら、手作業での管理も現実的です。それを超えると、確認の手間が事故の確率を上回るため、仕組みを入れるほうが安く済みます。
solezoreの支援事例|業種別の進め方
結論: solezoreでは、構築の前に集客の計画を決めます。ここでは3つの業種で、何を先に決めたかを紹介します。
アパレル|制作費を削って集客に回した例
小規模なブランドから相談が寄せられました。当初の見積もりは制作に280万円、集客の予算は月5万円という計画です。
このままだと、作った直後から人が来ない状態になります。試算すると、月5万円の広告では月の訪問者が1,000人前後にしかなりません。
そこで、用意されたデザインを使う形に変え、制作費を70万円に抑えました。浮いた210万円を1年分の集客費に振り分けています。
公開から4か月で、月商が180万円になりました。デザインの作り込みは後から足しています。
食品|既存の顧客への案内で初動を作った例
加工食品を製造する事業者です。モールでは売れていましたが、自社ECは公開から2か月で月商8万円という状態でした。
集客の手段が広告だけで、費用対効果が合わないまま止まっていました。一方、モールの購入者には同梱物を入れていません。
そこで、モールの発送に自社ECの案内カードを同梱する形にしました。初回限定の特典を付けています。
3か月目に、自社ECの月商が94万円になりました。新しい顧客を探すより、すでに買った人に伝えるほうが早いという例です。
日用品・家電|かご落ちの原因を潰した例
生活雑貨を扱う事業者です。訪問者は月に1万2,000人いるのに、購入率が0.4%で止まっていました。
数字を見ると、かごに入れた後の離脱が7割を超えています。ページまでは届いているのに、そこから先で落ちていました。
原因は2つありました。送料がかごに入れるまで表示されないこと、決済がカードのみだったことです。送料を商品ページに明示し、コンビニ払いと後払いを追加しました。
2か月目に、購入率が1.1%になりました。集客の費用は変えていません。

よくある質問
Q. モールと自社EC、どちらを先に始めるべきですか?
A. 立ち上げの段階ではモールが向きます。最初から人が集まっているためです。自社ECは集客を自分で作る必要があり、成果が出るまでに時間がかかります。ただし、繰り返し買われる商品を扱っているなら、早めに自社ECも持つ価値があります。顧客の情報が自社に残るためです。
Q. ECサイトの構築にはいくらかかりますか?
A. 方式で変わります。月額のサービスを使う場合は0〜300万円、パッケージの導入で300万〜1,000万円、ゼロからの開発で1,000万円以上が目安です。年商1億円を超えるまでは、月額のサービスで足りることがほとんどです。加えて、月額の利用料と集客費が継続してかかります。
Q. 公開までどのくらいかかりますか?
A. 3〜6か月を見ます。要件の整理に2〜4週間、構築に1〜3か月、商品登録と、決済から発送までのテストに1〜2週間という配分です。商品数が多い場合、登録の工程だけで1か月を超えることもあります。全商品を揃えてからの公開にこだわると、さらに遅れます。
Q. 手数料がないぶん、モールより儲かりますか?
A. そう単純ではありません。モールに払っていた売上の13〜17%が、そのまま集客費に置き換わります。加えて、決済の手数料は自社ECでも3〜4%程度かかります。違いは、集客費が自社の裁量で動かせる点と、顧客の情報が残る点にあります。
Q. 公開したのに人が来ません。何をすればいいですか?
A. 公開直後に頼れるのは、広告と既存の顧客の2つだけです。名刺、店舗の顧客、モールで買った人など、連絡が取れる相手に案内します。モールの発送に案内を同梱する方法も有効です。検索とSNSは成果が出るまで3〜6か月かかるため、並行して育てます。
Q. 会員登録は必須にしたほうがいいですか?
A. 必須にすると、初回の購入がはっきり減ります。登録なしでも買える形にしておき、購入後に登録を促すほうが数字は良くなります。会員機能そのものは、繰り返し買われる商品では価値がありますが、購入の手前に置くと障害になります。
Q. 外注先はどう選べばいいですか?
A. 制作の実物を3つ見て、商品ページに必要な情報が入っているかを確かめます。あわせて、公開後の支援があるか、納品されるものは何かを確認します。デザインのデータ、設定の一覧、管理画面の権限が手元にないと、次の会社に頼むときに一からになります。
まとめ
自社ECの構築について、要点を整理します。
- 違いは、集客を自分で作る、顧客の情報が残る、費用の構造が変わるの3点
- 手数料が要らない分は、そのまま集客費に置き換わる
- 方式は4つ。年商1億円までは月額のサービスで足りることが多い
- 費用は作るとき、毎月、集客の3つ。3つ目が最も見落とされる
- 立ち上げ1年目は、制作より集客に多く使うほうが結果が出る
- 公開まで3〜6か月。商品登録の時間を見込む
- 構築前に10項目を決める。特に集客の方法は必ず決めておく
- 会員登録を必須にすると初回の購入が減る
- 公開直後に頼れるのは広告と既存の顧客だけ
- 月に見るのは訪問者数、購入率、平均の注文金額、再購入の割合
ここまで触れなかった話を1つ足します。公開の日を決めてから逆算するほうが、要件が固まります。 期限がないと、機能の検討がいつまでも続きます。3か月後の公開と決めてしまえば、その中で何を諦めるかの判断が自然に進みます。
やらないことも決めておきます。全商品を揃えてから公開すること、使うか分からない機能を最初から入れること、そしてデザインの細部に時間をかけること。この3つは、いずれも公開を遅らせるだけで売上には繋がりません。
次の一歩は、公開後1年間で集客にいくら使えるかを決めるところからです。この金額が決まれば、制作にかけられる予算も自動的に決まります。
solezoreでは、自社ECの構築から商品ページの制作、集客の設計、公開後の運用までを一気通貫で承っています。いまの計画で集客の配分が足りているかを見るところだけ、というご依頼もお受けしています。
この記事を書いた solezore に相談する
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